隈研吾が登壇、「クマヒダ KUMAHIDA」発売記念の特別対談イベントが開催

隈研吾が登壇、「クマヒダ KUMAHIDA」発売記念の特別対談イベントが開催

老舗家具メーカーの飛驒産業による新製品「クマヒダ KUMAHIDA」発売を記念した特別対談イベント「木の時代 これからの100年を見据えて木の可能性を探る」が、9月27日に東京ミッドタウンのインターナショナル・デザイン・リエゾンセンターで開催された。登壇者は、クマヒダをデザインした建築家の隈研吾氏と、飛驒産業社長の岡田贊三氏。

クマヒダはチェアとテーブルからなる家具シリーズで、建築物に通じる柔らかい曲線をもつのが特徴のひとつ。イベントでは実際に二者がクマヒダに座りながら、コラボレーションの感想や製品のこだわり、木という素材の可能性などのテーマで対談がおこなわれた。

今回のコラボレーションについて岡田氏は、「飛驒産業は99年前の誕生以来ずっと“飛驒の匠”といわれる木工の技術をずっと継いできました。来年100周年を迎えるという記念すべきタイミングで隈さんとこうしてコラボレーションできたことは大変感激ですし、我々のものづくりに携わっていただけたのは本当に奇跡なんじゃないかなと思っています」と感慨を語った。

家具づくりに対しての思いを隈氏は、「家具はもともと大好きなんです。特に木の家具はそのマテリアルの温度やかたさを体でずっと触れて感じることができるし、人間にとって建築以上に近いものだと思うので家具のことは気になって仕方ない。いつか本格的に時間をかけて家具をデザインしてみたいと思っていました」と話した。

続けて隈氏は、「木は加工したとしても湿度や水分を吸収するので、生きている素材だと思う。木は倒れないように、育っているときから少しずつ内側に硬い部分を蓄えていますが、硬い部分は死んでいる部分でもあります。だから、木は生きているうちに死んでいるものであり、切って加工されても生きている、不思議な素材だと思うんです」と、木という素材に対しての考えを語った。

また、同製品の特に追求した点については、「テーブルはいちばん軽やかに見える脚の角度を追求しました。動物の脚が持つ美しさに到達したいと思っていたんですよね。チェアの脚は、前足が紡錘形で後脚は円形断面になっています。構造的にもつ範囲でいちばん薄く感じられる細さに到達するのにものすごく時間がかかりましたね。建築より時間がかかったと思います(苦笑)」と話した。

対談後、会場からの質疑応答の時間が設けられ、家具の変革について尋ねられると「これからはオフィスと住宅のというものは変革しないといけないと思っています。オフィスの歴史はすごく浅く、それ以前はオフィスと住宅の境目はすごく曖昧なものだったと思っています。住宅やオフィス、カフェなど、20世紀的な分類を超えた家具をつくりたいなと思っています」と答えた。

同製品の販売は現在、飛驒産業の直営店「HIDA 東京ミッドタウン店」および飛驒産業ショールーム「飛驒の家具館 高山」限定で特別先行予約の受付を開始している。

https://kitutuki.co.jp/kumahida/index.html