ものづくりを本気の仕事にする「台東デザイナーズビレッジ」。起業を目指すクリエイターを応援する施設の魅力(2)

ものづくりを本気の仕事にする「台東デザイナーズビレッジ」。起業を目指すクリエイターを応援する施設の魅力(2)

ものづくりの産地・台東区ならではの支援体制

——デザビレならではの魅力を教えてください。

沼田:学校という広大なスペースに入居者19組。こんなに広々したスペースを使えるのは、素直に贅沢だなぁと思います。

菊池:デザビレの周囲には、ものづくり系の仕事をしている方が多くいらっしゃるので、何かをつくりたいときなど、相談に乗ってもらえます。また、逆にデザイナーと何かしたいという場合はデザビレに話が来ることが多いので、紹介してもらえることもありますね。他の部屋に入居するクリエイターの取材に来ていたのに、たまたまその時に部屋にいたからという理由で一緒に取材してくれたりすることもありますよ。

台東デザイナーズビレッジ 外観

台東デザイナーズビレッジ 外観

沼田:あと、デザビレに入っているとひいき目に見てもらえるということも。デザビレという後ろ盾があるので成長が見込めるし、区役所や村長がバックについているようなものなので、フリーで活動しているクリエイターより信頼してもらえるようです。その人そのものが分からなくても、デザビレが積み上げてきた歴史があるので。

鈴木村長:工場は特に、ロットが少ないとかいつまで続くか分からないなどの理由で若手クリエイターのものづくりは嫌がられる傾向にあります。ただ、デザビレの入居者は先輩たちが頑張って徐々に知名度を上げてくれたこともあって、お仕事を依頼しやすくなっているというのはありますね。

——ほかにはどのようなバックアップがありますか?

沼田:助成金を受けられるということが大きいです。中小企業が使いやすい助成金制度や、国や区が行う中小企業や小さなブランドを応援しようという制度などもありますよ。

沼田真央さん

鈴木村長:台東区は23区の中でも、中小企業対策の助成制度のメニューが豊富です。台東区を含めた東京の東側はものづくり向けの制度が充実していて、ホームページ制作や店舗の改装費などいろいろなことに対する助成金があって、クリエイターが使いやすい。展示会に出展するための助成金があるのは東京の東側だけですしね。特に、台東区にはお店を出すときに改装費の補助をしてくれるという助成金があるんですが、デザビレの卒業生がこの周囲にお店を出すときはみんな使っています(笑)。

また、デザビレでは甲府の宝石産地、富士吉田の織物産地、それから墨田の革の産地などの工場見学ツアーもおこなってきました。クリエイターは、量産してはじめてビジネス規模が成長するので、工場との付き合いをはじめるきっかけとして、いろんなところに見学に連れていくんです。

工場見学ツアーの様子

工場見学ツアーの様子

工場見学ツアーの様子

工場見学ツアーの様子

工場見学ツアーの様子

工場見学ツアーの様子

菊池:僕は人と知り合うことやお酒を飲むことを目的によく交流会に参加していましたね(笑)。直接的な支援という意味ではないかもしれませんが、デザビレに入居しているからという理由で仲良くしてもらえたりして。仕事をもらうというよりも、まずは顔を覚えてもらって、どんな人間か知ってもらう、そしてつながりを大切にすることは常に心掛けています。

鈴木村長:菊池くんはそこから仕事に結びつけて、デザインの仕事を依頼されたりしているので、それもひとつのデザビレ活用法だと思うんですよ。

施設のすべてを使い倒して、ブランドを成長させる

——では、どういった人が入居に向いていると思われますか?

菊池:村長に手取り足取り、何でも教えてもらいたいと思っているような人は向いていないかもしれません…。基本は自分でやって、困ったり相談に乗ってもらいたいときに、村長にアドバイスをもらうような感じがいいと思います。

菊池光義さん

鈴木村長:私たちは教えるのではなく、使ってもらう立場なんです。建物やネットワーク、私たちを含めて、これらを使い倒して伸びようという意欲のある人の方が向いていますし、実際、伸びていると思いますよ。入居審査のポイントは「成長性と支援の必要性」と言っています。成長性というのは、クリエイティブ能力ややる気、素直な性格など。今現在売り上げが上がっている人というよりは、3年間で伸びそうな人を選ぶという方針です。支援の必要性は、売れていれば支援は必要ないですし、趣味でおさまる程度でも支援の必要はありませんよね。

沼田:具体的な展望を考えられることも重要でしょうね。あと粗削りでも構わないんですが、オリジナリティがあるものをつくっていたり計画を立てていて、それをデザビレに入ることによって製品化に近づけたいという人は向いていると思います。あと、私はしっかり助成金を使わせてもらっていたので、そういうところをちゃんと使ってブランドを成長させるのも大事かもしれません(笑)。

鈴木村長:ここは19部屋しかありませんが、入居すると他より圧倒的に有利に仕事を伸ばせるので、それを多くの人に活用してもらいたいですね。特に、才能はあるのにチャンスとお金とノウハウがなくてくすぶっているけれど、やる気のある人。こういう人に使ってもらいたいですね。

——最後に、デザビレに入居してよかったと思う点を教えてください。

沼田:私はここに入居していなければ、いまのブランドのような形では続けていなかったかもしれません。

菊池:それは僕も思っていますね。就職してしまった方が楽なこともあると思うんです。それでも現在、独立して続けていられるのは、デザビレでいろいろ教えてもらったり、卒業しても村長に何かあれば聞きに行けるという安心感もあります。そういうものがなかったら、辞めていた可能性が高いと思うんです。

沼田:いまは本当に、クリエイターとかアパレル業界もすごく厳しいので、どうにかして続けるためには、デザビレに入るというのも、いい手段だなと思います。

鈴木村長:私は入居している方々を見ていて、同期の人たちが仲良くなって教え合うこともあるし、いい意味でのライバルにもなることもあって、同志のような仲間ができるっていうことはいいことじゃないかなと思いますね。

沼田真央さん、菊池光義さん

台東デザイナーズビレッジ 2018年度入居者募集
申請受付期間:2017年10月2日(月)~11月6日(月)
募集部屋数:5室程度(20平米×3室、約40平米×2室)
家賃・共益費:計21,000円~43,000円
http://designers-village.com

第28回ザッカデザイン画コンペティション
※「tamao」の沼田さんも審査員として参加
http://www.taito-zakka-fair.jp/competition/

聞き手:石田織座(JDN) 構成・文:冨沢淳 撮影:川瀬一絵