見たい、知りたい!今月のイベント―2019年3月

見たい、知りたい!今月のイベント―2019年3月

本日、3月6日は世界一周記念日だそうです。なんでも、1967年3月6日に日本航空の世界一周西回り路線が営業を開始したことから、記念日になったとか。今年はゴールデンウィークも長いし、どこかに旅したいな~など考えてしまいませんか?

と、少々強引な書き出しでスタートしましたが、そうは言ってもなかなかすぐに旅行!とはいかないもの。そんなときは、まず身近なあたらしい世界観を感じられる展示やイベントに足を運んでみてはいかがでしょうか?今月も編集部おすすめのイベントをいくつかご紹介します!

光るグラフィック展2

銀座のクリエイションギャラリーG8で開催されている「光るグラフィック展2」は、2014年2月に開催した「光るグラフィック展」の第2弾。前回は15組のグラフィックデザイナーやデジタルクリエイターの作品を同じサイズの光るモニターで展示し、クリエイターの多様な表現やアプローチが紹介されました。

本展の企画は前回と同様、田中良治(Semitransparent Design)さんが担当。今回フォーカスしたのは、実空間と仮想空間。展示構成はギャラリー内に田中さんがセレクトまたは制作依頼をしたポスターや絵画、写真、映像などの作品を展示し、まったく同じ展示空間を3D空間上にも作り、実空間と3D空間の両方で同じ作品を鑑賞できるというもの。

デジタル技術の進化やインターネット環境の変化により、現実と仮想の境界がなくなってゆく中で、「オリジナル」の所在はどこにあるのか。現実空間と仮想空間のそれぞれに置かれたとき、グラフィックはどのように存在するかを体験する展示会となっています。

会期:2019年2月22日(金)~3月28日(木)
場所:クリエイションギャラリー G8
http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/201902/201902.html

アルヴァ・アアルト もうひとつの自然

アルヴァ・アアルト(1898-1976)は、「マイレア邸」「パイミオのサナトリウム」「ヴィープリ(ヴィーボルク)の図書館」など、個人邸宅から公共建築までを設計したフィンランドを代表する建築家です。建築にあわせて、家具をはじめ壁面タイルやドアノブに至るまでをデザインするなど、ディテールへのこだわりも徹底していました。また、アームチェアやスツール、照明器具、流線形のガラス器など、彼が手がけたプロダクトデザインは、今やフィンランドデザインのシンボルといえるほど世界中で親しまれています。

本展はヴィトラ・デザイン・ミュージアムとアルヴァ・アアルト美術館の企画による国際巡回展で、ドイツを皮切りに、スペイン、デンマーク、フィンランド、フランスの各国で開催され、日本では20年ぶりとなる個展です。

アルミン・リンケ撮影、ヴィープリ(ヴィーボルク)の図書館/Alvar Aalto, 1927-35 ⓒArmin Linke, 2014

アルミン・リンケ撮影、ヴィープリ(ヴィーボルク)の図書館/Alvar Aalto, 1927-35 ⓒArmin Linke, 2014

オリジナルドローイングや家具・照明などのプロダクトなど、約300点の作品が展示される本展。前からアアルトをご存知の方は魅力を再発見する機会として、はじめて触れる方はアアルトの作品が持つ、周囲の環境との親和性や空間と光の調和のなかに「もうひとつの自然」のような存在を感じるでしょう。

会期:2019年2月16日(土)~4月14日(日)
場所:東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201902_aalto.html

第三期「キテレツ大百科」×「ドラえもん」

藤子・F・不二雄のまんが作品の中には、バラエティ豊かな道具が登場します。代表的なものが『ドラえもん』の22世紀の未来の“ひみつ道具”。そしてもう一つが、『キテレツ大百科』に登場する、江戸時代の天才キテレツ斎が「奇天烈大百科」に書き残した手作りの“発明品”。

本展では、『キテレツ大百科』の発明品を中心に、それに類似する『ドラえもん』のひみつ道具を並べて紹介しています。他にも、『てぶくろてっちゃん』や『ポコニャン』など、ふしぎな道具が登場する作品の原画も展示。江戸時代の発明と未来のひみつ道具の原画を見比べてみるととても面白いはず。

©Fujiko-Pro

©Fujiko-Pro

多くの人が一度は見たことがある『ドラえもん』や『キテレツ大百科』。ポスターからしてグッとくるビジュアルですが、ひみつ道具好きにはたまらない展示。懐かしさとともに、こんな道具があったらな~という妄想にふけってください!

会期:2019年1月25日(金)~7月7日(日)
場所:川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム
http://fujiko-museum.com/exhibition/

エキソニモ 『LO』

江戸川橋にあるWAITINGROOMでは、エキソニモの個展『LO』を開催。エキソニモは、千房けん輔と赤岩やえにより1996年に結成されたニューヨーク在住のアートユニットです。インターネット上での作品発表を皮切りに、独自の手法とハッキングを思わせる感覚でインスタレーションやパフォーマンス、イベントオーガナイズなど、多岐にわたる活動を行い、日本のインターネットアートを20年に渡り牽引してきました。

国内では6年ぶりの個展となる本展は、「不完全なメッセージ」をテーマに新旧作織り交ぜた作品群で構成されます。2018年に水戸芸術館でのグループ展『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』で展示された2台のモニター作品《I randomly love you / hate you》の他に、本展のテーマに基づいて制作される新作、また過去作品からリミックスし直した作品などが展示されます。

《I randomly love you / hate you》2018年<br /> LCDモニター2台、シングルボードコンピューター(アンドロイド)、サイズ可変

《I randomly love you / hate you》2018年
LCDモニター2台、シングルボードコンピューター(アンドロイド)、サイズ可変

本展のタイトル『LO』は、1969年にインターネットの原型となるARPANETの最初の通信実験で送信されたメッセージからとったもの。デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り口と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く手がけてきたエキソニモだからこその展示です。

会期:2019年2月23日(土)~3月24日(日)
場所:WAITINGROOM
http://www.waitingroom.jp/japanese/exhibitions/upcoming.html

前田真理子 展覧会『いしをひらく』

新宿のビームス内にあるBギャラリーでは、ジュエリーデザイナー前田真理子の展覧会を開催。2013年にジュエリーブランド「MMAA(エムエムエーエー)」を立ち上げた彼女は、そのデザインの過程で石が持つ唯一の美しさに惹きつけられ、国内を中心にさまざまな土地を訪れては石を蒐集、観察してきました。

『いしをひらく』と題した本展では、多角的な実験を繰り返し行なってきた中でかたちとして現れてきた石の立体作品を展示、販売。ジュエリーだけではない、前田真理子の新たな試みを紹介します。

東京、京都、高知、静岡などで蒐集した石とアクリル樹脂を使ってつくられた作品は、微妙な淡い色合いが美しく、並んでいる様子は神々しさも感じます。

会期:2019年2月23日(土)~3月17日(日)
場所:Bギャラリー
https://www.beams.co.jp/news/1347/

ヘイセイ・グラフィックス

福島県須賀川市にあるCCGA現代グラフィックアートセンターでは、「ヘイセイ・グラフィックス」と題した展覧会が開催。今年4月30日に平成という一つの時代が幕を下ろし、新しい時代が始まります。1989年1月8日から30年余り続いた平成は、日本の元号の中でも4番目の長さに当たり、まさに一つの「時代」を形作ったといえます。この30年間は社会全体が目まぐるしく変化を続けた時代でした。

社会の構造自体が目まぐるしく変化していく流れの中で、大衆文化や情報、経済、社会などと密接にかかわるグラフィックデザインの領域においても、否応なく変化の波に飲み込まれることになりました。情報メディアの多様化により、ポスターの持つ媒体としての力は以前ほど大きいとはいえなくなりました。1970~80年代のようにその時代のビジュアルデザインを代表するような企業はなく、大きなカリスマが全体を牽引するという構図は見られなくなっています。

現在では、グラフィックデザイナーが活躍する領域も、ビジュアル表現にとどまらず多様なプロジェクトへと幅を広げており、デザイン自体が大きく変わろうとしています。

Eri Nagamine / Helvetica Design inc.

Eri Nagamine / Helvetica Design inc.

本展では、CCGAが所蔵するポスターの中から平成に入って制作された作品を展示。激動の30年間の中で、グラフィックデザインがどのようにその変化に寄り添い、また視覚コミュニケーションの力がどのように時代に影響を与えたのかを検証します。

会期:2019年3月1日(金)~6月9日(日)
場所:CCGA現代グラフィックアートセンター
http://www.dnp.co.jp/CGI/gallery/schedule/detail.cgi?l=1&t=3&seq=00000736

グラフィックや建築、アートなどさまざまな展覧会があたたかい季節の訪れとともに芽吹いています。展覧会内容はもちろんですが、この場所に行きたいから、ついでに美術館やギャラリーに行ってみようなど、いろんな形で足を運んでみてくださいね。

構成:石田織座(JDN) タイトルデザイン:佐伯ゆう子