2015年「imm cologne ケルン国際家具見本市」に初出展
これまで「KARIMOKU NEW STANDARD」では、6年にわたって「ミラノデザインウィーク」、2013年と2014年には「メゾン・エ・オブジェ」に出展し、ヨーロッパ市場のデザインに敏感な業界やメディアにおけるプレゼンスが高まっていると感じました。なぜ2015年に「imm cologne ケルン国際家具見本市(以下、imm)」に出展したのかというと、家具の国際見本市としては世界最大規模であり、ドイツの市場にアプローチする目的がありました。
ドイツの経済状況は安定しているし、市場の規模はとても大きいです。そして、「imm」にはドイツからだけでなく、ヨーロッパ諸国や北米、アジア、広く世界中から来場されます。弊社としてはそういった方々をターゲットに、メッセージを発信していきたいと考えています。
海外の展示会に1回出展するだけは、継続的な取引につながるような信頼を得るのは難しいと考えています。1度きりだとあまり相手にしてもらえないんですね。初見で関心を持っていただいたとしても、その場で受注や具体的な商談にまで至ることは稀です。繰り返し出展しているうちに、「あのブランドまた出展してるね」と数年フォローしてもらえて、ようやく認められるという実感があります。
あと、まずブランドそのものを発見していただく必要があります。我々の方からメディアにアプローチするのはなかなか難しいものですから、多くのメディアが集まる展示会はPR効果もあるのかなと思います。開催初日から数日間はメディア訪問が多く、「KARIMOKU NEW STANDARD」ブランドとしては、「imm」初出展ということもあり、多くのドイツ系メディアに取材していただけました。
「imm」は非常に巨大な見本市です。メジャーどころが集まるホールには、とんでもない規模のスタンドが建ち並んでいます。我々が出展したのは「Pure Editions」というエリアで、キュレーターが入ってモダン~コンテポラリーなブランドを紹介するところです。そこにいらっしゃる来場者は、トレンドへの関心が高く、メディアも注目しているので、商談・PRの両面で効率が良いと言えます。
実際に出展してみてヒントはたくさんありました。まわりに出展していたブランドを拝見すると、ドイツ市場を中心に、ヨーロッパのトレンドみたいなものが現れてきます。そのなかで差別化というか際立たちたいなと思った時に、何がキーなのかが少し見えてきました。
海外市場に参入する難しさと挑戦することの意味
西洋家具の世界では我々はどうしてもアジアのいち企業なので、そこで差別化を図るとしたら、つくりの良さですとか、素材へのこだわり、そういったところなのかなと毎回思います。品質の部分でいえば、「メイドインジャパン」というのは基本的に肯定的に捉えられています。デザインランゲージが似ていても、触ってみたらわかったとか、座ってみたらわかったとか、そういう声をよくいただきます。それは展示会という場で初めて伝えられることなので、やはり出展を続けることはとても重要なのかなと感じています。
会期後半の一般開放の期間はエンドユーザーからの反応が生々しくいただけます。例えば「高いね」とか「日本からわざわざ来てるの?」とか、そういった体験は自分が街を歩いても把握するのは難しいですから、市場の声をフィードバックとして得るには有効です。また、有名・若手問わず、インダストリアルデザイナーからの売り込みもあるので、彼らの観点からの意見に刺激を受けることも多いです。
これまで、色々な見本市にチャレンジしてきましたが、海外ならではの難しさは感じています。コミュニケーションが上手く取れないとか、申し込んだのに予約が取れていないとか、現場に行ったら違うものが置いてあったとか、そういったことは日常茶飯事で、非常にストレスを感じるんですよね(笑)
「imm」は世界最大規模の国際見本市にふさわしく運営は国際的で、ドイツ・シンガポール・日本の窓口とコミュニケーションを進めていきます。日本窓口の担当者の方には丁寧に対応していただき、安心して臨めるのがとてもありがたかったですね。これまで色々と出展してきたなかで、とてもフォローが手厚いと感じています。情報の整理もしっかりされていて、私個人が知る中ではやりやすさという意味ではベストな体制だと思います。