デザインの立ち話-ギフトショーで見つけた素敵なデザイン

デザインの立ち話-ギフトショーで見つけた素敵なデザイン

こんにちは、JDNの山崎です。少し時間があいてしまいました。東京のデザインウィークもそろそろはじまり、お忙しい方もいらっしゃるのではないかと思います。JDNのスタッフも情報収集と発信にいそしんでいます。私もできるだけ見て回りたいと考えてますので、お気軽に情報をお寄せください。

さて、いろいろなイベントがコロナ前の状況に戻っており、その代表ともいえる見本市も活況です。先日の「第98回東京インターナショナル・ギフト・ショー(以下、ギフトショー)」を見に行って気になったデザインをいくつか紹介します。

■ケンエレファント「中空工房」
https://kenelephant.co.jp/chukukobo/

ケンエレファントをご存知でない方も、秋葉原駅をはじめ、全国のエキナカなどで展開するカプセルトイの「ケンエレスタンド」は知っているかもしれません。

同社が手がけるブランドのひとつである「NEWSED」がデザインコンペを実施していた際、JDNの姉妹メディアの「登竜門」でも紹介させていただきました。当時の審査員は山田遊さんや鈴木啓太さん、そしてNEWSED初期のデザインディレクションをしていたminna。

今回、注目したのはソフビスタジオの「中空工房」。玩具としてのソフビではなく、アートピースとしてのソフビです。相変わらず面白いことに取り組まれているなと感じました。

ケンエレファント「中空工房」

■セメントプロデュースデザイン「session」
https://www.cementdesign.com/post-event/37597/

ギフトショーのコンセプトゾーン「ACTIVE CREATORS」に出展していたのは、同ゾーンの中軸出展者ともいえるセメントプロデュースデザイン。今回は「session」というタイトルで、日本各地の優れた技術を持つメーカーと協働した複数のブランドを紹介していました。

今回の新登場は2つ。長野県で和洋菓子の製造販売をする明月堂の「山のアップルパイ GOGAKU(ゴガク)」。地元のりんご5種を使い、「北信五岳」の山々をかたどったアップルパイです。形だけでなく、調理方法も品種の特徴を活かしたものだそうです。

山のアップルパイ GOGAKU(ゴガク)

山のアップルパイ GOGAKU(ゴガク)

もう一つは、大阪・堺で金型の設計や製造を行うハイテン工業の「KON-KOU」。硬度が高く加工が難しい金属の扱いを得意としています。第一弾の製品は、お香立て。微細な加工が目を引きます。

KON-KOU

KON-KOU

■温泉州
https://www.senshutowel.jp/onsenshu/

日本独自のお風呂文化から生まれた温泉タオル。温泉タオル発祥の地である泉州(大阪府の南西部、堺市など13市町からなる)の名前をからめて「温泉州タオル」と名づけ、日本のお風呂文化を拡げ伝えるプロジェクト「温泉州」。

タオルというと佐藤可士和さんのVIによって産地ブランドとして有名となった今治が知られますが、温泉州タオルはそれとは違う特徴を持っています。たとえば、プリントしやすいようにあえてパイルがない部分があったり、薄いのでコンパクトに収納できるなど。言われてみればなるほどと感じますが、こうしてブランドとして情報発信することで認識が変わる好例ですね。

温泉州

■HARIO Lampwork Factory
https://hario-official.net/pages/lampwork-factory

理科室にあるビーカーやフラスコ、誰もが見覚えがある実験器具を手がけるHARIO。1921年から化学的耐久性に優れた耐熱ガラスを製造しているメーカーで、日本で唯一の耐熱ガラス量産工場を茨城県に持っています。

実験器具だけではなく、食器や調理器具、さらには初代「カミオカンデ」の素粒子計測装置まで幅広くガラス製品を展開しています。

そのHARIOのガラスを使ったアクセサリーブランドが「HARIO Lampwork Factory」。通常のガラスではつくることが難しい形状を、耐熱ガラスならではの質感を活かし、ガラス職人の手によって生み出しています。

HARIO

■taneの食器シリーズ
https://hellotane.com/collections/all

食育をコンセプトにした食器シリーズ。自然由来成分のみでつくられた製品がほとんどで、海洋生態系への影響が懸念されるマイクロプラスチックを生みません。表面の微細な仕上げを場所によって使い分けていたり、お椀の高台(こうだい)は型から抜くのが大変だったのではと思える高さだったりと、攻めたデザインです。

聞くと「使いやすさ、持ちやすさを考え抜いた」とのこと。パッケージや絵本などにもコンセプトが貫かれており、顧客のニーズをふまえた商品開発とともに全体がよくデザインされているなと思いました。

tane 食器シリーズ

ギフトショーは東京ビッグサイト全体で開催されており、時間も限られるので私が見ることができたのはごく一部。このほかにも素敵なものがたくさん展示されていました。モノを見るだけではなく、さまざまな話を聞けるのが見本市の面白く有益なところですね。

来年は99回と100回が開催される予定で、節目にむけて盛り上がりそうです。ではまた!

東京インターナショナル・ギフト・ショー
https://www.giftshow.co.jp/tigs/