今年はデザインウィークの直後である11月7、8、9日に東京ビッグサイトで開催されたIFFT/インテリア ライフスタイル リビング。2008年の開催以来、過去最高の出展・来場者数を記録したそうです。
http://www.ifft-interiorlifestyleliving.com
今年も数多くの新製品や新ブランドが発表されたのですが、まずは私の関心領域である国産材を使った家具や製品について振り返ってみたいと思います。
KARIMOKU NEW STANDARD(カリモク家具)
ミラノのデザインウィークやケルンの家具見本市で積極的に海外へ展開している、国産広葉樹の小径木を使うブランドです。数多くの製品ラインアップを持ちますが、ブランドのアイコンとも言えるカラーウッドテーブルと同じ名を持つ椅子「COLOUR WOOD CHAIR」(左)のプロトタイプを展示。薄い板が集まって構成されるシェルが斬新です。
http://www.karimoku-newstandard.jp
ここの木の家具・北海道プロジェクト(旭川家具工業協同組合)
全国の3割近い広葉樹資源を持つ北海道の材を使って家具を作るプロジェクト。北国だからといって針葉樹が多いという訳ではないんですね。家具を作るだけではなく適切な間伐、植林といったことにも産地をあげて取り組んでいます。
http://www.asahikawa-kagu.or.jp/event/2014/06/post-8.html
まつもとフォーククラフトラボ(松本青年会議所)
民藝運動に始まるクラフトの土壌を持つ長野県松本。その郷土ブランドがお披露目となりました。中でも注目は、民芸設計家の故・伊東安兵衛がデザインを現代のライフスタイルに合うようにリサイズした椅子とテーブル。素材は長野県産材のブルーステイン、ナラ、サクラ、ホウの4種類。ブルーステインとは赤松材が青変菌によって変色したものの呼称で、製材後に変色が進むことはなく強度にも影響しません。水彩絵の具のような自然な青色が、その家具にしかない独自の表情となっています。
その他、クッションや照明、ほうき、トレイなどを発表しました。参加しているデザイナーは小林幹也さん、辰野しずかさん、リーフデザインパーク。作り手は柳澤木工所、藍染 浜染工房、米澤ほうき工房。
http://matsumoto-folk.com
Gifoï(飛騨産業)
4月のミラノ・サローネ、9月の飛騨の家具®フェスティバルで発表された椅子とテーブル。杉を使っています。杉はそのままだと柔らかいので圧縮し広葉樹並みの強度を持たせています。デザインはスイスの建築・デザイン事務所アトリエ・オイ。デザインウィーク中のAXISギャラリーで個展が開かれていたのでご覧になった方もいるでしょう。
https://kitutuki.co.jp/news/5272
kinoe(飛騨産業)
3月のWood Furniture Japan Awardで試作が、9月の飛騨の家具®フェスティバルで製品として発表された椅子。笠木(かさぎ、背もたれの最上部)に枝を使うことが話題になっています。デザインは貝山伊文紀さん、乃木坂のギャラリーBooks and Modernで12月1日まで個展「KAZAOKI ─ 風招き」が開かれていました。
http://kitutuki.co.jp/kinoe/
KIKOE(溝川)
京都府産の杉と檜を使ってテーブルやキャビネットを作っています。2015年のIFFTでデビューしたブランド。赤身(木の赤い部分)と白太(しらた、白い部分)をうまく使い、印象的な柄に仕上げています。赤身と白太が作る斜線を陽光にみたてた「ヒザシ」に続き、放射状の「ハナチ」を発表しました。
http://www.kikoe.jp
とまり木プロジェクト~地域材でつくるシェアオフィス(東京デザインセンター、日本デザインコンサルタント協会、草苅木工株式会社)
林業と家具、デザインという3業界が連携する画期的なプロジェクトです。多種多様な地場産材を使って、その土地の特注家具メーカーが製作するモデル家具を展示していました。同じ規格の安定供給が難しいため量産品には使いにくい地場の木材も、特注家具ならば有効活用できるという観点によるものです。今回のモデル家具はシェアオフィスを想定したオフィスワークステーション。デザインしたのは川上元美さん(左)と小泉誠さん(右)です。
http://www.design-center.co.jp/events/#event_16
日本の木製家具のほとんどは海外から輸入された木材で作られています。日本の国土の2/3は森林で、戦後に杉や檜を大量に植林したのですが、適切な管理がされないまま放置され、大きな社会問題となっています。「持続可能な森林や地域社会」という問題への取り組みとして国産材を使う動きがいくつかあるのですが、社会全体からすると、まだまだごく一部にとどまっています。上記の他にもデザインが関わる国産材についての重要な動きがありますので、それらについては改めて紹介したいと考えています。