絵本はここからはじまった-ウォルター・クレインの本の仕事

ウォルター・クレイン『美女と野獣』1874年 個人蔵 ウォルター・クレイン『美女と野獣』1874年 個人蔵

ウォルター・クレイン(Walter Crane)は、19世紀後半にイギリスで活躍し、現代の絵本の基礎を築いた重要な画家の1人であり、また、ウィリアム・モリスとともにアーツ・アンド・クラフツ運動を推進したデザイナーとしても知られている。

1845年、画家の息子としてリヴァプールに生まれたクレインは、木口木版の工房に入りデッサンの基礎を学ぶ。その後、多色刷木口木版の技術を開発した彫版師・刷師のエドマンド・エヴァンズに才能を見い出され、2人は1865年に全ページカラー刷りのトイ・ブック(簡易なつくりの絵本)を生み出す。その後、彼らが次々と世に送り出した絵本は高い評価を得て、クレインは子どもの本の画家として一躍有名になる。見開きページ全体の調和を重視したクレインは、絵本そのものの設計に目を向けた最初の画家・デザイナーといえるだろう。一方で、当時の日本の浮世絵から学んだことも指摘されている。

1877年以降、クレインはトイ・ブックの仕事から離れるが、生涯にわたって挿絵の分野で数々の傑作を生み出す。その一方で、壁紙やテキスタイル、室内装飾などのデザイナーとして、教育者、画家、熱心な社会主義者として多方面で活躍した。

同展は、本の仕事を中心にクレインの芸術を本格的に紹介する日本で初めての展覧会であり、ほぼすべての絵本と主要な挿絵本を網羅する約140点が展示される。また、クレインとともに絵本の黄金時代を築いた画家ケイト・グリーナウェイとランドルフ・コールデコットの作品約40点もあわせて展示。

※会期中、一部展示替えあり

開催期間 2017/04/05(水)~2017/05/28(日)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~18:00(金・土は20:00まで/いずれも入場は閉館30分前まで)
休館日 5/1
入場料 一般1,200円/大学生700円/小・中・高生無料/障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
参加アーティスト ウォルター・クレイン、ケイト・グリーナウェイ、ランドルフ・コールデコット
会場
  • 千葉市美術館
  • 千葉県千葉市中央区中央3-10-8
会場電話番号 043-221-2311
会場URL http://www.ccma-net.jp/
詳細URL http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2017/0405/0405.html