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【桐山登士樹+西中川京】ミラノサローネレポート

【全体】

一見するとただ単にやさしくフェミニンな印象を受ける今年のデザイントレンド。しかし時間をかけてじっくり考察してみるとその本質は興味深い。近年のデザイントレンドが、時間的なコンテクストに沿った転換期のデザインであったのに対し、今年のデザインには「変態・metamorphosis」の要素が多分に含まれている。
一番の変化は色。昨年までの主流だった白黒は影をひそめ、ペールカラーを中心に単色から多色まで遊び心に溢れた使い方がされている。次に家具のオブジェ化。フォルムからテキスタイルまでアートやファッションの要素が多く取り込まれ、ボーダーレス化が加速した。その一方でマテリアルの薄さを特徴にした家具も競うように登場。また社会情勢を反映して代表作をスモールサイズ化して再販するメーカーやエコロジーを意識したファニチャーの数多くの展示に、家具デザイン業界が21世紀の命題に取り組む姿勢が見られた。

【満開のペールカラー】

今年のデザイントレンドの一番の特色はカラーリング。モノトーンやシルバーが主流だった昨年までとは違い、会場はまるでさなぎから蝶が脱皮したように華やかな色使いが楽しめた。
中でもベイビー、ローズ、サーモン、ラベンダー、桜と様々なピンク色の家具が数多く登場。ミントグリーンやアイスブルー、ライラックと、
ここ数年全く登場しなかった色を中心に、ペールブラウン、ペールグレーなどペールカラーが続々と並んだ。去年の主流だった白や黒は、
ライトオレンジ、グリーンと共に差し色としてこれらの色に添えられた。

MOROSO/Bouquet/吉岡徳仁
一枚ずつ手仕事でつけられた花びらにペールカラーが活きる

edra/Flap/Francesco Binfaré
アラビアンナイトをイメージしたコレクションを発表したエドラ。往年の作品もミントグリーンのワニ皮押しをしたレザーでフレッシュに衣替え。

vitra/Rotterdam Chair/Hella Jongerius
黒や白をベースにペールグレーや白木の色が活かされたロッテルダムチェア。座面に入ったライトイエローのポイントがきいている。

PASTOE/Motion/Elisabeth Lux
システム家具で有名なパストゥーもペールカラーのコンビネーションになった新作を紹介

CASAMANIA/TWINE TABLE/WIS DESIGN

moooi/Lolita/Nika Zupanc
‘Who is afraid of pink?’の呼びかけで始まるデザイナーメッセージ。フェミニティの典型を追求して生まれたランプ。

【 POP! コンビネーション／マルチカラー】

色のもう一つの特徴がポップな色使いのコンビネーションカラーもしくはマルチカラー。黒や白をベースに、ペールカラーではなく彩度の高い強い色を組み合わせ、まるでおもちゃのようなポップな印象を作り出していた。作品にはそれぞれ単色のバリエーションも準備されていたが、コンビ／マルチカラーの表情の方が断然新鮮である。

cappellini/STITCH CHAIR/Adam Goodrum
アルミ板を使った折りたたみ椅子は、基本は白、青、黄、灰、赤、黒の単色ラッカー仕上げ。写真は全ての色を組み合わせたもの。単色仕上げよりもパーツや仕組みが分かって面白い。

cappellini/PO0803 /Francois Azambourg
「日本の漫画のように遊び心にあふれてカラフルなイメージを陶器で表現した」そうだ。

Moroso/Tropicalia/Patricia Urquiora
熱可塑性のあるポリマー糸を使用。シェーズロングやアウトドア用の椅子もある。カラーは他に白と黒、ラタン色。

Kartell/HI CUT/ Philippe Starck with Eugeni Quitllet
上部15センチに付けられたレインボーカラーの帯は、椅子に表情だけでなく弾力性も与えている。ストラクチャー部分が透明と白のバージョンもある。

edra/ Paesaggi Italiani/Massimo Morozzi

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