第21回亀倉雄策賞受賞記念 色部義昭展「目印と矢印」
グラフィックデザイナー亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的に1999年に設立された亀倉雄策賞。第21回は、日本デザインセンター・色部義昭さんの、地下鉄のCI計画「Osaka Metro」に決定しました。受賞を記念し、クリエイションギャラリーG8で個展を開催。
色部さんは、DIC川村記念美術館や須賀川市民交流センター tetteといった美術館や公共施設のブランディング、サイン計画をはじめ、「naturaglace」や「Liquitex」などのパッケージデザイン、「TAKEO PAPER SHOW 2011−本」や「富山県美術館の目印と矢印」の会場構成など、幅広くデザインを展開してきました。
今回の受賞作品は、公営から民営の地下鉄として開業した「Osaka Metro」のCI計画。Metroの「M」の中にOsakaの「O」を内包した、立体的で螺旋状に動きのあるシンボルを中心に、エネルギッシュな大阪の町や走り続ける活力を表現しています。列車内や駅構内のスクリーン用のモーションロゴは、リボンのような“M”の文字が大阪の頭文字“O”に変化するという、ちょっとしたひらめき!を味わえます。
場所:クリエイションギャラリーG8
http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/201904/201904.html
PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス
『The Science Behind PIXAR』と題して2015年にボストンサイエンスミュージアムで開催され、その後アメリカおよびカナダで140万人以上(合計8箇所)を動員した、超人気展覧会がアジア初開催です。
展覧会内容は、実際のアニメーション制作のカギとなる8つの工程を通して、PIXARアニメーションを支える科学について学べるハンズオン展示。モデリングやリギング、アニメーションといった専門的な知識や技術を、『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』などPIXARアニメーションの人気キャラクターを使って体験できます。展覧会タイトルにもあるように、PIXARのアニメーションの“ひみつ”や裏側を知ることで、さらに作品への理解が深まること間違いなしです!
場所:六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー
https://tcv.roppongihills.com/jp/exhibitions/pixar/index.html
わたしはどこにいる? 道標(サイン)をめぐるアートとデザイン
富山県美術館で開催中のちょっと不思議なタイトルの展覧会は、人を目的地に導く目印「道標(サイン)」に注目したもの。普段意識することは少なくても、駅や空港、商業施設、美術館などのあらゆる場所に、標識や案内板、矢印やピクトグラムといったさまざまなサインが存在しています。一方で、「人生の道標(みちしるべ)」という表現があるように、場所やそこにいたる道程は人間の生き方とも分かちがたく結びついています。
本展ではグラフィックデザイナーによるサインデザインと、場所との関係性を追究した現代美術作品をあわせて紹介。出品作品を通して、人間がどのように場所や空間を理解し、伝えようとしてきたのか、そしてその中でめぐらされる「わたしはどこにいる?」という問いに、「アート」と「デザイン」の双方から迫ります。鑑賞後は、自分がよく使う駅やオフィス近く、家のまわりなど身近なサインを見直すきっかけになりそうです。
ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ
アメリカのアーティスト、ジョゼフ・コーネル(1903-1972)は、古書店や骨董品店から蒐集したお気に入りの小物、本の切り抜きや絵画の複製写真を、手製の木箱におさめた「箱」の作品で最もよく知られています。また、初期から晩年にいたるまで多彩なコラージュを手がけるとともに、映像作品の制作にも関わり、実験映画の先駆者としても評価されています。
本展は、DIC川村記念美術館のコーネルのコレクションに加え、国内の美術館および個人が所蔵するコーネル作品を集結させ、箱、コラージュの展示のほか、上映機会の少ない映像作品など、約50点が展示されます。また、コーネルがデザインした雑誌などの印刷物、日記や手紙をはじめとした資料も合わせて展示。作家の表現の魅力だけでなく、制作に向かう姿勢や人物像にも迫った展示内容です。
菅俊一展 正しくは、想像するしかない。
映像作家の菅俊一さんは、人間の知覚能力に基づく新たな表現の研究・開発を行っているクリエイターです。今回の展覧会では、私たち人間が持つ想像する能力について考察します。
本展は、以下の3つのテーマによって展覧会は構成されます。
1)線の質感・表現を変えるだけで「透過」感覚を作りだす試み。
2)ディスプレイや紙に描かれた顔の視線同士をつないで、空間に線を描く試み。
3)これまで目にしてきた情報を手がかりに、その後どうなるのかを想像させる試み。
それぞれの展示を通し、人間の知覚能力の可能性を実体験することのできる内容になっているそうです。菅さんは公式サイトにて、『今回のプロジェクトでは、この私たちの持つ素晴らしい能力の一端に触れるため、点や線で構成された最小限の手がかりだけで、「透明」「視線による空間把握」「切断による時間生成」という3つのイメージをみなさんの頭の中に作りだす試みを行います。ここに並んでいるのは手がかりだけです。正しいイメージを作りだすには、鑑賞しているみなさんの想像力を使うしかないのです』とコメントしています。
展覧会タイトルだけでなく、コメントからも体験してみたい欲が高まります!自分が持つ想像する能力に新たに気づいたり、見直すきっかけになりそう!?
d design travel KOCHI EXHIBITION
渋谷ヒカリエにあるd47 MUSEUMは、47の展示台を常設し、47都道府県の個性と魅力を伝えるギャラリーです。今回は47都道府県を1県ずつ1冊に編集した観光ガイド『d design travel』の25冊目にあたる、『高知号』の発売を記念して開催される展示会。
会場では、実際にその土地で使われている高知県ならではの道具や日用品、工芸品、建築の一部などが特別展示。展示品のほとんどが、『d design travel』編集部が取材中に出会ったもので、それらすべてに歴史と進化があり、知れば知るほど興味深く、その場所を構成するロングライフなものばかり。
今月末からは、多くの人が待ちに待ったゴールデンウィーク。何かいつもとちがう体験や感動を味わいたいなという方は、ぜひ展覧会やイベントに行ってみてはいかがでしょうか?来月もお楽しみに!
構成:石田織座(JDN) タイトルデザイン:佐伯ゆう子