谷川俊太郎は1952年に、詩集『二十億光年の孤独』で鮮烈なデビューを果たした。感傷や情念とは距離をおく軽やかな作風は、戦後の詩壇に新風をもたらす。「鉄腕アトム」の主題歌、『マザーグースのうた』や『ピーナッツ』の翻訳、市川崑監督による映画「東京オリンピック」の脚本、武満徹ら日本を代表する音楽家との協働などでも知られるように、幅広い仕事によって詩と言葉の可能性を拡げてきた。85歳の現在も、わかりやすく、読み手一人一人の心に届くみずみずしい言葉によって、子どもからお年寄りまで多くの人々を魅了し続けている。

一方、仕事の幅広さ・膨大さゆえに、この国民的詩人の「人」と「作品」の全体像をとらえるのは容易ではない。谷川俊太郎のエッセンスを探るべく、本展では仕事の全体を振り返るかわりに、詩人の現在に焦点をあてる。実生活の喜びやいたみから詩を紡ぎ出し、社会とつながろうとしてきた谷川。その暮らしの周辺がさまざまに紹介される。影響を受けた「もの」や音楽、家族写真、大切な人たちとの書簡、コレクション、自らの撮影による暮らしの映像、知られざる仕事を織り交ぜ、谷川俊太郎の詩が生まれる瞬間にふれる試みだ。本展のために書き下ろされる詩や、音楽家・小山田圭吾（コーネリアス）とインターフェイスデザイナー・中村勇吾（tha ltd.）とのコラボレーションも発表される。

【関連イベント】
●開催記念対談
時間：各回14:00～（13:45開場）
会場：東京オペラシティビル7F 会議室
定員：各回160名（全席自由）
参加費：無料（展覧会の入場は別料金）
※要整理券

日程：2018年1月27日（土）
都築響一（編集者）×谷川俊太郎

日程：2018年2月10日（土）
小山田圭吾（コーネリアス）（音楽家）×谷川俊太郎