KAC Curatorial Research Program vol.01『逡巡のための風景』

山山アートセンターをつくる photo by Kei MARUYAMA 山山アートセンターをつくる photo by Kei MARUYAMA

「KAC Curatorial Research Program」とは、関西圏外を拠点に活動する若手キュレーターが、京都のローカルな問題と出会うことで、新たな視点でキュレーションを実践するプログラム。 第1弾としてゲストキュレーターに東京都で活動する青木彬をむかえ、約1年間のリサーチを基とした展覧会を開催します。

《本文は公式サイト紹介文より抜粋/一部追記》

「逡巡のための風景」は私たちが生きていく中で困難な状況に出会ったとき、異なる考えや価値観の中に揺らぎ、戸惑いながらもじっくりと自分の言葉を探ってみるための場所です。

時折、現代は生きることが困難な時代だと感じることがあります。歴史や国家、経済といったものが複雑になり、日々の生活を支える制度や習慣にも歪みが生じていることを不安に感じている人は多いのかもしれません。それと同時に、そんな現代を自分とは異なる考えや感性を持つ人々と共に生きなくてはいけないということについて考えています。それは近代的な価値観で自律を目指していた〈わたし〉という存在の不確かさに気づいた瞬間でもありました。

最近目にすることが増えた多様性という言葉もそんな不確かさを表すひとつかもしれませんが、人々のアイデンティティをラベリングするための冠として用いられていることがある気がしています。それよりも私たちに求められていることは、自らの想像を超える他者の存在を常に意識し、〈わたし〉が変わっていくことを恐れない覚悟を持つことではないでしょうか。そんな時、アートは一義的な解釈を拒み、あらゆる矛盾の中でも切実に思考することを可能にするひとつの方法だと思うのです。

自身が直面した制度への違和感や閉塞感を周囲の人々を巻き込みながら対話によって越境することを試みるイシワタマリ。約40年前に無住集落となった村を舞台に現代の暮らし方を考察する大見新村プロジェクト。農業、医療、福祉など様々な領域へのフィールドワークを通して人が生きることの根源を問う八幡亜樹。

食べる、住む、労わるといった暮らしの中の出来事と接続したこれらの活動は、私たちの日常にはアートと共鳴する臨界面があることを教えてくれるでしょう。きっとそこには不確かさの中に立ち止まれる「逡巡のための風景」が立ち上がるはずです。

(ゲスト・キュレーター 青木彬)

開催期間 2019/02/19(火)~2019/03/31(日)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~20:00
休館日 詳細は公式ホームページをご覧ください
入場料 無料
参加アーティスト イシワタマリ、大見新村プロジェクト、八幡亜樹
会場
  • 京都芸術センター
  • ギャラリー北・南 他
  • 京都府京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
会場電話番号 075-213-1000
会場URL http://www.kac.or.jp/
詳細URL http://www.kac.or.jp/events/24956/