DuPont™ CORIAN® NEWS

vol.01

vol.01 Corian® presents ランドスケープ・デザイン対談

ランドスケープデザイナー 長谷川浩己氏×プランニングデザイナー 西村佳哲氏

2012.06.20

馴染む、という感覚

長谷川浩己×西村佳哲

西村:たとえばインテリアデザイナーは、一つの施設や店舗を考えるときのタイムスパンは非常に短いと思うんですが、ランドスケープでは、どんなタイムスパンで仕事をされるんですか?
長谷川:インテリアデザインと全く違うのは、竣工時が完成じゃないというところですね。
西村:いつが完成なんですか?
長谷川:気取って言えば永遠に完成はない、ということになってしまうんですが、感覚的に、自分が関わってできたランドスケープデザインに、友達を連れていって見せたいという気持ちになるのは、2年後ぐらいです。その頃になると、馴染むんです。

西村:馴染む、というのは?
長谷川:木にしても草にしても、やっぱり植えてすぐというのは、何かよそよそしい。それが落ち着いてきているというか、普通にしているというか。
西村:存在感が変わってくるということですか?
長谷川:そうですね、たとえば石なんかは、馴染んでいく存在です。庭師さんの間では、わざわざ馴染ませた石を高値で取り引きするくらいですから。木のデッキでも、種が散ったり落葉があったり、樹液が落ちるので黒ずみますよね。デュポン™ コーリアン®を屋外に置くと木の実が落ちてきて、汚れが付いたりする。ああいうのは、僕はまったく気にならないですね。だから、馴染んでいるということと、汚れがあるというのは、コインの裏表かもしれないです。

長谷川浩己×西村佳哲

長谷川:とはいえ、僕も自然に任したままがベストと思っているわけではなくて、そこに最小限の関与 ── ちょっと拭いてやるとか、庭だったら打ち水してやるとか、落葉を掃除するとかの関与があって、初めてランドスケープは成り立つんですよね。だから、放ったらかしでいいということは絶対ない。パブリックな場所なら、メンテナンスされながら使われている風景というのが完成形という気がします。
西村:馴染んでいる、馴染んでないということを客観的に評価する何かはないんですか。

長谷川:うーん、今はちょっと思い浮かばないですね、客観的な何かというのは。でも、確実に何かあるんですよね。不思議なものですね。竣工時は、植物に限らず、いろいろなものがまだざわついている。不思議なもので、そんな感覚は必ず持ちますね。
西村:ある状況の中に突然ぽんと置かれたような違和感があると。
長谷川:そうです。だから逆に言えば、そういう違和感があまりないのは、たとえば本当に小さな坪庭をちょこっとデザインしたようなとき。「あ、できた」って感じですね。
西村:そこで作り込まれたような。
長谷川:そうそう。だから、ランドスケープデザインは、何となくコントロールのかけ具合みたいなところが大きいんじゃないんですかね。ある程度、規模が大きくなってくると全部に対して僕がデザインできるわけではないので。けれど、小さかったら、そこ全部をデザインできる。インテリアに近くなるのかもしれないですね。そこはもう、茶庭から茶室に入って、花入れに花一輪、全部コントロールされた主人の世界のような。そういう世界だと、その場で完結している。もっとスケールの大きな、ガヤガヤとしている場所では、植物も物も落ち着くまでに時間がかかる。それはたぶんコントロールしてないこととか、し切れてないことが多いほど、馴染ませるのに時間を要するということかもしれませんね。

ランドスケープデザインの仕事の範囲や、プロジェクトの環境の違いによる取り組み方の違い、プロジェクトが違っても変わらない大切な部分など、西村氏の鋭い質問に、長谷川氏が丁寧に答えながら進んだ対談。その他のデザイン領域にも当てはまりそうな、本質的な考え方が散りばめられており、デザインの役割を考え、その仕事が及ぼす影響を考慮しつつプロジェクトに取り組む姿勢に触れ、背筋が伸びる思いのデザイナーは多いかもしれない。

お二人の対談は、小冊子デュポン™ コーリアン®ニュースにも掲載されています。これは商業施設や一般住宅等の施工例を紹介する季刊誌で、デュポン™のウェブサイトから請求ができますので、興味のある方は以下のURLからお問い合わせください。
http://www.dupont-corian.net/topics/archive.html

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1965年、米国デュポン社の研究・開発によって生まれたデュポン コーリアン®は、それまで木や金属、タイル、天然石などに限られていた、建築・インテリア分野の新しい素材として世界中で大きな反響を集めました。それから約40年、今では全世界130カ国の人々に愛され、なくてはならない素材として高い信頼をいただいています。
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