実践型の授業が“いま”をつくる、ICSで身につけた柔軟な思考と技術

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実践型の授業が“いま”をつくる、ICSで身につけた柔軟な思考と技術
日本で初めてのインテリアデザインの単科校として1963年に創立された『ICSカレッジオブアーツ(以下、ICS)』。第一線デザイナーの個別指導によって、創立以来55年にわたって建築・インテリア・家具のエキスパートを数多く送り出してきた。また、他校を卒業したり、社会人経験を経てから、ICSの門を叩く学生も多く、学校全体としての「本気度」と「熱量」が高いのも特徴だ。卒業後にさまざまな分野で活躍する、木村麻人さん 、高橋亜由美さん(丹青社)、仲田裕貴さん(建築事務所エイバンバ)の3人にICSで学んだこと、そしてそこで身につけた思考や技術がどのように活きているのかをうかがいました。

実践に基づいた真剣な「つくる」授業

——みなさんは、ICS入学前に別の学校へ通われていたり、就職をされたりしていました。なぜ、そこから改めてICSを選ばれたのですか?

木村麻人さん(以下、木村):大学では都市計画を学び、就職は家具デザインの会社を選びました。空間と自分の距離を考える上で家具の方が近いと感じたからです。しかしリーマンショックがあって将来を考えた時に視野を少し広げたくなり、家具を置く空間やインテリアを学んでみたいと思い入学しました。ICSを選んだ理由は、一番実践に近そうだったからです。

木村麻人 1982年鎌倉市生まれ。2006年芝浦工業大学建築学科卒業後、2012年ICSカレッジオブアーツ インテリアアーキテクチュア&デザイン科Ⅱ部(夜間部)卒業、TIME & STYLEを経て、2017年にA (design studio) 設立

木村麻人
1982年鎌倉市生まれ。2006年芝浦工業大学建築学科卒業後、2012年ICSカレッジオブアーツ インテリアアーキテクチュア&デザイン科Ⅱ部(夜間部)卒業、TIME & STYLEを経て、2017年にA (design studio) 設立

仲田:前職は電気関係の会社で働いていたのですが、建設現場を見る機会があって建物に興味を持ちました。私も転職を考えるタイミングで、せっかくなら興味のあるものを学んでみたいと短期間で集中して学べる専門学校への入学を決めました。イギリスの大学への留学制度などもあり、とことん勉強できそうだと感じてICSを選びました。

高橋:大学は文系でしたが、両親の助言もあり、高校時代から興味を持っていた空間デザインを改めて学ぶことにしました。デザインをやるなら東京だということで、東京で専門学校を探したんです。学生の年齢層が幅広くて留学生も多くさまざまな人に出会えそうな点、周辺にインテリアショップが多くて落ち着いた環境だった点などからICSを選びました。

高橋亜由美<br /> 1989年生まれ。2012年愛媛大学文学部卒業、2015年ICSカレッジオブアーツインテリア・アーキテクチュアデザイン科卒業、現在株式会社丹青社でプランニング職に従事

高橋亜由美
1989年生まれ。2012年愛媛大学文学部卒業、2015年ICSカレッジオブアーツインテリア・アーキテクチュアデザイン科卒業、現在株式会社丹青社でプランニング職に従事

——入学してからの印象は?

木村:とにかくたくさん課題をつくるんだな……です。導入は簡単な内容なのに急にギアが上がるんです。経験者の僕ですら早く感じるペースだったので、普段は少し先までやって貯金するようにしていました。授業に慣れるとコンスタントに考えながら形にする作業が重要で、それがおもしろさでもあるんだと思うようにりました。印象通り、実学に近くて密度が濃かったです。

高橋:クラスの仲が良いということですね。その後、さらに付き合ううちに各自の得意分野が見えてきて、皆で教えあえるような暖かい雰囲気にもなっていきました。

仲田:最初は訳もわからず課題をやる日々で、不安になる時もありました。頭が固まっていて柔軟に考えられなかったんでしょうね。でも同級生や先生に質問して吸収しようと努力するうちに慣れました。この頃は漠然とインテリアデザイナーになろうかな程度に、将来を考えていたので建築事務所に勤めるとは思っていなかったです。

仲田裕貴 1985年生まれ。株式会社日立ハイテクノロジーズを経て、2013年ICSカレッジオブアーツ インテリアアーキテクチュア&デザイン科卒業、 現在株式会社エイバンバに勤務

仲田裕貴
1985年生まれ。株式会社日立ハイテクノロジーズを経て、2013年ICSカレッジオブアーツ インテリアアーキテクチュア&デザイン科卒業、 現在株式会社エイバンバに勤務

——学生生活はどのような感じでしたか。

木村:私は夜間部なので、昼は仕事、夜は学校の人が大半でした。集中して終電まで学び、クラスメイトと呑みや帰りの電車で講評しあい、家でつくって翌週提出するという毎日です。コマ数が少ない分、校外での交流も多かったかな。寝ずに課題をする時もありましたが楽しかったですよ。

仲田:学費のためにバイトを掛け持ちしていたので、3年の夏頃までは本当に大変でした。木村さんと同じく寝る時間も惜しんで課題をやる日々でしたが、不思議と苦しさはなかったです。サラリーマン経験がある分、変に遊んでいられないとの思いもあり、必死で取り組んだ3年間でした。

感性を刺激する同級生と切磋琢磨

——ICSは家具やインテリア関連のオリジナリティある授業が多いですね。

高橋:そうですね、目黒通りのショップを回ってレポートを書く課題はおもしろかったですよ。一軒のお店のコンセプトから考えて、ファサードからショップカードまでデザインする課題もありました。デザインや色彩など、いろいろな科目が連携していたので複合的に学べました。

木村:思い出深いのは椅子の実作です。場所や使われ方、材料はもちろん、職人さんと打ち合わせして実寸で仕上げて、最後は「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」(インテリア・デザイン市場のための国際見本市)に参加してお客さんに見ていただきました。見積もりまで取る工程も含めて取り組むので、デザインを仕事にする前の予行演習的な経験ができました。制作はもちろんですが「座る人にとって本当にいい物か?」と問い直す思考の段階もあって、つくることの本質を丸ごと学べた気がします。

——そんな中でクラスメイトからも刺激を受けたりされたのでしょうね。

木村:まさにそうですね。椅子って不思議と個性が出るんですよ。エッグチェアモチーフの巨大な椅子をスタイロでつくった同級生は全般に個性が強く、そうかと思えば見た目はイカツイのにかわいいデザインの人もいたり。僕は仕事の経験があったので仕事感が出がちでしたが、その自由さに自分の中の固定観念を壊してもらえた気がします。

高橋:私の代は留学生も多かったのですが、特にケニアからの留学生のテキスタイル選びや色彩感覚には驚かされましたね。日本人には絶対に出せない感性なんです。「曲線の神」と呼ばれる家具制作がずば抜けた子もいて、彼らの言葉を超える表現力にも刺激を受けました。

仲田:僕は自分とそっくりな境遇の同級生と出会えたことが大きかったです。建築好きで知識があったので彼からは刺激を受けましたね。彼は講評で選ばれる常連でしたが、後半になって僕も選ばれるようになり、互いに作品の話ができるようになった時は嬉しかったです。

高橋:講評と言えば、皆ライバル心が強かったのもいい思い出ですね。がんばったから選ばれるというわけではないので、講評のあとは悔しかったり気まずかったりすることもありました。それでも放課後には居酒屋で課題について討論したり、相談すれば真剣に答えてくれたりといい関係性でしたね。

——先生方との思い出はありますか?

木村:厳しくも優しい先生が多かったです。ビジュアルが上手いだけじゃ意味がないよ、なんてビシビシ言われてしまう。でも逆にそれが「面白いことを考えよう」ってスイッチになり、きちんと評価もしてもらえるんです。それが嬉しくて毎回頑張っていました。いま思うと、学生を頑張らせるのが上手だったんだなと思います。

空間の垣根を越えた捉え方を現場に活かす

——ICSでの学びや経験は、いまのお仕事にどんな風に繋がっていると感じますか?

仲田:例えば、建築系の大学生の作品を見ると、大きいスケールでは考えられてもその先の空間の在り方まで考えられていない気がします。一方、ICSでは内部の家具まで作りこむので、真っ白なままの模型はあり得ません。言ってみれば、僕らはインテリアを通った建築思考なので建築とインテリアを繫いだ考え方ができる。そこが強みじゃないかと思います。

木村:課題を通してインテリアデザインの経験もできたことで空間や家具の細部に意識が行き、実物の大きさや距離感も肌で捉えられるようになりました。いまは家具ベースで空間を捉える考え方になっていますが、それも空間を学び、どうできているかを学べたからだと思います。

高橋:家具1つから建物1棟まで、企画から作図までといったように、課題で幅広いスケールとフェーズを学べたことです。住宅から商業、SOHO、企業PRと多様な分野の空間に触れたことも、自分の興味の幅を広げてくれました。いまは企画の仕事ですが、建築やインテリア、家具やプロダクトの垣根を越えた案件が増えています。答えがインテリアに留まらない場合も多いのですが、その状況にすぐなじめたのはこうした課題のおかげだと思います。

——最後に、皆さんが考えるICSのよさを教えてください。

仲田:自由で人を選ばない学校です。目的がある人は突き詰められ、入ってからやりたいことを見つけることもできる器があると思います。

高橋:確かに。ICSで一度のめり込んでみるのもいいでしょうね。

仲田:現場で活躍されている方が多いのもすごいですよね。近所のランドスケープデザインの事務所の代表もICS卒業生ですし、いろんな場所で卒業生に出会いますよ。

木村:私がいま一緒に仕事をしている木工所の代表も卒業生です。実務についている方が本当に多く、信念を持って仕事をされている方が多い気がします。親しさもあるけど仕事は真摯に取り組む。学生時代にあった空気感が仕事でも感じられることが嬉しいです。

取材・文:木村早苗 撮影:葛西亜理沙 編集:瀬尾陽(JDN)

ICS校友会主催 ICS創立55周年記念
「バラバラなデザイン展 / a diversity of design」

これまでに輩出してきた卒業生は延べ8,000人以上。その多くは、デザインのジャンルを自由に、そして大きく広げて活動の場を創り上げてきた。本展は、彼らの仕事の多様性と、現代のデザイン思考を表現するものだ。バラバラに見えるようでいて、一つの樹の幹から生まれた繫がりのあるクリエイターの姿を伝える。

開催期間:2018年10月23日(火)〜10月26日(金)
時間:10:00〜21:00(25・26日は18:00まで)
会場:3331 Arts Chiyoda ※入場無料

<出展卒業生>
一之瀬暁洋、海山俊亮、王少榕、岡美里、黒須嘉一郎、Gate Japan(大越裕一/武田舞)、城谷耕生、SOL’S COFFEE(荒井利枝子)、SOL Style(伊東裕/劔持良美)、田辺雄之、DRILL DESIGN(林裕輔/安西葉子)、中野活版印刷店(中野好雄)、橋本亮介、俵藤ひでと、平野達郎、mother tool(中村実穂/室橋俊也)、松野由夏
https://www.ics.ac.jp/barabara/

ICS創立55周年記念 特別講演会
隈 研吾「ひと・モノ・空間 -都市と建築の新時代-」

過去にICSでも教鞭を執り、現在『V&A Dundee』の設計をはじめ、世界中で話題の作品を生み出し続けている建築家・隈研吾さんを招き、本校教育理念の「ひと・モノ・空間の調和」と絡めて、ご自身のデザインプロセスや都市・建築・デザインのこれからの可能性についてお話しする。

開催期間:2018年12月5日(水)
時間:19:00〜20:30(開場18:30)
会場:めぐろパーシモンホール
定員:1,000名 ※入場無料
Webサイトから要申込
https://www.ics.ac.jp/55th-anniversary-kuma/

ICSカレッジオブアーツ
https://www.ics.ac.jp/