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桐山セレクション 注目デザイン&デザイナー
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日本を代表するデザイナーから旬なデザイナーを紹介する「デザイン&デザイナー」。
デザイナーの近状と代表作品を、デザインキュレーター・桐山登士樹がセレクションしてお伝えします。


 樹幹通信 ― 2010 September

オフィスでビールパーティ、9月も開催予定
 知人(大御所)のジュエリーデザイナー石川暢子さんからの要請で、今年から日本ジュエリー協会の海外展開分科会長の役を仰せつかり、事業展開を練っている。日本のジュエリー産業の歴史は意外と浅く、約半世紀ほどだ。昔は国内需要だけで成立していたが成熟期が過ぎ、今後は新たなマーケットを開拓しなくてはならない。ここまではどの産業も同様だ。しかし、世界の並みいるコンペティターと対等に競争するとなると、日本の「技術」「品質」「デザイン」の三軸を明確化し、ジャパンブランドの「価値=強さ」をアピールしなくてはならない。

 その第一弾として、9月16日から香港で開催さる「Hong Kong Jewellery & Gem Fair 2010」に出展する。会場構成は建築家の乾久美子さんさんに依頼し、メンバーの作品から特色あるジュエリーを選考し出品する。これまでの海外ブランド展開の私なりの経験があるので用意万端だが、果たして躍進著しいアジアの富裕層にどう映るやら。次の展開に繋がれば良いと思っている。

 同時期、上海で開催される「上海国際創意産業博覧会」もボランティアでお手伝いしている。今後は中国との関係も密になるので、すべてが厳しい条件だが最低限のクオリティはキープし日本の意志を示したいと思っている。

 → 桐山登士樹 P R O F I L E 
 → B A C K N U M B E R 


第136回  10/09/01 UP [NEW]
中村竜治  Ryuji Nakamura
中村竜治  東京国立近代美術館で8月8日まで開催された「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」は、なかなかおもしろい切り口の展覧会だった。
 その中でも、入り口に置かれた中村竜治さんの作品「とうもろこし畑」は、繊細さと大胆さが同居した迫力ある作品だった。後日、美術館のサイトで発想から製作までのメイキングを見ると、高度な作業をアナログ手法で丹念に忍耐強く反復している姿に感服する。
 存在を示す事で都市の象徴性を表す建築の歴史から、現代は存在すら無にする建築が顕在化している。こうした節目を担う一人が中村竜治氏だ。抑圧を促すデザインを美しく、繊細に、時に無機質に表現する才覚に卓越している。今後は1/1の建築作品の中で、全身で空気を体感してみたい。






第135回
乾久美子建築設計事務所  office of kumiko inui
乾久美子建築設計事務所  最近公開されている建築コンペの中で、乾久美子さんの「浅草文化観光センターコンペティション案」は、実現して欲しかったプランである。国際的な観光地・浅草の持つ土地の力と建物とが、押上に建設中のスカイツリーと共に、新たなダイナミズムを醸し出す可能性を強く感じた。残念だ。これまで乾建築を見てきて、潜在的な上質さ(エレガンス)と割り切り感(シャープネス)のコンビネーションイメージを強く持っている。07年のミラノサローネでは、LEXUS会場のデザイナー候補として推挙し、トルトーナ地区の半野外の会場で手腕を発揮していただいた。現在、9月に香港で開催されるジュエリーフェアの、日本のPRブースのデザインを依頼している。小さなスペースだが、乾さん自らが引かれた図面と模型を見て、関係者のモチベーションが一挙に上がった。外見からは想像のつかない力強さがある。スケールと想像を超えた新たな建築・デザインを今後も期待したい。


第134回
トラフ建築設計事務所(鈴野浩一、禿真哉)  TORAFU ARCHITECTS Inc. (Koichi Suzuno, Shinya Kamuro)
トラフ建築設計事務所(鈴野浩一、禿真哉)  川崎市民ミュージアムで開催されていた、横山裕一ネオ漫画の全記録「私は時間を描いている」の展示最終日に駆け込んだ。円弧に構成した展示台と人工芝、壁面の極めてシンプルな要素で構成された空間であったが、作家の個性と作品を表すには極めて有効な展示デザインであった。鈴野浩一と禿真哉が主宰するトラフ建築設計事務所は、昨年の「骨展」の会場構成、「三保谷硝子店-101年目の試作展」での「オレチェア」(ハイチェア)のデザイン提供、コンセプチャルで評価を高めた「NIKE 1 LOVE」のインテリアデザイン、そして近作「空気の器」の軽やかで開放的なデザインなどを手がけている。全てに共通する空気感、デザインは時代に心地よい。時代の気分をデザインする建築家である。カタチとカタチ、カタチとヒト、カタチとコトを変幻自在に操るサスティナブルなクリエーターだと言える。60年代NYのポップカルチャー、アートの時代を彷彿させる。飛躍的に活動の範囲を広げていく建築ユニットとして、注目したい。


第133回
和田 智  Satoshi Wada
和田 智  私は大のクルマ好きだから、毎年デトロイトから始まるモーターショーの情報や出張の折、各社のショールームで実車を確認するのが趣味となっている。そんな世界のカーデザインを牽引している一人が和田智さんだ。和田さんが手がけたAUDI A6がアウディのブランドエクイティを著しく向上させた事は良く知られている。A6のデザインが人気を呼び、その後の手がけたQ7、A5でアウディはデザイン&クオリティナンバーワンの会社となった。アウディはミラノの街によく似合うクルマで、存在感を発揮している。それだけ好調にビジネスが展開できている証でもある。和田氏本人は穏やかで真摯に対応する姿勢が気持ちよい。また、グローバル&ローカルの二軸を理解している人だ。ダイナミックとデリケートといった対極の概念をものの見事にデザインする。昨年7月に日本に戻ってきたが、今後はカーデザインのみではなく日本のデザインを高める為にも様々な企業や地方と戦略的にビジネス展開して欲しい。


第132回
中山英之  Hideyuki Nakayama
中山英之  中山英之さんの作る建築は、お施主さんだけが手にする事のできる宝箱のような自由が広がる解放区だ。建築の壁を越えて、内外、内内に日々発見があり、空間に優しい空気と時間が提供される。今回紹介する作品に添えられた絵の様に、じゅわーと平和な気分に誘ってくれる。ファッションセンスは建築界の中でも一二を競うシャレもので、その存在は次代を担うリーダーに相応しい。ただ30代の建築家は有能な人材が多いだけにアントンとはしていられない。しかし焦りは禁物。誰にも負けない概念を超えた発想力とキャラクターがある。たぶん一作一作毎にその完成度は増し、独自の世界観を作り上げていく建築家だと信じている。今は建築に夢中だが家具やプロダクツも見てみたい、そんな建築家だ。


第131回
高橋匡太  Takahashi Kyota
高橋匡太  アーティスト、高橋匡太という男に興味を持った。昨年の8月下旬に電話を入れ、9月初め京都の長屋を訪ねた。近くの駅まで迎えに出てくれた匡太氏は、少年の様な清清しさをもったアーティストだった。
 人の話をよく聞き、親切で、ビールと煙草を愛飲・愛煙する自由人だ。しかし、作品に打ち込む姿勢は並大抵ではない。彼の一挙一動により作品に生命力が備わる。キヤノンのプロジェクトでは延べ六カ月ご一緒したが、作品が進化する毎に凄みが増してくる。
 現在、ミラノトリエンナーレ美術館では、現在ロイ・リキテンシュタインの展覧会が行われている。私は20世紀のリキテンシュタイン、21世紀の高橋匡太と、とある会で明言した。それだけ才覚をもったアーティストである。共働するスタッフやサポートメンバーにも恵まれている。国際的に更に飛躍することを保証する。


第130回
韓 亜由美  Han Ayumi
韓 亜由美 友人の菰田和世さん、伊東史子さんらの口からよく出る名前がハンさんだ。頼れて素敵でエレガントな女性の代表格のようである。そのハンさんが日々相手にしているのは、主に道路である。交通工学、生態心理学、視覚情報学の三軸から機能と付加価値をデザインで捉え直す=規定の概念を再構築する知的でダイナミックな仕事をされている。高速道路をドライブするのが趣味なので、気の向くまま流す先々にハンさんのデザインが出現する。交通システムと一体となったハードウェアに付加された時間のデザイン。人間の身体に適度なリズム(認識)を与えてくれる見事な領域の深化である。そして、複合と連結により増幅する都市インフラでもっとも必要な領域である。


第129回
Chihiro Tanaka
Chihiro Tanaka ちょうど一年前、田中さんから表参道のギャラリーで開催される展覧会の案内をいただいた。丁重なお誘いだったのだが、その時は海外出張で伺うことは出来なかった。帰国後連絡すると作品を一式持って現れた。梱包から取り出された作品の美しさもさることながらデザインに対して、デザインビジネスに対して、実に客観的な思考と戦略をお持ちなのにはビックリした。まだ三十前である。ついつい昔の自分を思い返してしまった。このページに掲載されたどの照明も陰影が美しい。光の特性を優しく捉えたデザインは素敵だ。さらにこれまでの多くの名作に負けていない独創性に可能性を感じる。生産に関しても独自のインフラを整備している。流通に関してもさまざまなルート、ネットワークも開拓している。海外にどう進出するかが、次の課題だ。本人の夢は大きく、若きし頃読んだ五木寛之氏の小説「青年は荒野をめざす」の主人公の様に果てない旅は続く。


第128回
石黒 猛  Ishiguro Takeshi
石黒 猛 今年のトップバッターは、石黒猛さんです。石黒さんは、内田洋行の武幸太郎さんからご紹介いただきました。その後、私の事務所に遊びに来られ、私も神楽坂のスタジオに伺わせていただきました。この神楽坂のスタジオが実に楽しい実験場。機械いじりが大好きな私、こういう実験中のモノを見るのも、触るのも、話しをするのも大好き。元東大総長だった吉川弘之氏は、かって「アブダクション」について論じられたことがありました。まさに石黒氏のスタジオは、仮説を裏付ける実験場です。故にその仮説は、解けない方程式の如く、様々な試行錯誤を強いてきます。しかし、こうした苦闘を経てきたものだけに完成されたデザインには、物語があります。石黒氏の様なタイプがもっと現れれば、デザインはデザイン科学の時代に突入するのだが・・・。デザイン界にも新しい環境が必要な事を実感しました。また、本人の取り組む姿勢を見ると、何かしなければいけないような気にさせる。説明していただいた目から鱗の様なアイデアを是非、根気強く具現化して欲しいと思います。


第127回
エマニュエル・ムホー  Emmanuelle Moureaux
エマニュエル・ムホー 半年くらい前から「エマ通信」と題したエマニュエル・ムホーさんの最新プロジェクトのメール通信がメルアドに送られてくるようになった。改めて、じっくり見るとカラーが心地よい刺激と空間に生命力を与えている。色使いは、繊細にして大胆、青森のねぶたの様なダイナミズムを感じるものまである。今回紹介するプロジェクトも銀行やショールーム、クッキングスクール等々、これまでの機能本位で無機質な空間概念を見事にぶち破り、魅力的なデザインを提供している。日本に住み着いた多くの海外クリエーターが我々以上に日本の文化を研究し理解し、デザイン、建築に投影している。こうしたデリケートな仕事ぶりに感服してしまう。先月初旬、ミッドタウンのデザインタイドの会場で、商品を説明しているムホーさんの姿を見かけ、その姿が実に楽しそうだったのが印象的だった。建築・デザイン界に貴重な人だ。


第126回
根津幸子  Nezu Yukiko
根津幸子 根津さんは、当時伊東豊雄さんの事務所に所属していた式地香織さんから紹介された。それが縁で07年のメゾン・エ・オブジェのジェトロブース「Japan style」の会場構成をお二人にお願いした。パリでの施工は、夜中の作業となり凄く寒く辛い思いをさせてしまった。先日も一時帰国されており、その時にパートナーと共同でアムステルダムに建築建築事務所を開設したことを知った。根津さんの良い点は、空間全体が適度な緊張感を持ちつつも大陸的な広がりを感じさせる点である。また自身が明るい性格で人をリラックスさせる。世界的な大不況はオランダでも同様の様で「こんな時だからこそ、これまで会えなかった人が時間を取ってくれる」とポジティブに話す姿が印象的。いずれにしてもバイタリティ溢れる行動派だけに国境を越えて、新しい建築とデザインスタイルを見せてくれると信じている。今回紹介する作品は、なかなかの力作ばかりで国際的に飛躍して欲しい。


第125回
大治将典  Oji Masanori
大治将典 大治さんから送られてきた新作発表会の案内を見て、もっと大治デザインを見てみたくなった。この10年ミニマルデザインのオンパレードでいささか食傷気味。先日、蓮池氏から伺った話でイタリアの雑誌記者が蓮池邸の取材申し込みがあり、後日自宅に来られ視察し名デザイナーの作品が少なく取材をあきらめたという話しである。しかし、蓮池邸は100年以上前の調度品と現代の特注品で構成されている素晴らしい邸宅である。大治さんのデザインは地味だが丹念に作られた作品からは、生活の豊かさを連想させる。存在感という感性価値は、ミニマルデザインだけでないことを強く認識させられる。時代はやっと適正なバランス感覚を取り戻しつつある。まだまだこの調子で多くのプロジェクトを実践して欲しい。


第124回
アトリエタイク (臼田香太、飯島麻奈美)  ateliertaik (Kota Usuda, Manami Iijima)
アトリエタイク 臼田さん、飯島さんとは知り合ってから幾つもの仕事をご一緒していただいている。初めにお会いした時は、ホッピーのAD等パワー溢れるデザイナーの印象が強かった。その後、プロジェクト毎に様々な注文を出したが、ものの見事に満足のいくデザインを提供していただいている。デザインを完成していく上で妥協は禁物。お互いの考え方をいかにすり合わせていくか、何よりも会話が大切である。この行為さえ行えば、アトリエタイクは水を得た魚の如く、様々なデザインの引き出しを開けてくれる頼もしい存在だ。そして、最近のプロジェクトではグラフィックコミュニケーションの枠を超えて、ブランド価値醸成に切り込んでいる。ひとつ分野だけに留まらない全体を透視できる思考能力も魅力だ。


第123回
柳原照弘  Teruhiro Yanagihara
柳原照弘 6月下旬、外苑前の事務所から徒歩5分のPRISMIC GALLERYで「ISOLATION UNIT 柳原照弘展」が開催されていたので昼時ぶらりと覗いてみた。百聞は一見にしかず、絶えず自分の目で確認する事に勤しまないと目が腐ってしまう。コンパクトな展覧会であったが、この人も既に興味は彼方へ向かっている事を確認することができて良かった。真面目にデザインだけの事を語られても困ってしまう。何を考え、何を指向しているのか。そこに時代を透視する目とセンスがあるのか。改めて、そうした観点から柳原氏のデザインを見てみると静に宿る時の音が聞こえた。たぶんカタチに最大の敬意を払っているから中心と周辺がぶれずに構成(デザイン)できているのだろう。既にフィールドを国内外に広げているだけに楽しみな逸材である。


第122回
安積朋子  Tomoko Azumi
安積朋子 ミラノサローネのフィエラ会場で目に留まるデスク「AT-AT」(Röthlisberger社 スイス)があった。築15年のマンションを最近リノベーションし、これまでのカルテルのデスクから新たな机を探していた。ほどよい大きさ、コンピュータ等のコードの収納など、細やかな配慮があちらこちらに見られる。あまり真剣に見ていたせいか近づいてきた人がいた。安積朋子さんである。安積さんとは、伸さんとのユニット時代からの長いつき合いになる。05年からはソロで活動を開始し、持ち味を生かした精力的な活動を行っている。ついつい幾らで買えるかとストレートな交渉をしてしまったが、今日現在まだ迷っている。高価であるが100年を単位とした家具として捉えれば安い。さらに安積さんには、今年の富山プロダクトコンペテションの審査委員もお願いしてしまった。機能性を持ちつつチャーミングなデザインを実践している安積朋子さんには、今後もいろいろ協力をお願いしたい。よろしく!!


第121回
坪井浩尚  Hironao Tsuboi
坪井浩尚 最近、気になっていたデザイナーの坪井さんとミラノサローネで名刺を交換した。若いのにおおらかなフォルム、ちらばるユーモア、醸し出す存在感が強く印象に残る。早速とある会にお呼びして、これまでの生い立ちを伺った。
美大を卒業後、実家との約束で鶴見にある諸嶽山總持寺で半年修行僧をした事。その時の鮮烈な体験が今日のベースになっている事などをを伺った。「仏教ではモノと環境を対峙して捉えるのではなく、モノは環境の中にあるものとして捉えるのです。」と、関係性について話され、SAKURASAKU glass等の坪井デザインの意味を確認することができた。私なりの解釈は、カタチに託しているのは時間をデザインすることであり、その後の行為に意味を見いだそうとするデザインであることと理解した。久しぶりに自らのバックボーンを熱心に話すデザイナーとお会いでき有意義だった。


第99回
三井直彦  Naohiko Mitsui
三井直彦 サローネ期間中に蓮池槇郎さんから招待を受け、原研哉さんとキヤノン酒井正明さん、三井直彦さんの計8名で食事をした。全面改装の終わった見事な蓮池邸で、町中の喧噪と離れて頂く食事会は至極幸せなものだった。ここでの会話はデザインの可能性を確認する内容だった。そして三井さんからは、現在実践しているデザインに加えプロデュースに関心のある事を再確認した。私の仕事に対する評価もいただいたが、以前に紹介した様に「狭い世界のデザインには興味がなくトータルでデザインを捉え、プロデュースをしたいと思っている」点は変わりのないものだった。今回は蓮池さんにセッティングしていただいたが、共に生きる仲間達とデザインの可能性を論じる場が必要なことを痛感した。
三井さんの紹介ページなので一言加えるとするならば、割り切りの良さ、仕立ての見事さ、そしてデザインを基軸としたスケール感は、間違いなく新たなステージを作れる一人である。さらに精進して欲しい。


第120回
松尾高弘  Takahiro Matsuo
松尾高弘 最近までオフィスを構えていた横浜のYCSビルの1階に現代アートを紹介するポートサイドギャラリーがあった(2007年7月閉廊)。2005年、このギャラリーで松尾君の展覧会が行われた。その時体験したインターラクティブの映像はなかなか新鮮で、人が行っている行為を眺めていても至極幸せな気分になった。その時からいつか機会があったら松尾君に作品制作を依頼したいと考えていた。そして今回、キヤノンの展示作品を依頼した。先月紹介した平田晃久さんとのコラボレーションである。サローネは難しい場所である。目利きの集まる場所だからかなり無理な注文を投げかけた。例えば、「過去の作品は要らない。」「第二フェーズの松尾作品を作って欲しい。」この数ヶ月松尾君はよく働いてくれた。同時に作品の完成度を上げるべく、たぶん今日も没頭していると思う。ミラノで評価されれば、世界が注目する。アーテイストにとって、こんなチャンスはない。


第119回
平田晃久  Akihisa Hirata
平田晃久 先日、建築家の平田晃久さんよりグラフィック社から上梓されたばかりの著書「animated」が届いた。お手紙には「建築が人工/自然という枠組みを越えて、生命体が持つようなしなやかさや強さを獲得できないか、という問いに向けた言葉です」とタイトルの解説=自らの未知の建築に向かう方位と意志が綴られていた。いまの時代を生きる建築家は、新たな領域を開かなければならない宿命を負っている。20世紀に完成したモダンの概念を越えて、意味や形態を模索し、さらなる可能性を提示しなければならない。幸い平田さんは、この様な解読を得意としこれまでも様々な実験と実践を行ってきた貴重な建築家だ。現在、平田さんに来月開催されるミラノサローネでキヤノンの会場デザインを担当していただいている。これまでに見た事のない新たな空間表現をここではご覧頂く予定である。


第118回
長坂 常  Jo Nagasaka
長坂 常 昨年11月、建築家の乾久美子さんから紹介され建築デザイナーの長坂常さんに上目黒のギャラリー兼オフィスでお会いした。元運送会社の車庫だった場所をギャラリーとオフィスに改造した空間は、心地よい明るさと空気が流れていた。10年ほど前、オランダのロッテルダムでリチャード・ハッテンやティオ・レミの工房を訪ねた時と同様な匂いを感じた。一つ一つに注力しコンセプチャルに作る作品からは、時にアーティストの顔が垣間見れ、建築家の顔になり、デザイナーの顔になる。つまりプロジェクトに無になって取り組むクリエーターとしての人となりを感じた。世間一般の凝り固まった評価とは一線を置き、必要以上にモノづくりに取り組む姿勢が爽やかである。そして、これらの作業を楽しんで実践されている点が、とても安心感と好感が持てた。


第117回
紺野弘通  Hiromichi Konno
紺野弘通 2009年のスタートに紹介するデザイナーは、紺野弘通さんである。十数年ほど前、富山のコンペでお会いしているらしいが、私の記憶はすっかり飛んでしまっていた。持参されたポートフォリを見るとデザインはただただ美しい。単に美しいだけでなく存在感がある。
久しぶりにデザインは造形なんだと感じさせていただいた。ロス・ラブローグに誘われ、のべ8年間の英国生活を経ているだけに何事にも動じない落ち着きがある。紺野氏によれば北欧では、しっかりとマーケティングを行い、ロットの検証を優先し製品化していくという。フェーズを踏み外さない確かなプロセスがロングライフを約束する。こうしたステップアップ方式の開発に慣れているのも紺野さんの特色の一つである。そして、これまでのクライアントはすべて海外企業だけ、今後は日本企業とも開発を行っていきたいと抱負を語る。確かなスキルと忍耐強く深化させていくプロセスと自分に課せた使命とを認識している紺野さんは、新たなトップランナーになる素質を充分持ち合わせている。


第116回
(松尾伴大、甲斐健太郎、下山幸三)  MILE (Bandai Matsuo, Kentaro Kai, Kozo Shimoyama)
参/MILE(松尾伴大、甲斐健太郎、下山幸三) 話べたなデザイナーが多い中で、参は饒舌な三人組である。ユニットの形態もフレキシブルで、それぞれがバラバラに活動を行いながらデザインプロジェクトとして成立している。この形態を楽しみ、実験を重ね、だれもが解明していない結果を模索している。私はそんな空気感を感じる。デザインは、それぞれに不思議な存在感・安定感がある。例えば、Something to Touchの造形美は、ただただ美しい。思わず手に取りたくなる。そうした行為を誘発する事を意図し、このデザインが成立している。参はデザインと人との距離をデザインしている。この関係が成立するデザインは、どうあるべきなのか、数値化できない感性を実証すべく、今日もどこかで実験を重ねている。故に同化しない三人の個性が生命線となっている。


第115回
式地香織  Kaori Shikichi
式地香織 2001年に開催された日伊の文化交流事業の目玉の一つ「生活のデザイン展」(横浜・神戸で開催)で、当時伊東豊雄建築設計事務所に在籍されていた式地香織さんとご一緒した。この展覧会は、スーパーバイザーにアンドレア・ブランジ、会場構成に伊東豊雄という両巨匠が経ち、毎月イタリアと日本と交互に会議がもたれた。この展覧会を成功させる為に、式地さんとは、日夜時間、距離を超えた作業が約1年続いた。様々な課題に真正面から立ち向かう姿勢とエネルギーを知り頼もしく思った。その後、表参道のTOD'Sビルのプロジェクトを担当して自ら建築設計事務所を設立し、何度か私の仕事をお願いしたこともある。現在は、住宅やリノベーションプロジェクトを主に担当されているが、潜在的な能力の高い人だけに今後の活躍を期待したい。


第114回
point (長岡 勉、田中正洋)  point (Ben Nagaoka, Masahiro Tanaka)
point(長岡 勉、田中正洋) 最近注目しているデザインユニットが「point」だ。長岡さんの父はインテリアデザイナーとして活躍している長岡貞夫氏。発想の豊かな方である。お姉さんともお会いしたことがあり、確かローマを拠点に活動されていたと記憶する。こうしたDNAを受けづく長岡さんだけに発想・活動は極めてフレキシブル。三年前に田中さんをパートナーに迎え入れ、その活動の幅は確実に広がっている。現在、改修プロジェクトが多いようだが、共通している点は「ゆるさのデザイン」である。場の力をどれだけ豊かにデザインし、そこに居合わせる人の心を解放するか。無機質な空間を柔らかな空間へ見事に変換している。画一的なデザインからは一線を置き、新たなデザインの可能性を追うこのユニットの活動を暫く注目してみたい。


第113回
倉本 仁
倉本 仁 毎月2回は富山に飛び富山県総合デザインセンターで勤務しているが、今年の4月から新所長として元NECデザイン社長の大矢寿雄さんが着任した。この大矢さんの口からよく出る名前が、倉本仁さんである。最近まで大矢さんの部下であった人である。上司が信頼する性格と才能を持ち合わせている人のようだ。今回紹介する7つのデザインは、インハウスデザイナーとして厳しく研鑽された形跡が随所に現れている。ディテールまで精巧に検討され、緻密にデザインされたフォルムからは美しさと存在感が漂う。倉本さんのデザインを見て思ったことは、日本のデザイン界はまだまだ優秀な人材を企業内に内包している。倉本さんが実践した様に内外でデザインを試し、やがて独立していく様な経過が一番望ましい姿だ。それだけに次が続く様に倉本仁として、更に飛躍してほしい。


第112回
高市 都市・建築・デザイン(代表 高市忠夫)
Takaichi Architect & Associates この日曜日にブリヂストン美術館に足を運んだ。現在開催中の展覧会を観賞する為でもあるが、同時にオフィスビルの下層階というタイトな条件を乗り越えて、見事にモダンで落ち着きある文化施設とした高市デザインを数年ぶりに確認する為でもあった。この20年間、高市さんの建築・デザインを見てきた。そして、ご一緒した異業種交流会や依頼したセミナー等々で何度かデザインに対する考え方を聞いた。実にブレのない考え方(信念)、建築家の社会的役割、そして力強く実践する安定感を持ち合わせた人である。そして、驚くべきことにメディアに発表していない。それには訳があり、チョイ出しを嫌い、すべてを知らしめるには一冊の本にまとめるのが良いと考えているからだ。このページで紹介することは稀であり、すでにストックされた数多くの作品を一冊の本にすべく編集作業が進行していると聞く。私からのお願いは、北海道で数多く手がけている文化施設を高市さんの案内で見て回ることだ。


第111回
小林幹也  Mikiya Kobayashi
小林幹也 この青年、若いのにデザインセンスがいい。あか抜けたデザインは、とても27歳のデザインとは思えない。このページでは30歳前のデザイナーはデザインの振れ幅が大きいのでスタイルが固まるまで取り上げないことにしているが、小林さんは数少ない例外とした。今回紹介するデザインはどれも確かなレベルをキープしている。特に今年のミラノサローネの出品作Cieloは非常に高いレベルでまとめられている。サローネの会期中サテリテのブースで立ち話をしたところす、既にイタリアの数社からオファーを受けているという。小林さんの爽やかな清涼感のあるデザインは、成熟したデザインが溢れる中でも改めていいものだと実感した。次のデザインを楽しみにしたい。


第81回
橋本 潤  Jun Hashimoto
橋本 潤 2004年に発表した「うすい・いす」の進化版でミラノサローネサテリテ2008デザインレポートアワードを受賞した橋本潤さんに再登場を依頼した。既に10年以上の実績を持つ橋本さんをサテリテの会場で見つけて「何やってんの、充分実績がある人が出る場所ではないよ」とストレートに進言。「賞をもらったのでこれでやめます」と返事があった。サテリテは11年の回を重ね、若手デザイナーの登竜門としてすっかり認知され、今年も十数人の日本人デザイナーが作品を発表した。そのレベルは甲乙つけがたいほど高い。やはり橋本さんを見ると実践の積み重ねが大きい。また、高度なデザインでも製作してくれる現場のレベルも高い。そういう意味では、日本人デザイナーは恵まれている。実績のある人は、サテリテではなく国際企業への売り込みやマスコミに対して、強くアタックして欲しい。また、代表格として先陣を切ってほしい一人だ。


第110回
グエナエル・ニコラ  Gwenael Nicolas
グエナエル・ニコラ 今年のサローネで一番魅了されたのは、グエナエル・ニコラとトネリコがコラボした「TOKYO WONDER」でした。光のボールが浮遊する「LIGHT-LIGHT」は、東京を的確に表現する手法として完成度が高く、気持ちよいショックが体内を走りました。例えるなら素材をいち早く見抜き、オリジナルレシピを創作し、料理を提供する一流のシェフの様に、ニコラは完璧なプロの技で他を圧倒しました。15年以上日本を拠点に活動し、客観的な観察眼と考察により新たな独自の世界観を作り上げているニコラは、日本人以上に日本人らしさに精通しているクリエーターだと言えよう。今回の展覧会を見て、日本でしか出来ないアプローチや可能なデザインのヒントをいただいた。また紹介する他のデザインは、すべてクリーンでクールにクリエーションされ、私には日本家屋や伊勢神宮のイメージと交差する。何か新しい事をご一緒したくなった。


第109回
廣川玉枝  Tamae Hirokawa
廣川玉枝 今回初めてファッションデザイナーを紹介する。注目していた新進気鋭のデザイナー廣川玉枝さんだ。経歴は三宅一生さんのニットデザイナーとして活躍後独立。現在「SOMARTA」というファッションブランドを立ち上げ、毎回東コレで意欲的なコレクションを発表している。彼女のクリエイティビティの高さは他を圧倒する。想像するにたぶん早い時期から独自の世界感を持ち続けて来たのであろう。初期のコレクションに見られた女性が立ち向かう強さは、先日のコレクションではしなやかさえへ進化している。しかもブレることのない美的エッセンスは、すでに成熟した域に到達している。川久保玲、山本耀司に続く、世界の舞台で活躍できるデザイナーである。若き才能の今後の活躍を注目していきたい。


第108回
CDL コミュニケーションデザイン研究所 (平野敬子、工藤青石)  CDL (Keiko Hirano, Aoishi Kudo)
CDL(平野敬子、工藤青石) アエラムック「ニッポンのデザイナー100人」の監修・選考を担当した時、監修者のひとり西山浩平さんが執筆された平野敬子さん、工藤青石さんが共同主宰するCDLを今回取り上げたい。西山さんは、紹介文の巻頭で「まず人の心に届くかどうかを念頭に置いている」とお二人を評している。この言葉が記しているようにCDLがデザインしたものは決して主張しすぎることのない上質な存在感が漂う。似た雰囲気を思い浮かべると竜安寺の石庭が脳裏を横切った。決して流されず、浮つかず、朝が来て夜になり、太陽に照らされ、時に雨となり、風がふく。しかし、どんなシチュエーションでも研ぎ澄まされた存在感(デザイン)は強く印象に残り、使用するものに安心感を与える。お二人がデザインした「SHISEIDO MEN」を今朝も使用し、落ち着いた一日が始まる。


第107回
藤原敬介  Keisuke Fujiwara
藤原敬介 何故いままで紹介しなかったのか振り返ってみた。存在としては申し分ない。そのデザインもしっかり脳裏に記憶されている。しかし、これまで紹介していなかったことにある日、突然気がついた。藤原敬介さんのデザインは、美的で好きだ。同時に静なる奥行き感を持ち合わせている。誰に向けてデザインしているのか、素材や色やカタチから不思議な力が発せられている。デザインの解説にもあるように「寒暖の色彩」「新旧の呼吸した空間」「華やぎ、落ち着き」二つの世界が共生する時間をデザインしている人なのだ。詩人の様に物静かな立ち振る舞いが、霞の様に存在をうまくけしている。いまのデザイントレンドと一線を画し、独自の世界感を作り上げいるとしたら時間のなかで注意深く追いかけてみたい。


第106回
assistant (松原 慈+有山 宙)  assistant (Megumi Matsubara+Hiroi Ariyama)
assistant(松原 慈+有山 宙) assistantを紹介するのは、大変難しい。お二人の不思議な存在感が良い。建築とデザインとアートの距離感が良い。しっかりとしたスキルを持ちながらおくびにも出さず自らが楽しんでいる行為にも好感が持てる。これまでの日本のデザイン環境にはない(少ない)新しいクリエイティブな感覚だ。そして手がける、どのデザイン(シュチエーション)にも物語がある。人に優しく夢中にさせる童話の様な世界観。この二人は、どんな仕事をしていくのか注意深く見守りたい。
先日、とある大手企業のワークショップに参加していただいた。しかし、企業側は悩んでしまった。企業デザインにはありえない均質、合理、制約といったキーワードがまったく存在しなかったからだ。それだけ対極にいる存在である。昔なら一緒のテーブルに着くことはなかったが、今の時代は可能とする。今回紹介するデザインの様に、多様な要素で構成された空気が支持される新たな創造時代に突入しているからだ。


第105回
DRILL DESIGN (林 裕輔、安西葉子)  DRILL DESIGN (Yusuke Hayashi, Yoko Yasunishi)
DRILL DESIGN(林 裕輔、安西葉子) 林裕輔さん、安西康子さんらで結成したデザインユニットがドリルデザインである。二人の生み出すデザインは、どこか優しく楽しい、そしてちょっとした工夫が込められている。生活の場に気持ちのよい風を運んでくれるデザインだ。設立から7年、第一期ドリルデザインのカラーは定着してきた。第二期に向かって、どのようなデザインを魅せてくれるのか楽しみな存在であり期待したい。個人的な希望を言えば、まだまだ若いユニットだけにアバンギャルドなデザインも見せてもらいたい。これまで多くのデザイナーと接してきた経験では、存在感のあるデザイナーには強い信念と強い精神力を感じた。ある面わがままに、ある面自由に、しかし唸る、感心するデザインを創出する力を持っている。これからのデザイナーは、二律の方向を自在に行き来できるたくましさが欲しい。


第42回
森田敏昭  Toshiaki Morita
森田敏昭 森田さんは教師となって成長した一人である。デザイナーとしては、繊細で緻密なスキルを持つ人で個人的には好きなデザイナーだった。7年前に札幌市立高等専門学校専任教員となり、環境が一変した。しかし、この間に実践した仕事は、若い学生達を開花させデザインの現場を知る機会を数多く作った。個人事務所を行っていた時には、経験することのない貴重な体験であった。9月に森田さんからメールを頂き、10月初旬事務所に尋ねて来られた。この4月から東京造形大学准教授に就任したことは、案内をいただいていたので知っていた。久しぶりに再会し、真面目な人柄と新に背負った課題に対して前向きな姿勢を感じた。人は節目節目で成長し、新たな使命を背負っていく。その時も「何か一緒にしたいね」と話した。それがビジネスであろうと社会に役立つことだろうと、何か一緒に出来そうな感じがした。


第4回
清水泰博  Yasuhiro Kiyomizu
清水泰博 清水泰博さんを紹介したのは9年前のことである。当然足掛け10年の間に清水さんの環境は一変した。主な肩書きは、東京芸術大学美術学部デザイン科助教授である。拠点も京都から東京に移され、これまでの実績は数多く列記された受賞歴や個展・グループ展から充分すぎるくらい伺い知ることが出来る。もともと作り手の家に生まれ、歴史的な価値あるものに溢れた環境で眼力が養われ、自ら建築を学び、そしてデザイン・アートのジャンルに捉われることなく創造人として日々実践してきたリアル感が自ずと滲み出る。彼の活動を、考え方を身近に聞きける芸大生は幸せである。年齢的にも熟成された領域に入り、今後さらに大きな役割を担うことであろう。


第104回
島津勝弘  Katsuhiro Shimazu
島津勝弘 2006年に開通した富山ライトレールは、全国紙でも数多く取り上げられるほどの成功例である。富山県総合デザインセンターでは、このプロジェクトをお話しいただくセミナーを企画した。タイトルは「環境のプラス領域に踏み込むユニバーサルデザイン」。講師は、プロジェクトの中心的な役割を担ったGK設計の宮沢功氏とクリエイティブディレクターの島津勝弘氏である。この会で島津氏のデザインを越えたパワフルな活動をお聞きし、またこれまで手がけたプロジェクトがサインデザイナー、グラフィックデザイナーの領域をはるかに超えた濃い内容に驚き、その場でこのコーナーへの登場を依頼した。美しいデザイン、美しいカタチへの追求を踏まえた上で、島津氏は使う人の目線で考え、使う人の立場にたったデザイン、その場のポテンシャルを最大限に生かすデザイン、さらには公共施設に参画する意味やCSRの視点などデザイナーを越えた仕事ぶりである。そのスケールの大きさと忍耐強さは見習わなくてはならない。こうした島津デザインは、今回紹介する他のプロジェクトにも共通する。全国各地には、まだまだ熱く頼りになるデザイナーがいるのであろう。


第103回
太田 登  Noboru Ota
太田 登 18年前、ニューヨークのチャイナタウンで世界を放浪する太田青年と知人を介して初めて出会った。建築が好きで、とくにアバンギャルドな建築が好きで、分析・解析するのが好きだった。その太田青年も40歳を過ぎ、大好きなニューヨークを舞台に日々建築デザインを追い求めている。確か、本日からソーホーのギャラリーで個展「アーティフィシャル・ランドスケープ」が開催されているはずである。これまで多くの建築デザインを見せてもらったが、やはりコロンビアで師事したハニー・ラシッドが主宰するアシンプトートで担当したプロジェクトが現在のベースとなっている。直接担当したノール社のための新たなオフィスシステム「A3」は、過去の形態にまったく捉われないイノベーティブなデザインだったと記憶する。これまで日本のメディアに登場することなく来たが、今後は新たなデザイン領域に取り組んでいるケースとして、日本での発表の機会があるといい。なぜならば、今回紹介するコンペティション応募作品からもその意欲が充分感じられるからである。


第102回
design office A4 (福井 守、婦木佑太、菅野大門)  design office A4 (Mamoru Fukui, Yuta, Fuki, Daimon, Kanno)
design office A4(福井 守、婦木佑太、菅野大門) A4は、二十代半ばのヤングデザイナー集団である。このページでは、基本的には二十代のヤングデザイナーは、紹介しないことにしている。というのも一発屋では困るわけで、少なからずデザイナーとしての将来性が確信できることを自らの判断材料にしている。今まで紹介してきた中で最も若いこのデザイナー集団はどこかで化けると信じ、その動向をこれまで注意深くマークしてきた。デザインは、若者らしくのびのびとしたデザインで気持ちよい。へんにカタチに走らずデザインに隔たりもないのもよい。最近は、コンペにも名を連ねるようになって、勢いづいている。将来の飛躍がもっとも楽しみなユニットとして、今回紹介することにした。ガンバレ!! 最後に一言、今回紹介する「faces stamp」は、黒木さんが感心していたデザインで、亡くなったその日にサンプルが黒木さんの自宅に届きました。


第101回
東海林弘靖  Shoji Hiroyasu
東海林弘靖 東海林博靖さんは、とてもいい奴だ。主宰するライティングデザインのホームページの「who」にその一端を見ることができる。銀座一丁目の事務所を訪れると透明なアクリルの分厚いドアが迎えてくれる。スタッフルームは畳敷きのカーペット。打ち合わせルームに座るとメニューが出され飲み物がチョイスできる。この段階で心はリラックス、こんな人と一緒に仕事をしたら楽しいだろうなと思わせる。その仕事ぶりは親切、丁寧、フットワークも軽く、じわじわ照明デザインの深さを知る。手がけてこられた仕事は、どれも建築雑誌等で紹介された一流の仕事ばかり。東海林さんとは、2001年仏製のバルーン照明を会場に持ち込み行った「生活のデザイン展」以来のお付き合いだ。照明は、人の心をリラックスさせてくれたり、都市・建築を美しく見せたり、また日常と非日常とを切り替えてくれる装置であったり、実に深い領域だ。しかし、あらためて今回紹介するデザイン(作品)を眺めてみると、どのプロジェクトも東海林さんチームの暖かなメッセージが込められていることを再確認する機会となった。


 このページは、第101回から第123回までの20人のインデックスです。
第1回〜第20回
第21回〜第40回
第41回〜第60回
第61回〜第80回
第81回〜第100回
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