モノと人との関係性に興味がある
——DAYS.が手がけているものについて教えてください。
多岐にわたりますが、空間づくりを手がけることが多いです。プロダクトデザインからポップアップショップなどのデザイン、内装デザインやリノベーション、什器のデザイン、製作も行っています。少し前はまちに関わるコミュニティーデザインなども行っていました。
独立したばかりの頃は、住宅の設計や店舗のインテリアに携わることが多かったんですけど、引き渡しのあとも完成したものが自分の生活の一部になっていくような関係性をつくれるように、「DAYS.(デイズ)」と名前をつけました。プロダクトもそうですが、モノと人との関係性に興味があるんです。
——インテリアや什器をつくる時はストーリーを意識しますか?
そうですね。什器のマテリアルひとつやディテールからもクライアントの魅力やコンセプトが伝わると思っているので、ストーリーテリングをするために素材や色、形っていうのはすごく考えて提案するようにしています。既製の什器をつかうのではなく、わざわざ僕に依頼していただいたので、こちらも最大限希望に応えたいと思っています。
2015年にmethodで開催した「CRAZY KIOSK」の什器は全部紙でつくっていて、過度な強度につくり過ぎないこととか会期が終わったあとにすべて可燃ゴミで出せることを考えました。ドン・キホーテでよく見るような、梱包箱を積んで什器として使う圧縮陳列にならい、架空のお店の梱包箱をデザインして、それをただ積み上げているという状態のお店をつくりました。
ちょっとした気分で変えられたり、あえて癖のある家具のあり方
——デザインする際の考え方や、ふだんから意識していることはありますか?
これは職業病のようなものかもしれませんが、什器はついつい見てしまいますね(笑)。あと展開図や図形を見るのは好きですね。平面から立体への起き上がり方にはずっと興味があって、折り紙もそうですが、畳んだ時に立体になって、それが強度を持って別の形になるとおもしろいなと思います。
形の話でいうと、ちょっとした曲線が入ることで愛らしくなる形ってあるじゃないですか。量産型のものでも愛おしさを感じたり、愛着を持てるものはすごく好きで、量産だけどあえてノイズを出す方法はないのかなと考えていたりします。量産型のプロダクトにも癖があったら、ただ近くにあったものを手に取るのではなく、たとえばペットショップのように少し考えてから選ぶようになったりすると思うんです。そういう新しい価値は意識していきたいことのひとつです。自分でDIYでつくった家具だと愛着が湧くので特別に見えたりするじゃないですか。そういう感覚をモノを買うことから起こすようなデザインができないかな?って考えたりします。
——どういう家具のあり方が西尾さんにとって理想ですか?
最近意識しているのは、ファッションや音楽のように家具も変化させられないかなっていうことです。服や音楽は気分に合わせて変えられますが、家具って一般的には可変性がなくて動かしづらいイメージがある…。家具も買った時のままずっと同じ場所にあるよりは、ちょっとした気分で変えられたり、軽やかになることで引っ越しがネックじゃなくなったり、動き方や暮らしが軽くなるのではないかなって思っています。デザイン的に素晴らしい家具はたくさんあるので、新しい価値観を持った家具というものを考えてみたいですね。
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