■背景・コンセプト

ParallelPlasticsは、「プラスチックを、もう捨てない」という理念のもと、プラスチック廃棄物の問題に取り組む革新的なリサイクルサービスです。従来の大量廃棄が深刻な環境問題を引き起こしている現状に対し、CO2排出量とコストを抑えた新しいリサイクル手法を開発しました。スマホケースやスマホアクセサリーなどを販売するHamee株式会社が運営しており、モバイルアクセサリー製造過程で発生する不良品や余剰在庫の廃棄課題が発端となっています。

一般的なマテリアルリサイクルでは、プラスチックの分別・洗浄・ペレット化といった工程が必要で、強度補完のために新しいプラスチック（バージン材）が加えられます。しかし、ParallelPlasticsではこれらの工程を省き、バージンプラスチックを一切使用しない「パーフェクトリサイクル」を実現しています。

組成の異なるプラスチックを溶かして混ぜ合わせるシンプルな方法で、リサイクルプラスチック純度100％のプロダクトを生み出します。これにより、リサイクルコストがかかるために燃料として燃やされていた不要なプラスチックに新たな価値を与え、有効活用することを目指しています。

「ParallelPlastics」という名称は、均質複製ではない「もうひとつのリサイクルの世界」、つまり混合されたもの同士をさらに混合し、唯一無二の成型物をつくり出す領域が立ち上がるという特徴から名付けられました。倉庫に眠る型落ち商品や、製造端材などの不要なプラスチックに新たな価値を与え、循環を通じて「100％リサイクル、排出量ゼロ」のものづくりを目指します。

ストーンリング

■特徴

ParallelPlasticsの最大の特徴は、リサイクルプラスチック純度100％の美しさにあります。従来の均一性を追求するのではなく、組成の異なるプラスチックを混ぜ合わせることで生まれる混合物としての個性を「リサイクルらしさ」と捉えています。特に、2色以上を混ぜて模様を発生させるマーブル成型技術を発展させ、天然石のような独特の質感と美しさを追求しています。

天然石のような見た目の「ストーンマグネット」

このマーブル成型による美しさには、一回性としての美しさと、自然物に見られるような混合色の美しさの2つの側面があります。一つは、独自のプロセスにより同じ模様は二度と生まれず、世界に一つだけのプロダクトが生まれること。もう一つは、プラスチックの原料がもともと自然物（古代の樹木や生物の化石）だったことに着目し、再び石のような表情に戻すことで、自然の美しさを再発見する点です。

また、リサイクルされる素材が持つ「物語性」も重視しています。廃プラスチックが粉砕される前の元製品の種類や特徴から要素を導き出し、新しい製品にその物語や歴史を受け継がせることで、新たな価値を創出。たとえば、育児用品メーカーの製造廃材から、新生児集中治療室（NICU）を退院する赤ちゃんのお母さんへ贈られるメダルが製作されました。このように、不要なプラスチックを「エコ」だけではなく、「魅力的なデザイン」として顧客に届ける仕組みを目指しています。

軽くて持ち運びやすい点も魅力の「ストーンミラー」

■Hamee株式会社 宮口拓也さんのコメント

不要なプラスチックに新たな価値を与える取り組みが社会から支持されてきた気がします。バージン材を使わない独自技術が支持され、多くのビジネスパートナーや消費者から共感を得られたことも大きな成果であり、特に複数の材料を組み合わせることで生まれる独特の素材は、環境意識の高い顧客から高い評価を受けています。

今後は、再資源化技術のさらなる進化と、アクセサリーだけでなく生活に密着したアイテムへのプロダクトライン拡大を通じて、リサイクル素材の実用性とデザイン性を兼ね備えた魅力を広めていきたいと考えています。