霧の抵抗 中谷芙二子

《ペプシ館》 霧の彫刻, #47773, 1970 (参考図版)  日本万国博覧会(EXPO '70)会場風景より  撮影:中谷芙二子《ペプシ館》 霧の彫刻, #47773, 1970 (参考図版)  日本万国博覧会(EXPO '70)会場風景より
撮影:中谷芙二子

「いま、切実に問われているのは、人間と自然との間の信頼関係ではないかと思う。私たち都会人は、ペットボトルの水しか信用しなくなってしまった。水道の水は臭くて飲めない。川や海は汚染されているからプールで泳ぐ。そこまで自然を信用できなくなったら、もうバーチャルな世界で泳ぐしかない。宇宙へ行った人たちはみな等し並みに、地球を愛しく思う気持ちの高揚を語る。しかし、宇宙服に身を固めて異常空間へと飛翔しなくても、日常の自然の中で、しかもナマ身でその気持ちを体験できたなら、その方がはるかにスマートでエコロジカルに違いない。」『応答する風景 霧の彫刻』中谷芙二子(霧の彫刻家)

中谷のこの言葉には、人工物に囲われた都市空間、メディアを通して得られる疑似体験など、近代以降の技術発達がつくり出してきた社会に対する鋭い批評が込められている。中谷は、雪の研究と自然を題材とした随筆で知られる中谷宇吉郎の娘として生まれ、70年の大阪万博ペプシ館では芸術家と科学者の協働をすすめた「E.A.T.(芸術と技術の実験)」に加わり、代表作となる霧の彫刻を制作した。アート&テクノロジー、芸術と科学の融合など、今、流行語のように広がるこれらの世界を、中谷は半世紀にわたって当事者として見つめてきた。こうした活動には、中谷自身の言葉に現れるような柔らかで明快な抵抗が込められている。

本展では「霧の抵抗」と題し、霧の彫刻とビデオを通して、時代の潮流に対して霧のごとく抵抗してきた中谷の活動のドキュメントを、当時の時代精神とともに紹介する。

※引用文は「建築雑誌」Vol.111,1996年5月号に初出。

【関連イベント】
●特別国際シンポジウム「プレイ⇔リプレイ:「時間」を展示する(仮)」
日時:11月3日(土) 13:00~18:30(開場12:30)
会場:水戸芸術館ACM劇場
料金:無料
※要申込み

※そのほかの関連イベントは、下記詳細URLをご覧ください。

開催期間 2018/10/27(土)~2019/01/20(日)
時間 9:30~18:00(入場は閉館30分前まで)
休館日 月曜日(ただし、12/24、2019/1/14は開館)、12/25、201981/15、年末年始(12/27~2019/1/3)
入場料 一般900円/高校生以下・70歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は無料(要証明)
参加アーティスト 中谷芙二子
会場
  • 水戸芸術館 現代美術ギャラリー、広場
  • 茨城県水戸市五軒町1-6-8
会場電話番号 029-227-8111
会場URL https://www.arttowermito.or.jp/
詳細URL https://www.arttowermito.or.jp/gallery/gallery02.html?id=502