みんなで「わたしの25」- 御手洗陽(桑沢デザイン研究所教員)

みんなで「わたしの25」- 御手洗陽(桑沢デザイン研究所教員)

デザイン情報サイト「JDN」は、インターネット黎明期の1997年にスタートして以来、四半世紀にわたりデザインに関する情報を発信してきました。読者のみなさま、これまで記事にご登場いただいたクリエイターのみなさまのおかげで2022年に創刊25周年を迎えました。そこで、これまでにご登場いただいてきたクリエイターや企業のみなさまから、ご自身や「デザイン」の25年を振り返るコラムなど、メッセージをお寄せいただく特集「みんなで『わたしの“25”』」を公開しています。

今回メッセージをいただいたのは、1954年に日本初のデザイン学校として設立された「桑沢デザイン研究所」の教員である御手洗陽さん。JDNではこれまで、卒業生や教員の方へのインタビューを中心に、同校の活動をご紹介させていただいてきました。

■桑沢デザイン研究所 関連記事

25周年、おめでとうございます。ふり返ると、それはWebメディアが浸透しはじめて、デザイン教育と社会との関わりが変化していく時間でもありました。

ちょうど25年前といえば、私は夜間部の講師になったばかりの頃です。今では卒業生に代わりに話してもらって横で楽しんでいるくらい厚顔になりましたが、当時は二十代半ばの自分より年上の学生さんもいて、最初は半笑いで迎えられてドキドキしたものです。

そこでは他の講師が企画した、PCと電話回線だけで美術館とつなぐという、コロナ禍で当たり前になった「中継授業」が始まっていました。関連企画としてメディア論の講義ノートを同時進行的にサイトで公開する機会を得て、社会へ自分の仕事を投げかけていくことの楽しさを知りました。

桑沢デザイン研究所「メディア論」の授業風景

桑沢デザイン研究所「メディア論」の授業風景

JDNを知ったのも、まさにこの頃です。未だGoogleの検索が浸透し始めたばかりのネットの世界で、同窓会が開催していた「桑沢塾」という、桑沢デザイン研究所の卒業生や講師として関わったことがあるデザイナーによる講演が共有できるようになりました。

デザイン教育の重要性を広く社会へ伝えていく動きのなかで仕事に就くこと、仕事としてデザインやクリエーションに関わるための知識やノウハウも、広く求められるようになります。学内を中心に冊子の形式で伝えられてきた「job/job」が創刊15年目を迎えたこの春に、桑沢デザイン研究所のサイトから広く社会へ公開する運びになりました。

教育機関のなかで共有される、学生と共に積み重ねてきた経験や知見を、より公共に開かれたかたちで、誰もがアクセスできるようにしていくこと。設立当初から集まってくる学生の年齢の幅とキャリアの多様性を特徴としていた教育機関だからこそ、今後もさまざまな支えと協力を仰ぎながら、新たに実現できることがきっとあるだろうと思っています。

桑沢デザイン研究所 最新情報

■job/job(ジョブジョブ)がWebコンテンツになりました
桑沢生の就職活動を支援するために、2007年より毎年発行してきたjob/job。15号をもって冊子での配布を終了し、Webに生まれ変わりました。
https://www.kds.ac.jp/jobjob/

jobjob

就職活動の進め方から、応募書類作成、内定学生のインタビューなど、就職に関するさまざまな情報を掲載しています。

ポートフォリオの制作例

ポートフォリオの制作例

卒業生インタビュー

卒業生インタビュー

御手洗陽

御手洗陽

埼玉大学大学院文化科学研究科修了。著書に『デザインの瞬間』(共著、角川学芸出版)など。東京理科大学大学院講師、社会情報大学院大学客員教授などを兼任。現在会津大学短期大学部、関東学院大学、早稲田大学非常勤講師。桑沢デザイン研究所デザイン学分野責任者・メディア論担当。