現代、日本中が都市化されていく中で、失われつつある 「その土地ごとの個性」。そこには、その土地に長く続く暮らしがあります。私たちは、その暮らしの大切さを確認するため、47都道府県を1県ずつ編集する、“読む”観光ガイド『d design travel』を制作しています。本展覧会は、その32県目にあたる神奈川号の発売を記念するものです。

神奈川県は、県民も、よそ者も、隔たりのない“大きな海”のようでした。「3日住めばハマっ子」という気質は、横浜にだけ限られたことではなく、広範囲に及んでいたようにも思えます。そんな神奈川という海には、各地域ごとに育まれる「まちづくり」がありました。出会った神奈川の人は、広く文明を開化させることよりも、まちや人に向けて、小さくても美しい花を咲かせることを考えていて、大らかで居心地も良く、スマートでデザイン性も高い。「時代」という波に揉まれながらも、自分たちなりの豊かな暮らしが、そこにはありました。

この会場には、実際にその土地で使われている神奈川県ならではの道具や日用品、工芸品、建築の一部などを、特別にお貸し出しいただき展示しています。展示品のほとんどが、編集部が取材中に出会ったもので、それら全てに、歴史と進化があり、知れば知るほど興味深く、その場所を構成するロングライフなものばかりです。展示品を通して、“実存する神奈川県ならではのデザイン”を知っていただけたらと思います。そして、ぜひ、この展覧会と神奈川号をきっかけに、神奈川県、さらには、日本中を知り、「その土地ごとの個性」の大切さを感じてみてください。

《本文は公式サイト紹介文より抜粋》