クレシュ六本松は、福岡市内の住宅街に位置する定員90名の園児を受け入れる認可保育園。建築設計と空間デザイン、ロゴデザインを手がけた。

コンセプトは「色の木立」。ファサードの2面には、日差しを避けるため庇を大きく出し、そこに22色のカラフルな木立をリズミカルに配した。全面開口による開放感を持たせながらも、外部との程よい距離感を保つ木立は、子どもたちにとって視覚的にも優しく守ってくれるような存在だ。保育室壁面には25色のボックスが並ぶ。子どもたちは自分の着替えや道具を取り出すたびに色に触れることとなる。また4層をつなぐ階段室では18色を塗り分け、階段を上がるごとに異なる色に包まれるよう演出した。さらに木立をモチーフにデザインした園のロゴは、館名のサインだけでなく、園児のユニフォームや園バスにも使用され、園全体のイメージに統一感を持たせている。

3階建ての建物の1階は、前面にピロティーを設けて駐車場とし、屋内には事務室や厨房、会議室などを配した。2階は0歳から2歳まで、3階は3歳から5歳の子どもの保育室、屋上には園庭を設けた。

2階、3階はほぼ同じ平面をもち、フロアの北側に階段やトイレ、収納などの機能を集約させ、L字型のフリースペースを計画した。これにより保育室全体に開口を設けることができ、子どもたちは街の風景や変わりゆく太陽の動き、そして天気などを常に感じることできるほか、街に対して活動的な子どもたちの姿を示すことができる。

カラフルな木立と、どこにいてもたくさんの色が感じられることで、子ども1人1人の豊かな感性を育むことのできる空間であると共に、街の元気の中心となってもらえたらと願う。