【さいきん、なに買った?】minnaの、“好き”という気持ちを表明するための買い物

【さいきん、なに買った?】minnaの、“好き”という気持ちを表明するための買い物
こんなにモノが溢れる時代に、それでも私たちが「モノを買う」のはなぜだろう?物欲…?はたまた必要に駆られて…?「買う」という行為から、その人らしさや考え方が見えてくるような気がします。本企画はいわゆる「私の定番アイテム」紹介ではありません。さまざまな職種の方に「さいきん、買ったもの」をうかがい、改めて「買う」ことについて考える…そんな大げさな話ではなく、審美眼のある方々に「買う」にまつわるお話をうかがう、ちょっと軽めの読み物です。

今回は「ハッピーなデザインで、みんなをつなぐこと」をコンセプトにかかげる、デザインチームminna(ミンナ)の角田真祐子さんと長谷川哲士さんが、さいきん買ってよかったものを紹介してくれました。公私ともにパートナーであるおふたりの“買い物”、そして“買い方”についての価値観が気持ちいいぐらい明快です!

彦坂木版工房の「ロールパン」

長谷川哲士さん(以下、長谷川):彦坂木版工房(彦坂有紀さんともりといずみさんによる木版工房)の初期の作品集『パンと木版画』(2012年)の原画です。それのエディションナンバー11/21。

先日、松陰神社前のノストスブックスで新作の作品集『旬』の出版記念展があり、『旬』の中からの原画に加え、いくつかメモリアルなものも売っていました。そこで購入した版画で、この作品は人の手に渡せる最後の1点だとおっしゃっていました。

最近の作品もとてもいいんですけど、この作品の素朴さに惹かれました。ぼくらは彦坂木版工房のファンだったので、彼らのいちばんルーツのところを所有したいという気持ちから購入しました。

角田真祐子さん(以下、角田):作品の佇まいがふたりとも気に入ったというのがあったんですけど、彦坂木版工房のふたりの制作に取り組む姿勢や、一緒にはじめるようになったストーリーの部分、もりといずみさんが彦坂有紀さんの作品に惚れ込んだふたりの関係性とか、そういう部分も興味深くてより好きになりました。

長谷川:飾るだけで考えたら、最近の作品のほうが絵としてはよかった部分もあるんですけど、「ファンです!」ということの表明みたいな?ちょっと違う?

角田:たしかにファンではあるけれど、ちょっと違うかな……(笑)。「自分たち的にはこれはまだ下手なとき。いまのほうが上手に刷れるんですよね…でも、逆にそれがいいって感じてもらえたら」とおしゃっていて、実際に近年の作品に比べるとまだ立体感が出せてなかったり、木目を上手く狙えて刷れてなかったり……そういうところがエモいというかグッときてしまって(笑)。もう、これはただのパンの版画ではなく、“グッと心を掴まれた気持ち”を見るたびに思い出させてくれる。そういうことが生活において感じられるのはすごくいいなと思いました。

長谷川:だから投票する感覚に近いよね。たとえば飲食店とかだと、美味しいモノを食べたいと思う気持ちと同時に、この店が長く続いてほしいという気持ちもあるから、そういう「好きです」という“気持ち”の部分にお金を使っている。今回もそこが大きいですね。

CONCRETE HEART

長谷川:中山英之さんとE&Yによるハート型のオブジェ「CONCRETE HEART」です。さっきの話とは違ってこれは投票したいとかではなく、勝手にですが「ぼくらっぽい!」と思ったんです。minna設立10年を機に、「ハッピーなデザイン」というのを打ち出していたこともあったので。

ちょうど、ドアストッパーを新調したいと思っていたときにこの「CONCRETE HEART」をSNSで見て、「インテリア ライフスタイル2019」に行く前から購入することを決めていました。

中山英之さんの親しい建築家ら主催による東日本大震災被災地支援チャリティバザーのために、事務所にあった、材料だけで即興的に制作されたものだった。強い建築や、街を作るコンクリートだが人のハートよりも強い材料など存在しないという想いをそのままに、当時よりも少しだけ柔らかい質感と表情で制作された

こんな絶妙なプロダクトってなかなかないじゃないですか?E&Yさんらしく尖りまくってるし、これが生まれたストーリーを読んでも納得感しかない。あと、価格を見たら思いのほか買いやすかったのもあって。

角田:重さが2kgもあるんですけど、「インテリア ライフスタイル2019」の搬出の荷物と合わせてでも持って帰りたいってくらい欲しくて。ドアストッパーみたいな機能が中心のものであっても、日常的に目に入るものは気分を高めるようなものがいいなと思っていて。そういうものを所有していたいですね。

長谷川:これはもう直感だよね。

——買い物では直感も大事にされている?

長谷川:そういうときもたまにありますね。

角田:いや、意外と多いと思う(笑)。直感でいいと思ったものや、同じ作家さんのお皿とかが気づくと増えてたりします。

「買い物」について

——おふたりで「買い物」をするときの感覚のずれはあまりないんですか?

長谷川:大きくずれることはないですね。「信じられない……!」とかはほとんどない。

角田:基本的に買い物も一緒に行くんですよ。仕事も一緒なのに、出かけるのも一緒なの?とよく言われるんですけど(笑)。別々に遊びに行くことも、もちろんあるんですけど、でも買い物は一緒に行きたい。

長谷川:ひとりで買い物にいくとあまりいいことがないんですよね。僕の場合は冷静さを欠いて、角田の場合は買いどきを逃す。僕の後押しがあると買えるのに、ひとりだと決めきれないみたいです。反対に僕はひとりで放置されると危険(笑)。

——お子さんのための買い物については?

角田:最初はわりと高くても、気に入ったら買っちゃうところがあったけど、さいきんはなにかあっても怒らずに済むものですね(笑)。「自由に遊べるもの」という考え方に変わってきたので、「むしろちょっとここに落書きしちゃおうか?」みたいなことを許せるぐらいのモノのほうがいいなと思っています。だから100均もよく使っています。

長谷川:定期的に100均に行ってるけど、なにを買ってるの?

角田:子どもの買い物の練習。100均って、1つの空間にギュッとたくさんのモノが売っているので、誘惑も多いんですよね。「本当にコレがほしいのか」とか「どこが気に入ったのか」を子どもとよく話して、その理由がちゃんとしていたら買ってあげています。店にあるもののほとんどが100円だから、親も大きな心でいられるし(笑)。本人の意思でちゃんと決められるのもいいですね。

これは3つで100円ですってお菓子もあれば、これは4つで100円ですみたいなお菓子もあるので、「なんでだと思う?」と子どもに問いかけて一緒に考えたりしています。ふだんはカードで買いものすることが多いけど、子どもの買い物とプレゼンの練習に100円ショップはいいなって。

長谷川:ぼくがスーパーでお会計並んでる間にそんなことしてたんだ……すごいね(笑)。

minna

minna

2009年、角田真祐子と長谷川哲士によって設立。デザインをみんなの力にすることを目指し、ハッピーなデザインでみんなをつなぐデザインチーム。「想いを共有し、最適な手段で魅力的に可視化し、伝達する」一連の流れをデザインと考え、グラフィックやプロダクトなどの領域に捉われない活動を様々な分野で展開している。昭和女子大学非常勤講師、武蔵野美術大学特別講師。グッドデザイン賞、日本パッケージデザイン大賞金賞、SDA賞 優秀賞、キッズデザイン賞、TOPAWARDS ASIAなど他受賞多数。
https://minna-design.com/