
今や遠い過去となった1960年代は、国内外の若者たちがあらゆるジャンルにおいて、こぞって新しい思想や感性を表出させた特異な時代であった。その60年代に青春期を過ごし、研ぎ澄まされた視覚と言語感覚をもって独自の世界を逍遥していたのが、知られざる青年画家・難波田史男である。不慮の事故により32歳の若さで他界したが、15年足らずの短い活動期に、2,000点を超える作品を描き残した。
その多くは水彩とインクを使った空想世界の描写である。写実や構成といった絵画の基本をよそに、内から溢れ出るイメージの数々を、一貫して自由なスタイルで描いている。画家として大成することを目指すというよりは、想像世界をひとり遊歩しながら創作による冒険を重ねていたといってもいいだろう。その背景には、旺盛な読書やクラシック音楽から得たインスピレーションもあったようだ。また、日記やノートに刻まれた随想や詩篇にも、絵画作品と響き合うかのような独自の言葉の世界が拡がっている。
本展では、世田谷美術館が所蔵する全800点余の作品のなかから、約300点を選りすぐって展覧。短い画歴のなかでも、その作風はときに大きく変化し、人知れず葛藤を重ねていた無名の青年画家ならではの、果敢な実験の軌跡を見てとることができる。「自由」のみを糧に、遠く深く未知の世界へと冒険を繰り返した史男という存在に、没後40年を経た今、わたしたちは改めて新鮮な驚きと共感を覚えることになるだろう。
開催期間 |
2014/12/06(土)~2015/02/08(日) ※イベント会期は終了しました
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時間 | 10:00~18:00(入館は閉館30分前まで) |
休館日 | 月曜日(ただし、2015年1/12は開館、1/13は休館)、年末年始(12/29~2015年1/3) |
入場料 | 一般1,000円/65歳以上800円/大高生800円/中小生500円 |
参加アーティスト | 難波田史男 |
会場 |
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会場電話番号 | 03-3415-6011 |
会場URL | http://www.setagayaartmuseum.or.jp/ |
詳細URL | http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html |