富山の中心市街にある総曲輪(そうがわ)通り商店街にある「CÔTE À CÔTE(コータ・コート)」。富山の中心エリアで複数のセレクトショップを展開する「MAKES」が2019年2月にオープンした店舗です。
設計は、福岡と東京を拠点に空間設計を軸とするケース・リアルが担当。デザイナーの二俣公一さんに、制作の背景やコンセプトなどについてうかがいました。
■制作背景・コンセプト
「CÔTE À CÔTE」は、老舗ブランドから新進気鋭のブランドまでをそろえるセレクトショップ。店名はフランス語で「横並び」や「並んで」といった意味を持ち、「お客様と一緒にファッションを楽しめるお店に」というクライアントの願いが込められています。
区画は全蓋式のアーケード沿いにある空間で、はじめに既存空間を見た際に4.8mという天高が圧倒的だったため、この高さを最大限に生かしたショップにしたいと考えました。
■手法・特徴
セレクトされた多彩な商品の背景となるよう真っ白な漆喰壁をベースに、天井から吊り下げたステンレスのV字型ハンガーを整列させたシンプルな構成としました。ハンガーを吊るだけであればV字である必要はありませんが、V字にすることで天井に向かってより空間の広がりが出る(天井の高さが強調できる)ようになっています。
また、V字ハンガーを整列させると、自ずと商品部分と通路部分が生まれ、何か余計なものを加えなくても空間の良さが生きてくると感じました。
さらに天井は、ハンガーレイアウトに合わせて空調や照明などの設備機器を徹底して整理。ステンレスと相性の良い亜鉛メッキ仕上げの既製配線ラックを用いて、ライン照明やスポットライトなどのレイアウトを行いました。
漆喰壁にした理由は、空間同様、仕上げについてもシンプルでニュートラルなものが良いという考えからです。ただの塗装では味気なさを感じると考え、少し質感のあるものを選択しました。
また、店内と同じく全面白色で仕上げたファサードは、アーケードからそのままエントランスへと流れる緩やかなアール壁を取り入れました。一方で、通りと少し距離を取った構えとすることで店内に入る瞬間に感じる世界感を強めています。
デザイナーの二俣公一を中心に、インテリア・建築の設計に取り組む。都度おかれた環境・目的・問題から導かれる創造的なアイデアや技術的手段を用いて、そこにあるべき空間を本質的に実現する。
http://www.casereal.com/ja/
クライアント | 株式会社 メイクス |
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計画種別 | インテリアデザイン |
用途 | ブティック |
計画期間 | 2018年10月~2019年2月 |
計画築面積 | 159m2 |
計画地 | 富山県富山市総曲輪 |
設計 | 二俣公一、原田理生/ケース・リアル |
施工 | 株式会社宝来社 |
照明計画 | 株式会社モデュレックス |
撮影 | 志摩大輔 |