テキスタイルデザイナーや布もの作家が集う、3日間にわたる布好きのための祭典「布博」

テキスタイルデザイナーや布もの作家が集う、3日間にわたる布好きのための祭典「布博」

テキスタイルデザイナー、ファッションデザイナー、ボタン作家などが集う、手紙社主催の布好きのための祭典「布博」が2月20日~2月22日に町田パリオで開催された。会場の町田パリオは小田急線町田駅直結のレトロな駅ビルで、「街に愛されるビル」を目指してリニューアルプロジェクトを進行中。同会場での開催は今回で5回目となる。

会場には、思わず胸がときめくようなプリント生地、織布、型染め・草木染めなど伝統的な技法を使った作品、それらを使って生み出された衣類や小物をはじめ、ボタンやブローチ、靴下なども数多く並んだ。回を重ねるごとに、注目度を高めて集客を増やし続けている同イベント、今回は3日間で約7700人の動員があったという。

取材に訪れたイベント初日から多くの布好きが集まり、この日を心待ちにしていたことが伺い知れる盛況ぶりだった。「布博」はいわゆる見本市というよりは、出展者・出品者のものづくりにかける想いを肌で感じられる交流の場というほうが正しいだろう。作品の制作方法や素材などについて、直接作家と会話してから購入することができる。いままで知らなかった作家と新たに出会うことができるのも楽しみのひとつだ。

色とりどりのテキスタイルが場内を彩る

色とりどりのテキスタイルが場内を彩る

先述したように、会場は多くの来場者による大変な盛況ぶりだったため、限られた時間でしかお話をうかがうことができなかったが、気になった出展者を紹介したい。

【kakapo】「世代を超えて10年後も20年後も愛され、使われるファブリックを」。そんな想いがこめられた、オリジナルファブリックのシャツ。色鮮やかでパッと目に飛び込むような楽しげな柄が印象的。大きな柄ものが多く、裁断場所によって柄がずれていくため、シャツやバッグはすべて少しづつ異なる表情に。

明るいカラーの大胆な柄が特徴の「kakapo」

明るいカラーの大胆な柄が特徴の「kakapo」

【Masashi KONDO】自然をモチーフにしたテキスタイルをシルクスクリーンで制作。透明感のある柔らかなもの、夏の光を思わせるような鮮やかなもの、色とりどりの表情豊かなデザインが特徴。Masashi KONDO氏の明るい表情が作品にも反映されている印象を受けた。

テキスタイルデザイナーMasashi KONDO氏

テキスタイルデザイナーMasashi KONDO氏

【JUBILEE by Yasunobu Shimizudani】絶妙な配色の幾何学模様がひときわポップ。シミズダニヤスノブ氏は手捺染(ハンドスクリーンプリント)でひとつひとつのテキスタイルを自ら作り上げている。できるだけ少ない要素で、リズミカルな色と形を生み出す演出を工夫しているとのこと。

「JUBILEE by Yasunobu Shimizudani」のシミズダニヤスノブ氏

「JUBILEE by Yasunobu Shimizudani」のシミズダニヤスノブ氏

【素の素®】ボタン作家の相馬美穂氏による手作りボタン。リボン、レモン、バスケットボール、食パン、コーヒー豆…などなど、オーブン粘土を金太郎飴のように組んで作られたカラフルなボタンの数々を前にし、自分のお気に入りを探す来場者の眼差しも真剣そのもの。

「素の素®」のカラフルなボタン数々

「素の素®」のカラフルなボタン数々

「素の素®」の相馬美穂氏

「素の素®」の相馬美穂氏

会場では、刺繍やボタンづくり、シルクスクリーンなど、さまざまなワークショップも開催されていて、参加者がみな嬉々として取り組んでいたのが印象的だった。最後に、個人的には物欲を抑えるのが大変なイベントだったことを記述しておきたい