和製マジョリカタイル-憧れの連鎖

多色草花文レリーフタイル 不二見焼 撮影:梶原敏英 多色草花文レリーフタイル 不二見焼 撮影:梶原敏英

めまぐるしく変化する現代の生活のなかで、風情ある古い建築に残された、少し懐かしく可愛げのある「和製マジョリカタイル」が注目を集めている。「和製マジョリカタイル」は、大正初めから昭和10年代頃に日本で生産された多彩色レリーフタイルで、近代イギリス製の「ヴィクトリアンタイル」を模倣してつくられたものだ。1800年代半ばに、イギリスで売り出されたヴィクトリアンタイルの中でも華やかな発色と艶が美しいタイルは、イタリアなどのマヨルカ焼の流れをくむ、多彩色表現という意味で「マジョリカタイル」と名付けられ、日本でもその呼び名で広まった。

明治期の日本では、洋風建築に使われたヴィクトリアンタイルの意匠の美しさや耐火性・耐水性が注目され、日本での生産が望まれるようになる。国内のタイルメーカーは、その声に応えるべく研究を重ね、明治40年頃には乾式プレス成形法による「和製マジョリカタイル」をつくり出した。安価で高品質なそのタイルは、昭和初期の輸出最盛期には、東南アジア、インド、中南米、オーストラリア、アフリカなどにまで輸出され、最新の研究では輸出先のニーズに合わせたタイルがつくられていたことも明らかになっている。また台湾では、「和製マジョリカタイル」に歴史的価値を見出し保存する動きも見られる。

本展では、イギリス製タイルへの憧れから生まれた「和製マジョリカタイル」が、やがて世界のさまざまな地域で建築を彩り、根づく様子が紹介されるとともに、「和製マジョリカタイル」の復元品による「懐かしくも新しい」タイル空間を会場内で提案。独特の美しさと軽やかさの中に歴史が込められた「和製マジョリカタイル」の世界を堪能できるイベントだ。

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開催期間 2018/11/03(土)~2019/04/09(火)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日 水曜日(ただし、祝日の場合は開館)、12/26~2019/1/4
入場料 一般600円/高・大学生400円/小・中学生200円
会場
  • INAXライブミュージアム
  • 「土・どろんこ館」企画展示室
  • 愛知県常滑市奥栄町1-130
会場電話番号 0569-34-8282
会場URL http://www.livingculture.lixil/ilm/
詳細URL http://www.livingculture.lixil/topics/ilm/clayworks/exhibition/japan-made-majolicatiles/