JDN編集部の「そういえば、」2019年12月

JDN編集部の「そういえば、」2019年12月

ニュースのネタを探したり、取材に向けた打ち合わせ、企画会議など、編集部では日々いろいろな話をしていますが、なんてことない雑談やこれといって落としどころのない話というのが案外盛り上がるし、あとあとなにかの役に立ったりするんじゃないかなあと思うんです。

どうしても言いたいわけではなく、特別伝えたいわけでもない。そんな、余談以上コンテンツ未満な読み物としてお届けする、JDN編集部の「そういえば、」。デザインに関係ある話、あんまりない話、ひっくるめてどうぞ。

大人のための「Housework Coupon」

そういえば、先日グラフィックデザイナーの小林一毅さんがつくった「Housework Coupon」なるものを購入しました。

このクーポン券は、12月13日から12月15日まで中目黒のインテリアショップHIKEで開催された合同展示会「Witness」で小林さんが販売していたもので、「肩たたき券」「洗濯券」「皿洗い券」「買い物券」「料理券」という5つの種類があるクーポンです。

……はい、察しの良い方はお気付きかと思いますが、つまりは“お手伝い券”の大人バージョンですね!以下、小林一毅さんのインスタグラムから、このクーポンについてのコメントを抜粋させていただきます。

「友人への厚かましいプレゼント、両親への孝行、子どもやパートナーへの強権行使のツールとして活用いただけます。このクーポン券を作るに至ったのも自分が結婚したということも大きく、家事を分担したり、協力し合うことが意外と難しいなあと感じる場面がたまにあります。子どもがいたら尚更どちらかの負担が増える可能性もあるし、そうした時に家族間で積極的に協力し合うきっかけになるようなものを作りたいなということで制作しました」

https://www.instagram.com/p/B59Mc7WBVes/

お手伝いツールとしてはもちろんですが、壁にポスターとして貼っておきたいほどのグラフィックデザインも素敵なんです。サイングラフィックのように、詳細な説明がなくとも絵柄でわかるようになっていて、ゆくゆくは新しい概念のコミュニケーションツールや絵文字を小林さんは発明できるのでは…?などと勝手に思ってしまいました。

ちょうど季節は年末、みなさんも大掃除などに思い思いのお手伝い券を発行してみるとよいかもしれませんね…!

(石田 織座)

デザインで表現する『スター・ウォーズ』シリーズのアイデンティティ

そういえば、世間は『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』に対する賛否の声で吹き荒れていると思いますが(たぶん)、スター・ウォーズシリーズの魅力のひとつとして、劇中に登場するさまざまなデザインがあげられますよね。

SF映画の醍醐味といえる宇宙船のデザインをはじめとして、ライトセーバーなどの武器やガジェット、帝国軍やファースト・オーダーのコスチューム、さまざまな惑星の種族やクリーチャーの造形など、映画を構成するあらゆるかたちにも、スター・ウォーズらしさというものが宿っているのが、このシリーズの大きな特徴だと思います。そんなスター・ウォーズにおけるデザインについて解説する、米『WIRED』の動画がおもしろかったので紹介します。

まずは年代ごとに異なるストームトゥルーパーのデザインについて。初期のデザインはもちろんですが、要素が削ぎ落とされてスタイリッシュになった新3部作のデザインもいいですよね。

こちらはスター・ウォーズに登場する宇宙船のデザインについての解説動画。映画の冒頭で巨大な宇宙船が画面を覆うのはシリーズの定番ですし、大小さまざまな戦闘機のデザインにも「らしさ」は宿っていて、シリーズを通してのバリエーションと統一感のバランスにあらためて感じ入ってしまいます。TIEファイターに関しては、あの飛行音も革新的なサウンドデザインだと思います。

ストーリーやセリフ、キャラクター、音楽など、映画を構成するさまざまな要素の中でも、SF映画においてはまだ世の中に存在しないものを映画の中でリアリティをもって描くことがなにより重要になるため、他のジャンルよりもデザインの役割が大きいの特徴です。スター・ウォーズに関してはディテールにいたるまでつくり込まれた世界観の中でデザインが完璧な役割を果たしていて、それこそが長くにわたってファンを虜にする理由だと思います。ジョージ・ルーカスの手を離れてからの3部作が完結した2019年以降もシリーズは継続されるようなので、「スター・ウォーズらしいかどうか」というデザインに対してのつくり手とファンによるジャッジが、今後永遠に行われていくのでしょう。

と、ここまで平熱で文章を書くことに努めてきましたが、内心はネタバレ込みで『スカイウォーカーの夜明け』について書いてしまいたい……!でもたぶん年明けぐらいまではネタバレ自粛モードが続くのでしょう。

すこしだけ書くと、ぼくにとってスター・ウォーズは「フォースがなにをあらわしているのか」ということと「血と運命にどう向き合うのか」についての物語だったな、という気持ちを再確認したようなエピソード9でした。そして、そこまでギークではないぼくとしては、はじめてあのライトセーバーが欲しくなりました(これを書くだけでも怒られるかもしれない…)。

今年最後の「そういえば、」になりましたが、お読みいただきありがとうございました。2020年も、フォースとともにあらんことを。

(堀合俊博)