世界でその名を知られる江戸の浮世絵師、葛飾北斎（1760-1849）。北斎が残した数々の名作の中でも、『冨嶽三十六景』と並ぶ代表作として知られるのが『北斎漫画』だ。弟子たちの絵手本として1814年に初編が刊行されると、庶民の絶大な人気を博して版を重ね、北斎没後の1878年まで全15編が刊行された。

この中で北斎は、人々の生活や動植物、自然現象や各地の名勝、さらには神仏、幽霊まで、森羅万象のあらゆるものを生き生きと描き出している。洒脱な筆使いとダイナミックな構図、人々の特徴や一瞬の動きをとらえたユーモラスな描写は、自ら「画狂老人」と称して90歳まで絵を描き続けた北斎の、驚くべき画力、眼力を雄弁に物語っていると言ってよいだろう。

本展では、世界一の質と量を誇る、浦上満の『北斎漫画』コレクションより、摺りが早く保存状態の良い、選りすぐりの約200点が紹介される。あわせて、さいたま市立漫画会館所蔵本も一部展示される。世界の画家たちを惹きつけ、今なお私たちを魅了してやまない北斎芸術のエッセンスが凝縮した、『北斎漫画』の世界をじっくりとお楽しみいただきたい。

【関連イベント】
●特別講演会「世界を驚かせた北斎漫画」
講師：浦上満（浦上蒼穹堂代表）
日時：4月22日（日）　14:00～15:30
場所：視聴覚室
料金：無料
※先着順60席

●うらわ美術館学芸員によるギャラリートーク
日時：5月6日（日）、5月19日（土）、6月2日（土）　各日14:00～
※自由参加、ただし当日の観覧券が必要