建築家・大髙正人と鎌倉別館

竣工時の鎌倉別館 1984年 撮影:大谷一郎 竣工時の鎌倉別館 1984年 撮影:大谷一郎

1984年、建築家・大髙正人(1923-2010)の設計により開館した鎌倉別館。鶴岡八幡宮の境内に建つ旧鎌倉館の軽快な印象と対照的に、重厚なボリューム感を特徴とした別館では、おもにコレクションによる企画展を開催し、神奈川県立近代美術館が普及に力を入れてきた現代彫刻が前庭で紹介されてきた。

設計者の大髙正人は、ル・コルビュジエに学んだ日本近代建築の巨匠、前川國男の下で神奈川県立図書館・音楽堂や東京文化会館を担当し、独立後は、横浜みなとみらい地区などの総合的な都市計画を手掛ける一方で、風土に根ざした地方都市の町づくりを推進した建築家であった。1960年の世界デザイン会議に向けて槇文彦、黒川紀章らと結成したメタボリズム・グループでの建築思想活動も知られている。

芸術への造詣も深く、彫刻家の向井良吉や柳原義達、また神奈川県立近代美術館の副館長・館長であった美術批評家の土方定一とともに、宇部や須磨離宮の野外彫刻展に1960年代の発足当時から運営・選考委員として関わり、会場構成を長年手掛けている。鎌倉別館の建築と彫刻庭園は、日本の戦後美術と神奈川県立近代美術館の活動、そして大髙の仕事が結実した成果でもあった。

改修にともなう長期休館を前に、オリジナルの建築意匠で観ることができる最後の企画展として、大髙正人の美術関連の仕事に焦点を当てながら、鎌倉別館で開催してきた展覧会にまつわるコレクションや関連資料を中心に、鎌倉別館の33年間の活動を振りかえる。

【関連イベント】
●担当学芸員によるギャラリー・トーク
日時:6月25日(日)、7月9日(日)、8月6日(日) 各日14:00~14:30
※申込み不要
料金:無料(ただし本展の当日観覧券が必要)

●連続講演会
「神奈川の近代建築」(県立社会教育施設公開講座・全5回)
※詳細は公式ホームページをご覧ください

開催期間 2017/05/27(土)~2017/09/03(日)
※イベント会期は終了しました
時間 9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜日(ただし、7/17は開館)
入場料 一般600円/20歳未満・学生450円/65歳以上300円/高校生100円/中学生以下と障害者手帳等をお持ちの方(および介助者原則1名)は無料
参加アーティスト 大髙正人、前川國男、山口蓬春、アンリ・マティス、マルク・シャガール、北大路魯山人
会場
  • 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
  • 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1
会場電話番号 0467-22-5000
会場URL http://www.moma.pref.kanagawa.jp/