編集部の「そういえば、」―番外編:文字数と読みやすさの関係

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編集部の「そういえば、」―番外編:文字数と読みやすさの関係

月イチで公開している本コラムですが、今回は番外編をお届けします!そういえば先日、LINEヤフーのコーポレートブログ「LINEヤフーストーリー」やオウンドメディアの記事を拝見する機会がありました。

「LINEヤフーストーリー」は、2023年11月の開設以降、「サービス」「コーポレート」「リーダーズ」と、大きく3つのカテゴリーで投稿されているブログ。内容は、同社が手がける「LINEスタンプ」や「Yahoo!知恵袋」といった多様なサービスにまつわる話や、さまざまな会社とのプロジェクト、防災DXや情報モラルなどその時々の社会情勢にあわせた話題まで多岐にわたります。

LINEヤフーストーリー トップ画面

その中で特に印象に残ったのが、LINEヤフー研究所の鈴木健司さんのある研究にまつわる記事です。その研究とは、「文章の読みやすさと文字数の関係」をテーマにしたもの。

SNSやオウンドメディアなど、短い文章からある程度のボリュームを持つ記事まで、多様なテキストが日常的に飛び交ういま、読者にとって「ちょうどよい文字量」とはどのくらいなのか——その疑問に科学的に迫ろうとしているのです。

鈴木健司さん

鈴木健司さん(画像提供:LINEヤフー)

鈴木さんがおこなった調査は、約2,700人を対象に、100文字から1,000文字までのYahoo!ニュースの要約記事を読んでもらい「疲労感」や「充実度」を評価してもらうというもの。調査結果では、400文字を超えると内容の充実度は頭打ちになる一方で、疲労感が増すという傾向が明らかになりました。

情報を盛り込みすぎても、読者は必ずしも満足するわけではなく、むしろ「読むことに疲れる」ことがわかったそうです。さらに、100文字は特に疲れが少なく、呼吸するようにスッと読めるという結果も。鈴木さんは「数字(400/100文字)はあくまでも目安の一つ」としたうえで、「会話のリズムに近いのかもしれない」とコメントしています。

調査では文字数のほかにも、文字の大きさや行間の広さなどを変化させておこなわれました(画像提供:LINEヤフー)

画像提供:LINEヤフー

こうした研究にいたる背景には、鈴木さんのキャリアがあります。もともとデザイナーとしてヤフーに新卒入社し、スマホUIの改善や新規サービス立ち上げに携わってきた鈴木さん。カーソル操作のミスを解決する試作や、片手で地図をズームできる操作の開発など、日常の小さな“不便さ”を解消する取り組みを積み重ねてきたといいます。その過程で「細部の改善がUX全体を底上げする」という実感を得て、文字や文章といった領域の研究へとつながっていきました。

もちろん、すべての研究成果が成功につながるわけではありません。例えば、行間や文字サイズの最適化はKPIの向上に寄与しましたが、サービスによって求められる読みやすさが変わります。この経験から、「文脈を無視した改善は逆効果になる」と強く学んだといいます。

現在鈴木さんが目指しているのは、フォントサイズや行間、文字数などを体系化した「ゴールデン・スタイルシート」のような指標を作成することです。誰でも迷わず使える“読みやすさの基準”を整備することで、書き手は「内容」に集中でき、読者もストレスなく理解できる環境をつくりたいと語ります。

画像提供:LINEヤフー

JDNのインタビュー記事では話者の熱い想いを受け止めて長文になりがちですが、記事を制作する際には「どうすればストレスなく読んでもらえるか」を常に意識しています。鈴木さんの研究は、まさに私たちが日々向き合っている課題に重なるものであり、大きな示唆を与えてくれるものでした。

このほかのブログも新しい視座を与えてくれるものが多いので、まだ読んだことのない方はぜひ「LINEヤフーストーリー」を見てみてください。

■LINEヤフーストーリー
https://www.lycorp.co.jp/ja/story/

(JDN編集部)