1960年代からメディアやジャンルの境界を横断して、デザインやイラストレーションといった商業美術の枠に留まらず、アニメーションや実験映画、絵画、彫刻など幅広く手がけている、田名網敬一。現代の可変的なアーティスト像の先駆者として、世界中の若いアーティストたちにも大きな影響を与えている。

本展では、シルクスクリーン「迷いの橋」シリーズの全15点を展示する。戦後にプロパガンダとして観せられたアメリカ映画とセットで記憶されているキャラクター、ベティ・ブープ、ポパイ、ドクロ、そしてシリーズのメインモチーフであり、田名網にとって幼い頃から抱いていた異界との境界の象徴である「BRIDGE＝橋」が、激しい色彩と混沌とした構図で描かれ、強烈なインパクトを放ち観る者を新たな世界へと引き込む。

また、世界最大のコスメショップ「Sephoraニューヨーク店」のために2013年に制作されたショートムービー「ADVENTURES IN BEAUTY WONDERLAND」が日本で初公開されるほか、直筆ドローイング作品5点、コラージュアーティスト・河村康輔とのスペシャルコラボレーション作品も展示する。9月2日のオープニングでは、若手ダンサー・中村蓉が田名網敬一の作品からインスパイアされたパフォーマンスを一夜限りで披露する。

会場となる「コートヤードHIROO」は昭和43年に旧厚生省公務員宿舎として建てられ、リノベーションを経て今に継承され、世代を繋ぐ架け橋となっている場所である。

【関連イベント】
●オープニングパーティー
日時：9月2日（金）17:00～21:00