2020年度グッドデザイン大賞が自律分散型水循環システム「WOTA BOX」に決定

2020年度グッドデザイン大賞が自律分散型水循環システム「WOTA BOX」に決定

公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、2020年度グッドデザイン賞の受賞結果が10月30日に発表された。本年度の大賞は、WOTA株式会社による自律分散型水循環システム「WOTA BOX」が受賞した。

1980年の制定以来、時代を象徴するものとして、日本の社会におけるデザインのマイルストーンとしての役割を担ってきたグッドデザイン大賞。2020年度は「交感」をテーマに、審査委員長を安次富隆、副審査委員長をライゾマティクスの斎藤精一が務め、審査対象数4,769件の中から本年度のグッドデザイン賞として1,395件が選出された。

ファイナリストのプレゼンテーションおよび結果発表がオンラインにて配信された本年度は、大賞候補として選出されたVUILD株式会社の「宿泊施設 まれびとの家」、WOTA株式会社の自律分散水循環システム「WOTA BOX」、日本環境設計株式会社のサーキュラーエコノミー「BRING」、Taiwan Design Research Instituteの「plan Design Movement on Campus」、東京都の「ウェブサイト 東京都新型コロナウィルス感染症対策サイト」の5件が、YouTubeLiveにて最終プレゼンテーションに臨んだ。

その後、94名の審査委員と本年度グッドデザイン受賞者による投票が行われ、多くの票を集めた「まれびとの家」と「WOTA BOX」が決選投票となり、最終的に「WOTA BOX」が大賞へと選出された。

「WOTA BOX」は、生活排水を98%以上再利用することで、上下水道がない環境下でも水が使えるようになるシステムで、独自に開発した水質センサとAI技術を軸に、浄水処理と排水処理を両立することで、コンパクトな成り立ちでの水循環を実現している。持ち運びができるため、自然災害時の避難所での利用をはじめ、さまざまな場所での水利用を可能にする新たなインフラとしての役割が期待される。

大賞を受賞したWOTA株式会社の前田瑶介は、「2020年を契機に、自律分散型というテーマがようやく社会的な一定のコンセンサスを得はじめている気がしています。これを足がかりに、水問題の解決や水の自由の拡張に向けて頑張っていきたいと思います」とコメントしている。

なお、本年度全受賞デザインの中で総合的に特に優れたデザインを対象とした2020年度グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)全19件と、新たなビジネスモデルや新産業の創出とイノベーションの促進に寄与する優れたデザインを対象とするグッドフォーカス賞全12件も、あわせて発表されている。

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