新工芸店(宿)

京都のRC HOTEL 京都八坂にて、新工芸舎による展覧会「新工芸展(宿)」を12月4日まで開催している。
新工芸舎は京都を拠点にデジタルファブリケーションを活用した製品の開発、ものづくりをおこなっている設計者集団だ。代表的なプロダクトに熱溶解式3Dプリンタを用いて樹脂を編み重ねる独自のプリント技術を活用した「tilde」シリーズや、河原の自然石をスキャンしその表面に添わすように構成する「のせ物」シリーズなどがある。
3Dプリンタを使用する上で逃れられない形や素材の制約を逆手に取って生まれるデザインは、いずれもユニークで実験精神に満ち、精緻さにおいて際立っている。製品は多様な色彩が特徴的で、多色刷りによって強い視覚効果を発生させたり、出力後の染め加工でほのかな色味のグラデーションを持たせたりとそれぞれのプロダクトごとに色の温度や表情が様変わりする。ジオメトリックで統制の効いたなかにもどこかなつかしさを感じるのは、編まれた素材が喚起する籐籠のような風合いやプラスチック製品の親しみやすさをも備えているからだろう。
また一見工芸の概念とは縁遠そうな工程を新しい工芸を表す手段としてとらえる在り方は興味深い。日本で工芸という言葉は“Crafts”のニュアンスでは受け取り難いところがあり、工芸はどちらかと言えば伝統工芸に顕著な古来の日本文化様式と技術を担う閉じた世界を思い起させる。「新工芸」が体現するのは個々人の創造性をよりどころにした本来の意味での工芸的な精神であり、その姿勢は造形の問題を根本から考え、相違工夫する、ものづくり真髄と言って差し支えないだろう。
「新工芸展(宿)」では「tilde」シリーズのランプシェードやボールペンといった新工芸舎の代表的なプロダクトをホテル備え付けの品と交換し、道具から空間の変容を促していく。プロダクトの持つ力に注目したい。また新工芸舎の多くの製品を実際の使用感に近い状態で体験的に鑑賞できる格好の機会となる。RC HOTEL 京都八坂にて、新工芸舎が放つ新しい手触りと視覚性を楽しんでいただきたい。
《本文はプレスリリースより抜粋/一部編集》
開催期間 |
2022/09/05(月)~2022/12/04(日) ※イベント会期は終了しました
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時間 | 15:00~22:00 |
休館日 | 会期中無休 |
入場料 | 無料 |
参加アーティスト | 新工芸舎 |
会場 |
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会場URL | https://rchotelkyoto.com/ |
詳細URL | https://www.instagram.com/p/CiMsoVBPX95/?utm_source=ig_web_copy_link |