同店のインテリアデザインと、ロゴやパッケージなどのブランディングを担当したのは株式会社イド。同社の代表・小栗誠詞さんにデザインのコンセプトや特徴などについてうかがいました。
■背景
CHOOZE COFFEEは、高品質なスペシャルティコーヒーを用いたデカフェ豆を使用し、カフェイン量を選ぶ新しい体験を提案するコーヒーブランドです。コンディションに合わせたコーヒーを提供する場として、最適な空間を形にすることを試みました。
■コンセプト
店舗はオフィスワーカーが集うエリアに位置することから、緊張と緩和の交点となるバランスを模索しました。白やステンレスを基調とした無機質な空間でありながら、ブランドロゴに共通する柔らかな曲線や左官によるテクスチャーも取り入れています。
■手法、特徴
カフェイン抽出の研究を行うブランドの先進性を伝えるため、コーヒースタンドらしい要素は最小限に抑え、ラボのような印象に仕上げました。
その一方で、外に向けてコーヒーを淹れる様子を見せることによって、バリスタの働く姿がディスプレイとして機能するように考えました。小さな店舗を大きなショーウィンドウのように扱うことで、コーヒースタンドとしての認知を向上させることに貢献しています。
インテリアの要素を厳選することにより、ミントグリーンのブランドロゴや、カフェイン量ごとにカラーの違う商品パッケージへの誘目性を高めています。インテリアとグラフィックの双方からのアプローチによって、ブランドメッセージをわかりやすく伝えるようにしました。
■ブランディング
グラフィックデザインもブランディングの視点を持って手がけました。ロゴは工業的で機能的な印象のフォントを起点にしています。縦長ですっきりしたアルファベットの「O(オー)」はコーヒー豆のようなフォルムをしていることから、「O(オー)」の一部を抜き取ることでオリジナルの「C(シー)」に仕立てています。既存のものから一部を抜き取ることで、新しい別のものにすることを試みました。
これは、コーヒー豆からカフェインを最適な方法で抜き取ることで、美味しいデカフェを完成させる工程を反映したものとなっています。また、記号的なロゴによって、言語の異なる文化圏においても機能することを目指しました。
ブランドカラーは清潔感と柔らかさを備えたミントグリーンを選定。コーヒーカップやパッケージは、カフェイン量の違いを明確に示すカラー展開としています。コーヒーカップの「耳」のような部分は、切り取ることができ、当日中利用可能な半券として活用できる仕組みです。
また、コーヒー豆のパッケージは、3つのステッカーを組み合わせることで1つのグラフィックとして完成するようになっています。カフェイン量や産地など豊富なバリエーションに対応するためのしつらえです。
所在地 | 東京都中央区日本橋1-13-1 日鉄日本橋ビル1F |
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事業主 | ストーリーライン |
設計 | 小栗誠詞・岩瀬駿也/イド |
施工 | 榊原将英・水谷洋輔/ジェーピーディーエイチ |
延床面積 | 25m2 |
竣工日 | 2022年10月 |
アートディレクション | 小栗誠詞/イド |
グラフィックデザイン | 渋谷明/イド |
撮影 | 山内紀人 |