- デザインコンセプト
- 担当:tent architects studio+奥山尚史建築設計事務所
世田谷区・赤堤の住宅地に建つ、木造アパートの改修である。空室となった部屋から順次工事する計画で、今回は1階の101号室と外壁を改修した。
まずは大きくアプローチを変更した。部屋の北側には、洗濯物を干すのが精一杯という程度の庭先に、アパートの規模にくらべて大きめの屋根付き駐輪場があった。必要な台数を精査することで駐輪場を縮小し、101号室の庭を拡大。そこに玄関も移動し、専用のアプローチテラスをつくりだした。
内部は34m2と面積的には決して大きくない。いかにもアパートといった出窓や、不整形な敷地形状に合わせるための雁行した壁など特徴的な要素がいくつかあった。そこでまず、間仕切りをすべて撤去した上で、部屋の中央に3面を壁で囲まれたバスタブを配置し、回遊できるプランとした。また、このバスタブによって空間にくびれが与えられ、テラスと一体になった開放的なリビング、出窓からの光が柔らかく拡散するキッチン、雁行した壁により“奥の方にあるように感じられる”寝室など、複数の居場所が共存することが可能になっている。
家具は、既存柱に近い色味のラワン製で、そのコーナーには既存の出窓と同じ角度のテーパーをつけた。広くない部屋の中で、いろいろなモノが配置されてもできるだけ動きやすいようにという理由からテーパーを施したが、同時に、空間の質をつくりだす重要な要素となっている。
他の住戸も同様に、専用のテラスからアプローチする形に変更していく予定。最終的には、さまざまな方向を向いた長屋が集積したような状態をつくりだそうとしている。
所在地 | 東京都世田谷区 |
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平米数 | 34m2(101号室) |
構造 | 木造 |
設計監理 | tent architects studio(高橋将章/田岡博之)+奥山尚史建築設計事務所 |
構造アドバイス | 三原悠子 |
施工 | ダブルボックス |
造作家具 | ニュウファニチャーワークス |
竣工 | 2016年4月 |
撮影 | 太田拓実 |