見たい、知りたい!今月のイベント―2019年10月

見たい、知りたい!今月のイベント―2019年10月

10月もなかばに入り、徐々に過ごしやすい気候になってきましたね。「芸術の秋」と言いますが、毎年秋は編集部に送られてくるイベント情報や展覧会情報も増える気がします。

今月は、グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、アート、工芸など、さまざまな分野のイベントをご紹介します!

日本のアートディレクション展 2019

銀座にあるクリエイションギャラリーG8にて、「日本のアートディレクション展 2019」が10月23日から11月16日まで開催します。本展は、アートディレクターを中心に構成されるADC(東京アートディレクターズクラブ)の全会員が審査員となり行われる年次公募展。ポスターや新聞、雑誌、テレビ、Webなど多種のジャンルの広告・グラフィック作品の中から、ADC会員の審査によって選出された優秀作品が展示されます。

今年度も、2018年5月から2019年4月までの1年間に発表、使用、掲載された約8,500点の広告・グラフィック作品の応募があり、ADC会員の厳正な審査により、受賞作品と年鑑収録作品が選出されました。選び抜かれた受賞作品、優秀作品をクリエイションギャラリーG8とギンザ・グラフィック・ギャラリーの両会場で紹介します。

日本の広告やグラフィックデザインの先端の動向を反映する賞として注目を集める、最高賞の「ADCグランプリ」には、井上嗣也、稲垣純、吉田多麻希、オノセイゲンが手がけた、COMME des GARÇONS「SEIGEN ONO」のポスター、「ジェネラルグラフィック」が選ばれました。日本の広告&グラフィック界の最新の表現を一堂に見ることができるよい機会、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

会期:2019年10月23日(水)~11月16日(土)
場所:クリエイションギャラリーG8、ギンザ・グラフィック・ギャラリー
http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/201910-3/201910-3.html

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2019

世界各地の先鋭的な舞台芸術を紹介してきた京都発の国際舞台芸術祭「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」が、今年で記念すべき10回目を迎えます。

ロームシアター京都や京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座などを舞台に、演劇やダンス・音楽にとどまらない、従来のジャンルを越境したいま注目すべき多様な表現が京都に集う23日間。今回は「世界の響き —エコロジカルな時代へ」をプログラムのテーマに、日本を含む世界の6つの地域から先駆的な活動を行うアーティストを招き、11の公式プログラムで構成します。

チョイ・カファイ『存在の耐えられない暗黒』 Photo by Katja Illner

チョイ・カファイ『存在の耐えられない暗黒』 Photo by Katja Illner

公式プログラムのアーティストは、チョイ・カファイ、チェルフィッチュ×金氏徹平、庭劇団ペニノ、ブシュラ・ウィーズゲンを含む11組。創造と交流の実験の場として、京都という都市が国際的な舞台芸術のプラットフォームとなることを目指しています。

会期:2019年10月5日(土)~10月27日(日)
場所:ロームシアター京都 ほか
https://kyoto-ex.jp/2019/

現代日本のパッケージ 2019

身近な印刷物の代表例であるパッケージには、使いやすさに配慮したユニバーサルデザインや、地球環境に優しい包装材の開発など、解決すべき課題に対しさまざまな努力がなされています。

凸版印刷株式会社が運営する、印刷博物館 P&Pギャラリーでは、そんなパッケージデザインにフォーカスをあてた展覧会「現代日本のパッケージ 2019」を開催。本展は日本で開催されている3つの大規模なパッケージコンクールの受賞作品を展示し、現代のパッケージデザインや機能の進化を紹介するものです。

〈 aibo Package 〉ソニー 日本パッケージデザイン大賞 2019 大賞

〈 aibo Package 〉ソニー
日本パッケージデザイン大賞 2019 大賞

毎年開催されている本展は、トップレベルのパッケージデザインが一度にたくさん見られることもあり、多くの来場者でにぎわいます。仕事や作品づくりのヒントが見つかるかもしれません。

会期:2019年9月28日(土)~12月8日(日)
場所:印刷博物館 P&Pギャラリー
https://www.printing-museum.org/exhibition/pp/190928/

ゴッホ展

明るい色彩と、勢いある筆づかいで世界中から愛される画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。その代表作のほとんどは、晩年の、わずか数年間に描かれたものだということをご存知でしょうか?

東京・台東区の上野の森美術館にて開催中の「ゴッホ展」は、ゴッホの絵画のルーツであるハーグ派や彼に大きな影響を与えた印象派という“ふたつの出会い”によって導かれ、ゴッホが後期印象派を代表する画家のひとりになるまでを紹介します。

会場では、約40点のゴッホ作品に加え、マウフェやセザンヌ、モネなどハーグ派と印象派を代表する巨匠たちの作品約30点や、ファン・ゴッホが手紙の中で語った言葉を交えながら、独自の画風にたどりつくまでの過程を掘り下げて紹介します。あなたの知らないゴッホがここにいます。

会期:2019年10月11日(金)~2020年1月13日(月)
場所:上野の森美術館
https://go-go-gogh.jp/

リノ・タリアピエトラ ライフ・イン・グラス

富山市ガラス美術館にて、現代ガラス芸術の巨匠リノ・タリアピエトラの展覧会が開催されます。リノ・タリアピエトラは、1934年にヴェネチアン・グラス生産の中心地であるイタリアのムラーノ島で生まれ、幼少期から伝統的な吹きガラスの技術を学び、卓越した技と発想をもつマエストロとして頭角を現します。

1970年代からはアメリカにて活動を展開し、国際的な教育機関などでの指導を通じて、ムラーノ島で培われた制作技術を伝え広めてきました。自身の制作活動に専念するようになってからは、行く先々で出会う都市や自然、世界各地の文化や言葉の響きがもつイメージなどに着想を得て作品に取り入れていきました。ガラスと対話を重ねる中で、形や色、デザインの組み合わせを探求する彼の作品には、生気に満ちた鮮やかな色彩や、熔けたガラスの伸びやかな動きが表されます。

リノ・タリアピエトラ《Secret Garden》2018年  Lino Tagliapietra Collection 撮影:Russell Johnson

リノ・タリアピエトラ《Secret Garden》2018年
 Lino Tagliapietra Collection 撮影:Russell Johnson

本展はタイトルにある「ライフ・イン・グラス」のとおり、1950年代から現在までに制作された約80点の作品を展示することで、リノ・タリアピエトラがガラスに捧げた足跡を辿ります。

会期:2019年10月12日(土)~2020年2月9日(日)
場所:富山市ガラス美術館 2・3F 展示室1-3
http://toyama-glass-art-museum.jp/exhibition/exhibition-3029/

わくわくなおもわく

2019年6月に開館5周年を迎えた、福島県猪苗代町にある、はじまりの美術館。企画展「わくわくなおもわく」は、“共同性”をテーマに、誰かと誰かの「わくわくなおもわく」で生まれた作品や取り組みを紹介する展覧会です。

出展作家は、悪魔のしるし、折本立身、鎌江一美、Q&XL(NPO法人スウィング)、小山田徹+香月、藤井真希子+橋本吉幸、宮田篤、橋本克己の8組。

ユニークな作品や心動かされる取り組みによって、来場者の気持ちを刺激し、いろいろなおもわくが新しい何かを生み出すきっかけをつくることを目指す展覧会です。

会期:2019年7月27日(土)~11月10日(日)
場所:はじまりの美術館
http://hajimari-ac.com/enjoy/exhibition/omowaku.php

「気付いたら終わっていた…」なんてことも多いイベントや展覧会。外を出歩くのも気持ちいい季節なので、ぜひ「思い立ったが吉日!」で、芸術の秋を探しにいってみてはいかがでしょうか。来月も編集部が気になるイベントをご紹介します。

構成:石田織座(JDN) タイトルデザイン:カヤヒロヤ