「LEXUS DESIGN AWARD」メンターとして初参加、スズキユウリが語るアワードの魅力(2)

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LEXUS DESIGN AWARD 2023 メインビジュアル

いまの時代だからこそ、向き合い考えるべきテーマ

――今年のLEXUS DESIGN AWARDのテーマは、「Design for a Better Tomorrow(より良い未来のためのデザイン)」です。この大きなテーマについて、どう感じましたか?

難しいテーマですよね。数年前だったらここまで重みを感じなかったかもしれません。コロナや食糧危機、戦争がある現在だからこそのテーマ。少し前なら、世の中は物に溢れていて、物をつくらない方が世界のためだと言っていたと思いますが、いまは解決策がなくてどうにもならない状況にいる。本当に世界が変わるような物やことを考えないといけない……。それは概念的なものかもしれないし、プロダクトかもしれません。

LEXUS DESIGN AWARDに応募する方たちは次の世代を担う人たちなので重くプレッシャーになると思いますが、より身に迫るテーマですし、次世代の人にとっては刺さるんじゃないかな。抽象的で広いテーマだと、少し前なら戸惑うことも多かったと思いますが、いまこのテーマでアイデアを募ることに意義があると思います。

――LEXUS DESIGN AWARDの審査基準の一つに「アイデアがいかに人々に幸せをもたらすか」という観点がありますが、これまでのご自身のデザインやクリエイティブが人におよぼす影響についてどう考えていますか?

基本的にインタラクティブな作品の場合は人と人との繋がりができるのですが、以前、自分がつくったツールを使い、人と人がコミュニケーションを取りはじめることがあったんです。特に狙ったわけではなかったのですが、結果的に人と人との繋がりができていて。そういった経験から、人が関わることで成立するパブリックアート作品に行き着いています。

Sonic Playground

「Sonic Playground」6つのサウンドスカルプチャーで構成されている作品。膝をついて聴いたり、2本のパイプの間に座ったりすることで、彫刻の異なる部分から音が伝わり、楽しくてユニークなリスニング体験ができるようになっている。

あと、自分のバッググラウンドを話すと、難読症なので言葉を介したり、文章を介したりするコミュニケーションが不得意です。でも、音のコミュニケーションやインタラクティブな考え方、アートを使い、体験からメッセージを受け取ることができることを知ったときは衝撃で、自分の作品もそういう体験ができるように形成したいなとは思っています。こういった体験は、人に何らかの幸せをもたらすのではないかと思います。

――パブリックアート作品は、地域や場所によってお客さんの反応は変わりますか?

プリミティブな体験に人種や世代は関係ないと思ってやっています。特に子どもの頃の体験は一番プリミティブだと思うのですが、遊んだ体験やアイデアに知識は関係ないため、わざとそういう「体験」というものを単純化すると、年齢や性別、国籍も関係なく、同じ体験になる。だから、いろいろな国でやったとしても反応はあまり変わらないんですね。

ジャンルにとらわれず、どんな人にも挑戦してほしい

――LEXUS DESIGN AWARDに期待することはありますか?

LEXUS DESIGN AWARDでは、過去に受賞した方々とのコミュニケーションが続くようなシステムを持っているので、それはすごくいいなと思いました。受賞して終わりではなく、ずっと関係が続いていくというのはいいことですよね。プログラム終了後も関係や付き合いが続くのは重要なことで、アワードが起点となってネットワークが広がっていくことを期待しています。

――どんな方にLEXUS DESIGN AWARDに挑戦してほしいですか?

興味があれば、どんな方でもぜひ挑戦してみてほしいですね。LEXUS DESIGN AWARDという名前ではあるけれど、デザインだけではないジャンルの広さもいいところ。これからは、デザインや音楽といったカテゴライズは、意味のないものになっていくと思います。だから、デザインというものだけに囚われず、ほかのジャンルの人も挑戦してみていいと思う。実際、過去に受賞した作品も多ジャンルだし、年齢もさまざま。成人であれば、年齢制限はないのも魅力的ですよね。いいアイデアがあれば、若い世代だけでなく、僕と同世代でもチャレンジできる。自分の中に温めているアイデアがあるのであれば、ぜひ応募してもらいたいと思います。

――最後に、応募者に期待することやメッセージをお願いします。

今この状況でデザインやクリエイションを志している人は、いい機会なので、プレッシャーを感じずに応募してみてほしいと思います。僕もそうでしたが、学生時代は自分がつくっているものに自信が持てないという人が多い。社会に出てデザイナーやクリエイターとしてやっている人との違いは、自信があるかないか。自信をつけるためにも、とりあえずやってみるということも大事だと思います。

応募者へのメッセージ:サイモン・ハンフリーズさん(LEXUS DESIGN AWARD 2023 審査員)

トヨタおよびレクサスにおけるデザイン領域を統括し、LEXUS DESIGN AWARDの審査員を務めるサイモン・ハンフリーズさん。LEXUS DESIGN AWARD2023のアイデア募集にあたり、本アワード開催に向けての想いや、応募者へのメッセージをお話しいただいた。
<strong>サイモン・ハンフリーズ</strong> 英国で工業デザインを学び、1988年からデザイン会社で工業デザイナーとして働いたのちに、1994年にトヨタ自動車入社。以来デザイン領域でリーダーシップを取り、LEXUSブランドのアイコンとなったスピンドルグリルをはじめ、デザインにおけるブランドアイデンティティ構築を担う。

サイモン・ハンフリーズ 1988年に母国イギリスでプロダクトデザイナーのキャリアをスタートし、1994年トヨタへ入社。以来、LEXUSブランドのデザインフィロソフィー(L-finesse)の策定をはじめ、デザイン領域全体のヘッドとして指揮を執っている。

LEXUS DESIGN AWARDが創設当初から変わらず大切にしているのが、メンターシッププログラムです。受賞者が世界クラスのメンターと直接対話を重ねてそのアイデアを共に具現化していくプロセスは、彼らのその後のキャリア形成やデザインフィロソフィーに大きな影響を与えています。

また、メンターたちにとっても、次世代のクリエイターから多くの刺激を受け、「より良い未来のためのデザイン(Design for a Better Tomorrow)」という共通のゴールを目指して共につくり上げていく喜びをもたらしています。11回目となるLEXUS DESIGN AWARD 2023では、スズキユウリさんをはじめ、4名の素晴らしいメンターがこの想いに賛同し、参加をしてくれることになりました。

LEXUS DESIGN AWARDの創設以来、私たちを取り巻く環境やニーズは驚くべきスピードで変化を続けています。こうした変化をいち早く予見し、人々に寄り添い、デザインの力でより良い未来の創造に挑戦する気鋭のクリエイターたちの才能と姿勢を、これまで私たちは目の当たりにしてきました。LEXUS DESIGN AWARD 2023でも、世界中から新たな応募をお待ちしています。

「LEXUS DESIGN AWARD 2023」審査員とメンター

LEXUS DESIGN AWARD 2023 審査員とメンター

(左から)【審査員】パオラ・アントネッリ (©Marton Perlaki)、カリム・ラシッド (©Nikola Blagojevic / Spektroom)、サイモン・ハンフリーズ、【メンター】マーヤン・ファン・オーベル (©Sander Plug)、ジョー・ドーセット、スズキ ユウリ (©Mark Cocksedge)、スマイヤ・ヴァリー (©Lou Jasmine)

■LEXUS DESIGN AWARD 2023

【募集テーマ】Design for a Better Tomorrow(より良い未来のためのデザイン)

【受賞】4作品

【受賞者賞典】
・さまざまな分野で活躍するメンターとのメンターシップ制度(約3ヶ月間にわたる、アイデアに対する具体的なアドバイスや、プロトタイプ制作のサポート)
・キャリアアップのサポートとなる、グローバルメディアでの露出
・リサーチ、プロトタイプ制作費などのプロジェクト費用支援(最大300万円)
・審査員との面談機会(最終アイデアへのフィードバックや今後のキャリア相談など、デザインの最前線で活躍する審査員との1対1の対話機会)

※賞典の内容や開催場所は変更になる可能性があります。

【審査員】
パオラ・アントネッリ(ニューヨーク近代美術館 (MoMA)建築・デザイン部門シニア・キュレーター)
カリム・ラシッド(Karim Rashid Inc. デザイナー)
サイモン・ハンフリーズ(トヨタ自動車株式会社 Head of Toyota & Lexus Global Design)

【メンター】
マーヤン・ファン・オーベル(マーヤン・ファン・オーベル スタジオ ソーラーデザイナー)
ジョー・ドーセット(デザイナー/ジョー・ドーセットXパートナーズ 代表)
スズキユウリ(アーティスト、デザイナー/ペンタグラム パートナー)
スマイヤ・ヴァリー(建築家/カウンタースペース 主宰)

【審査基準】
・応募アイデアが、いかに人々に幸せをもたらすか
・下記のLEXUSが重視する3つの基本原則をいかに具現化しているか

-Anticipate(予見する)
よりよい未来社会実現のために、取り組むべき世界的課題を予見するものであるか
-Innovate(革新をもたらす)
新規性と独創性を有しているか
-Captivate(魅了する)
人々の興味をかきたて、心をつかむコンセプトやデザインであるか

【応募締切】
2022年10月16日(日)PM11:59 ※日本時間

【詳細】
https://lexus.jp/magazine/artdesign/lexus-design-award/

■LEXUS DESIGN AWARD 2023 オンライン説明会

LEXUSでは、応募を検討しているクリエイターを対象としたオンライン説明会を開催します。当日は、LEXUS DESIGN AWARDの目的や想い、応募方法、さらにメンタリングプログラムについてご紹介します。また、過去の日本人受賞者から本アワードを通して得られた体験等をお話しいただく予定です。ぜひご参加下さい。

【日時】2022年9月21日(水)16:00~17:00
【参加】無料(事前登録必須)
【詳細・参加登録】https://forms.gle/AqWYDPUXiA9iigFj7

文:高野瞳 取材・編集:石田織座(JDN)