編集部の「そういえば、」-あなたにとって“はたらく”とは?

そういえば、東京・品川のTHE CAMPUSで開催されたイベント「Lifestance EXPO 2024」にうかがってきました。
「Lifestance EXPO 2024」は、「これからの時代のいい会社」を考え、実践する企業の共同体「PARaDE」によるライフスタンスを発信するイベントです。

「ライフスタンス」とは、一人ひとりの生きかたに対する姿勢・態度、企業の哲学・ビジョン・文化のこと
2回目の開催となる今回のテーマは、「はたらく。生きる。選ぶ。の未来」。PARaDE参画企業とゲスト企業各社の文化を反映したプロダクトの販売のほか、特別ゲストを招いたトークセッション、実際に企業で働いている人との対話を通じてリアルな企業文化を感じることができる「茶話会」が開催されました。
会場には、各参加企業のブースにパネル展示がされており、ビジョンだけではなく、会社を表す「5つの形容詞」や社内でよく耳にする「口癖」、「名前の呼び方」まで、会社の文化を醸し出す内容が掲示されていました。

ブースに展示されていたパネル。写真のパネルは、1932年創業から一貫して手仕事によるガラス製造にこだわる「Sghr」のもの
以降は、3日間で計10本おこなわれたトークセッションの中から、JDN編集部が参加し、印象に残った内容を一部ご紹介します。
■組織にルールって必要ですか?-制度設計と組織文化の幸せな関係とは
登壇者は、Almoha共同創業者COOの唐澤俊輔さん、弁護士の水野祐さん、PARADE株式会社代表取締役社長の中川淳さん。

左から唐澤さん、水野さん、中川さん
組織の中でのルールに関して、水野さんは「ルールの1番のデメリットは思考を停止させてしまうこと。仕組みとして考えなくてもいい部分はルールとして切ってしまい、余白があるものをどううまく使っていくか、変化に合せて柔軟に変えていくのか、無くしていくのかを繰り返していくといい組織文化がつくれるのでは」とお話しされていました。
ルールをつくって終わりではなく、どんどん使って見直していくこと、それを繰り返すことによって組織文化が形成されていくと感じる内容でした。また、自分自身の会社に置き換えた時に耳が痛いなと思った内容が「ルールの浸透」についてです。
唐澤さんは浸透について、「浸透自体を目的にしてしまうと、新たに社内でワークショップをしたりと仕事が増えたり、時間を取られてしまったりするので、本来は日々の経営だったり、普通の会議であったり、日々の活動の中に入れ込んでいくことが大事で、それによって自ずと浸透していくと思っている」と語っていました。
ワークショップなどをおこなうと“やった感”で満たされ、浸透しないまま新たなワークショップがまた開催されるという繰り返しをよく経験するので、日々の活動の判断の中に入れ込んでいくことで浸透し、それがまた組織文化に繋がっていくことを痛感しました。
■これから、どんな会社と社会にしたいですか?-経営者と考える、はたらく女性の選択肢
登壇者は、SHE株式会社取締役COO/CMOの五島淳さん、atelier ST,CAT代表の林聖子さん、PARADE株式会社取締役副社長の佐々木康裕さん。

左から五島さん、林さん、佐々木さん
自身の話の中で、明け方に出産後、同日夕方には仕事をしていたという林さん。「私はそれが苦にならない人」だとお話しされていましたが、「体力やタイプなど、人によって何が喜びで、どういう働き方が嬉しくて楽しいのかはまったく異なるので、選択肢があるというのは大事なこと」ということもおっしゃっていました。
続けて林さんは「世の中で女性が活躍する社会というが、女性が活躍して得られる未来が見えていないのではないか。このまま少子化がさらに深刻化した時にどうなるのかというところまで描けていないから、いまでも女性が妊娠したら会社を辞めさせると言っている社長がいる。世の中の問題を深刻に捉えておらず、目先のことしか見えていないと感じる」と、疑問も投げかけていました。
私自身、「世の中で女性が活躍する社会」に関しては、「世の中で女性が活躍する社会」=「女性を管理職に」となっているのではないかと疑問に思うことが多々あります。今回のイベントのように、人それぞれに「ライフスタンス」がある中で、性別関係なく、正しく評価され、その先に「管理職」があるのではないかと思っています。
また、佐々木さんは「妊娠・出産・子育てしている人が働きやすい会社が増えているが、パートナーが務めている企業が同じように働きやすい環境になっていないケースが多い。それは子育てしやすい社会をほかの企業に押し付けていて、働きやすい環境をつくっている会社が負担になってしまっている。最終的には、このようなトークイベントのテーマに『女性』がなくなる社会になるといい。そろそろ次のフェーズにしていかないといけない」とお話しされていました。
会場出口には、「あなたにとって、『はたらく』とは?」という問いかけがあり、参加者それぞれがふせんに答えを書いて貼っていました。3日間のなかで、トークセッションや展示などを通していろいろな立場の方が「はたらく」について深く考えたイベントだったと思います。みなさんにとって「はたらく」とは何でしょうか?ぜひ考えてみてください!
Lifestance EXPO 2024
https://join-parade.jp/lifestanceexpo2024/
(岩渕真理子)