
山々に開かれた田んぼの風景
「大地の芸術祭」は約760km²の広大な里山を10のエリアに分けて展示。全作品を回ろうとすると1~2日では到底足りない(1週間前後が目安といわれている)。 今回は下記の5エリアに絞って新作を中心に紹介したい。
・キナーレ・十日町市街地周辺エリア
・うぶすな・下条飛渡エリア
・絵本と木の実・十日町南エリア
・農舞台・松代中央エリア
・アジア芸術村・津南エリア
うぶすな・下条飛渡エリア
十日町の北東、信濃沿いから東の山々へ分け入るエリア。山々に開かれた田んぼの風景が楽しめる。
Soil Museum もぐらの館
このエリアの目玉となるのは、旧東下組小学校を活用した「土」を体感する美術館「Soil Museum もぐらの館」。左官職人、写真家、陶芸家などが参加し、それぞれアプローチで越後妻有の「土」の特質や歴史を表現している。
風還元「球体 01」/大平和正(2015)
直径約4.2m、厚さ25cmの巨大な土の球体が「Soil Museum もぐらの館」の入り口近くに圧倒的存在感をもってどんと構える。中は空洞だが、重さは21トンにおよぶとのこと。
もぐらの散歩道/日置拓人+本田匠(2015)
板材を用いずに土だけを積んでいく、もっとも原始的な土の工法(練塀の一種)を採用。几帳面さと懐かしさを感じさせる、不思議な土の世界が表現されている。
MABU(光ノ境界)/中里和人(2015)
越後妻有には、水田耕作の水を流すための、「まぶ」と呼ばれる素掘りのトンネルが数多く存在する。中里氏が2012年以降に撮った写真と映像を発表。写真(上)は階段の高低差をトンネルに見立てた映像作品。
原子へと続く道/佐藤香(2015)
土が持つ表情の美しさに魅了され、滞在場所で拾った多様な色の土で絵を制作する佐藤氏。今回は下条の土で土地がもつ魅力を壁に表現した。土地の豊かさや特色を表すような、土の色の多彩さに驚かされる。
土壌モノリス―日本の土・1万年のプロフィール(2015)
動植物の生死が繰り返され、砂や岩の粒は土壌となっていく。「国際土壌年」に際して、妻有と日本、そして世界の代表的な土壌を展示。数万年単位の時間がつくり出した絵画のよう。
泥枯山水階段/木村謙一(2015)
妻有の随所に数多く存在する崩落した崖をモデルとし、縦に細長い階段も掛け軸に見立てて、土を使った山水図を立体的・空間的に描いた。
「Soil Museum もぐらの館」からJR飯山線下条駅までの間にも作品は点在。特に神明水辺公園の作品は、展示されてから時間が経っていることもあり、完全に風景になじんでいる印象を受けた。
バタフライパビリオン/ドミニク・ペロー(2006)
神明水辺公園に建てられた、能や狂言の舞台にもなる「あずまや」。蝶の翅や万華鏡をイメージして、屋根には反射する素材が選ばれた。ちょうど池に咲く蓮の葉が美しく反射していた。冬は屋根を垂直にたたんで雪に備えることができる。
石の魚たち/荻野弘一(2000)
公園内に大小さまざまな形の石を配置。芝生の上を石の魚が泳ぎ回る。
小さな家-聞き忘れのないように-/伊藤嘉朗(2000)
うっかりすると見落としてしまいそうなこの作品。人ひとりが入ればいっぱいの地下室から、対岸にある一本の木を眺めるための場所。真夏に訪れると中はかなり暑い。
下条茅葺きの塔/みかんぐみ+神奈川大学曽我部研究室(2012)
JR飯山線下条駅ホームに直結、昔からそこに存在していたかのような馴染みかたをみせる、高さ11メートルの茅葺きのタワー。かつて多くの茅職人が暮らしていた下条地区、塔の内部には地元住民が持ち寄った民具が吊り下げられている。時には民謡の舞台になるなど、地域のランドマーク的存在。
▼ほかのエリアのフォトレポート
・キナーレ・十日町市街地周辺エリア
・絵本と木の実・十日町南エリア
・農舞台・松代中央エリア
・アジア芸術村・津南エリア
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」
会場:越後妻有地域(新潟県十日町市・津南町)760k㎡
会期:2015年7月26日(日)~9月13日(日)
http://www.echigo-tsumari.jp/