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【桐山登士樹+西中川京】ミラノサローネレポート

【サローネサテリテ】

過去最大数の日本のデザイナーが参加したサローネサテリテ。例年高得点のドイツ（特にベルリン）のデザイナーと並んでクリーンで丁寧なジャパンデザインをアピールしていた。今回サテリテで見た日本人デザイナーの作品は、細部まできちんと考慮されている優秀なものばかり。その中で特に目にとまった作品を紹介する。

サローネサテリテ/Thin chair/橋本潤
Design Report Award 2008Special Mention受賞。うすーい椅子。

サローネサテリテ/good aftermoon/MILE
LEDが時間を表す不思議時計。美しくかつ知的なデザインが印象的。

サローネサテリテ/ TAKASHI SATO
Design Report Award 2008にノミネートされていた作品。機能性、アイデア、見た目の面白さと三拍子そろっている。

サローネサテリテ/brio /小林幹也
昨年の砂にさして座る椅子も面白かったが、今年も完成度の高いリラックスチェアを出品。

サローネサテリテ/CHROMA KEY/MINALE-MAEDA
ドローグコレクションでもおなじみ。オランダで活躍するデザイナーだけあってよりコンセプチュアルな印象の作品。

【ブランド全体をプレゼンテーションする日本企業スタイルの確立】

2005年のレクサスのサローネ参加を皮切りに年々増え続ける日本企業。今年は、キヤノン、パナソニック、ヤマハ、セイコーエプソンが単独で、日本産業デザイン振興会主催が１５社合同展示会（アスコット、イトーキ、ウィルコム、貝印、KDDI、三洋電機、シヤチハタ、TOTO、トヨタ自動車、ニコン、日本電気、日本ビクター、日立製作所、富士通、リコー）で参加。勢いに欠ける他国の企業を脇目に優れた展示を展開していた。

一方で、世界からは家具デザインやインテリアデザインの祭典であった従来のミラノサローネに、ジャパンデザインのお家芸であるインダストリアルデザインの分野を持ち込み、生活全般を支える機器の性能やデザイン、システムの革新性をアピールする展示は賛同・非難の両方で評価されている。デザインヒエラルキーの明確なヨーロッパ社会において、インダストリアルデザインは、建築、インテリアデザイン、家具デザインの下にあると認識されているもの。だからこそ日本企業には優れたプレゼンテーション方法が必要不可欠なのである。

今回の日本企業の展示は、「製品展示は副次的に扱い、インスタレーションによる空間デザインをメインにブランドをアピールする展示」と、「製品デザインと技術を全面に押し出した展示」の二つに大きく分けられた。いずれも美しい展示空間を創出していたが、特に前者の企業展示は高い評価に値する。なぜならそのスタイルはブランドイメージ全体を空間で表現するという独自性を備えており、停滞しているミラノサローネに唯一新風を起こしているからだ。

ブランド価値が重視される現代においては、製品が語る言葉よりそれを包括したブランドが語る言葉の方が豊かに洗練され、力強い。ヨーロッパに根強いデザインヒエラルキーやミラノサローネへ集まる人々の情報発信力を考慮する時、インスタレーションによってブランドイメージを彼らに経験してもらうことは、ブランディングやマーケティングの観点から見ても、製品だけを見せるプレゼンテーションよりも強いインパクトを作り出す事が可能だ。そしてこれは企業だけでなくデザイナーのプレゼンテーションにも通じるものである。

CURIOSITYとTONERICOが開催したTOKYO WONDERは東京をテーマに面白く、そして美しいプレゼンテーションであった。　来年のミラノサローネにおいては、ブランドイメージをプレゼンテーションする日本企業式の方法に追従する他国の企業も増えているだろう。

LEXUS/diamond pillar/nendo

CANON NEOREAL/シークレットガーデン/廣川玉枝

EPSON TOUCH FEEL THE TIME

YAMAHA KEY BETWEEN PEOPLE

TOKYO WONDER

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