二兎を追うもの三兎を得る?

二兎を追うもの三兎を得る?

こんにちは。minnaの長谷川です。

5月9日「メイクの日(5月=May / 9日=ク)」で、minnaは法人設立4周年を迎え5年目に突入しました。早いもので、創業からカウントすると9年目になります。本当にたくさんの素晴らしいご縁によってminnaは支えられています。日々感謝の毎日です。みなさまありがとうございます!

今回のコラムは、僕らが創業当初から掲げている活動コンセプト「みんなのために(for everyone)、みんなのことを(borderless design)、みんなでやる(partnership)」の中から「みんなのことを=borderless design」について、少し深く掘って書いてみようと思います。

肩書きから解放されてみる

グラフィックデザイナー、プロダクトデザイナー、インテリアデザイナーなど、「デザイナー」という職業を示す言葉の前に、専門性を表現するための言葉を付けて「○○デザイナー」という形で修飾するのが、現在の日本だと一般的なことだと思います。

「○○デザイナー」と名乗ることは、クライアントや社会に対して「自分はコレができます!」と表明する上では、(一見)わかりやすく親切です。しかし、専門性を表明することが不要な壁を生み、自分たちの活動に制約をかけてしまっていることが多々あるのではないでしょうか。

例えば、グラフィックデザイナーがカタログをデザインする際に「この商品のデザイン、ちょっと微妙だな…」と思いながらカタログをつくってしまったり、逆にプロダクトデザイナーが、パッケージやカタログなどの売り方に直結する部分にまったく関わっていないなど、さまざまなケースが考えられます。

デザインの業界では「ふつう」とされるようなことも、デザイン業界の外側の人たちには「なんて無責任なんだろう……」と思われてもおかしくありません。

僕らは「おせっかいなスタンス」で仕事をしているので、依頼されたプロジェクトを一番魅力的な状態で社会に発信したい!と考えると、グラフィックもプロダクトも空間にも……とさまざまな領域を横断したアイデアがいろいろと浮かんできます。

そうなると、もはや肩書きではアイデアの領域が括りきれないので、専門性は明記せず「デザイナー」というコアな部分のみを肩書きとして活動をしています(そもそも肩書きという存在が不要になる時代が、すぐそこまで来ているかもしれません……)。

専門性が明記されていない「デザイナー」という肩書きに対し、創業当初は「で、結局何ができるの?専門は?」と聞かれることも少なからずありました。しかし、いまは何の不自由も感じておらず、逆にVISION構築やコンセプトメイクからも関われることを表明する、僕らの強みに変化してきているように感じています。

space photo by Kenta Hasegawa

space photo by Kenta Hasegawa

グラフィック×空間の実例

最近minnaでは、DMやポスター、リーフレットなどのグラフィックデザインと、展覧会やイベントの空間デザインを併せてご依頼いただくことが増えてきています。クライアントさんとしては、2か所に依頼する手間が省けるというメリット以上に、そのイベント自体の一体感が増し、発信力が上がることを期待されているように感じています。

2つをバラバラにデザインすると、個別には訴求力がある素敵なものに仕上げることはできるものの、お互いを高めあったり、相乗効果を生むのはなかなか難しいと思います。

僕らがグラフィックと空間を併せてデザインする上で特に意識しているのは、2つの間に生まれる時間や体験です。それらを意識してデザイン提案することで、追加でワークショップやオリジナルグッズのデザインもやって欲しい!など、イベントや展示会をさらに楽しく充実させるための依頼もいただくことがよくあります。

最近手がけた【グラフィック×空間】の仕事だと、テキスタイルデザイナー鈴木マサルさんの2連続で開催された展示会、「鈴木マサルのゴールデンウィーク展」と「familiar ZOO by masaru suzuki」があります。

2つの展示は「傘」と「動物園」がテーマになっており、共通のブルーストライプで「傘→雨」「動物園→柵」を表現するプランを提案しました。それぞれの展示を連動させる役割に加え、会場にも同じモチーフを展開し、平面で認識していたものが空間に広がることで、展示会自体の世界観をより体感できるような工夫をしています。

photo by Kohsuke Higuchi

photo by Kohsuke Higuchi

photo by Kohsuke Higuchi

photo by Kohsuke Higuchi

「鈴木マサルのゴールデンウィーク展」では、ブルーストライプの雨をカラーターポリンで造作し、空間全体として雨の世界を感じられるようにデザインしています。それと同時に、雨パーツを傘の展示什器兼商品POPにすることで、必要な機能も同時に共存させています。

あと、「鈴木マサルのゴールデンウィーク展」のロゴには、ゴールデンウィーク(GW)の「G」と「W」が潜ませてあり、DMで気付かなかったとしても会場で大きく使用されているのを見ると「あれ?GWじゃん!」となるプチサプライズも準備しました (こういう些細な仕掛けは個人的にツボです!) 。

photo by Akihide MISHIMA

photo by Akihide MISHIMA

「familiar ZOO by masaru suzuki」では、動物園感を出すために会場と商品を分けて考えるのではなく、全ては動物園の要素と考えてデザインしています。DMで平面的に使用したシマウマは、会場では立体化し、メインの什器兼オブジェ的な役割も果たしています。他にもたくさんの仕掛けがあるので、ぜひご来場ください!

▼familiar ZOO by masaru suzuki
https://www.japandesign.ne.jp/event/familiar-suzumasa/
※familiar ZOO by masaru suzukiは、2017年7月10日まで開催中です。

Let’s はみだし!

「二兎を追う者は一兎も得ず」の意味通りいくと、グラフィックか?プロダクトか?空間か?どれかはっきりひとつに絞らないとダメだ!となってしまいます。先人の知恵に物申す感じで恐縮なのですが、ひとつのことに没頭して深めるのはもちろん重要ですが、その領域から少しはみだしてみると、新しい繋がりや関係性が生まれ、それが結果として専門領域の魅力やスキルアップにもつながるんじゃないかなと思います。最初はちょっと勇気がいるかもしれませんが、はみ出すのも意外とおもしろいものですよ(笑)。 

minna

minna(デザインチーム)

2009年に設立、2013年に株式会社ミンナとして法人化。角田真祐子と長谷川哲士を中心とする、みんなのためのデザインチーム。「みんなのために(for everyone)みんなのことを(borderless design)みんなでやっていきたい。(partnership)」 をコンセプトに掲げ、デザインをもっと身近な みんなのチカラにしたいと考えている。
プロダクトやグラフィックなどの領域を横断し、想いの共有から可視化するまでの一連の流れをデザインと捉え、多分野で活動している。グッドデザイン賞、日本パッケージデザイン大賞金賞、TOPAWARDS ASIAなど他受賞多数。
minna-design.com/