菊鹿ワイナリー・アイラリッジ

2018 / 山鹿市

建築予定地は、山々が囲む自然がつくり出した台地。この地形や風景からあぶりだされたような建築の在り方がふさわしいと考え、ゆるやかな稜線に呼応した屋根の形をつくった。

使い方を限定しない半屋外の軒下空間を大きくすることや、素材や色を自然と調和させることで、この場所の自然環境のようにおおらかで、「場」をつくりやすい建築ができ上がった。

山鹿市の伝統工芸品の紙細工「灯篭」がモチーフの、折り紙のように折り曲げられた屋根の下では、どこに立っても屋根の開けた目線の先に象徴的な山を美しく望むことができる。

写真:Koichi Torimura(1~6枚目)、rhythmdesign(7~8枚目)

井手健一郎(rhythmdesign Ltd./建築家)

井手健一郎(rhythmdesign Ltd./建築家)

1978年福岡市生まれ。2000年福岡大学工学部建築学科卒業後、渡欧。帰国後、2004年リズムデザイン設立(2016年改組、法人化)。私邸から公共建築、伝統的建造物のリノベーション、10年間継続したデザインイベントまで多岐にわたり手がける。デザインとは寛容な眼差しを持った働きだと捉え、常に他者と対話し、生み出すべき状況をあぶり出していく。その他者とは発注者や利用者であり、すべての生活者であり、歴史的文脈であり、地域文化、風習、地形、場の痕跡でもある。そのような対話から「あるものを活かして、ないものを最小限でつくる」姿勢は、常に一貫している。

https://rhythmdesign.org/

2024/11/27 20:00