1991年から同病院の院長をつとめる亀田氏は「医療は究極のサービス業」という信念のもと、患者と医療従事者にとって心地よい環境を整えてきた。たとえば、2005年にオープンした入院棟のKタワーでは、全室オーシャンビューの個室で、トイレ・シャワー完備。ベッドに備え付けられたパソコンから自分のカルテや担当医の情報を閲覧でき、食事制限がなければ豊富なメニューから食事を自由に選ぶことができる。専任のスタッフに買い物や宅配便の代行を頼むこともできるし、面会も24時間可能。各フロアに配置されたラウンジや太平洋を一望できる最上階のレストラン、女性専用フロアにはリラクゼーションサロンやビューティーサロンまで設けられている。とはいえ、エグゼクティブのための病院かというと、そうではない。Kタワーのほとんどの個室が差額ベッド代12,600円/日で、民間の保険に加入していれば、大きな負担にはならないと考えられる価格設定だ。
「医療とはインフラなのです。インフラのスタンダードというのは、その国の文化レベルが決めるものです。今の日本のふだんの生活で、他人と一緒の部屋に泊まるということがあるかというと、ないですよね。
出張したときに小さいながらも個室に泊まるのと同じように、病室も個室をスタンダードにと考えてつくったのがKタワーです」と亀田院長。しかし、医療がインフラである以上、そのスタンダードは常により高次なものが求められる。新しい要求に応えて、変化するのが病院の役割でもあるという。そこであらたに「長寿社会に求められるセーフティネットとはどうあるべきか」をテーマに計画されたのが、2012年8月にオープンした新A棟だ。こちらは4人部屋が基本。トイレとシャワーは各室に備え付けられ、可動式の特殊なパーテーションを採用することで、多床室でもプライバシーを最大限守りながら介護がしやすい工夫がされている。
「急速に進む高齢化社会において、これからますます認知症など介護依存度の高い高齢者の方の入院が増えていきます。そのような方をご家族の協力なしで、個室でケアするには限界があります。また高齢者の中には民間の保険に加入していない方も多いのが現状です。そうした中で、職員も安心して高齢者を安全に診ることができて、なおかつリーズナブルな入院費用で、大部屋のよさと快適さのバランスのとれた病棟として計画しました」。
各フロアのケアチームステーションの隣には、日中はリハビリ室に、夜間は観察室として使える防音の多目的室が設けられていることや、ICUの各部屋ごとに家族が待機するための別室が完備されているほか、看取りのための部屋や感染症のための陰圧室を備えるなど、高齢者や認知症患者に対応できる機能を充実させている。
1965年、米国デュポン社の研究・開発によって生まれたデュポン™ コーリアン®は、それまで木や金属、タイル、天然石などに限られていた、建築・インテリア分野の新しい素材として世界中で大きな反響を集めました。それから約40年、今では全世界130カ国の人々に愛され、なくてはならない素材として高い信頼をいただいています。
http://www.dupont-corian.net/
“CORIAN”、「コーリアン」は、米国デュポン社の登録商標です。