かねこあみ
1995年生まれ、神戸市出身のデザイナー。作字、ロゴ制作をメインとした制作活動を行なっている。最近はオリジナルグッズ・冊子を制作してイベントへ出店するなど、同人活動にも力を入れている。自主制作は、好きな言葉で好きなように。人間味を感じられるような作品を作ろうと心がけています。
さまざまな企業やデザイン事務所のリモートワークの実践例を紹介する、「デザインのお仕事」の新連載「HOW WE WORK REMOTELY」。COVID-19の感染拡大防止に向けて、多くの方がリモートワークで仕事に取り組むいま、リモートワークのメリット/デメリット、在宅仕事にまつわる悲喜こもごもなど、記事を通してさまざまな声をご紹介しています。
JDNでは、本連載の番外編として、デザイナー・クリエイターの在宅での仕事の実践例を紹介していきたいと思います。第1回目の今回は、本企画のロゴを制作していただいた、かねこあみさんにお話をお聞きしました。
外出自粛の機運が高まる中、「#家にいるだけで世界は救える」のハッシュタグのロゴを制作し、発信されていたのを拝見したのが今回のロゴデザインをお願いしたきっかけでしたが、かねこさんは普段、会社員としての仕事と個人制作、クライアントワークそれぞれに、日々の生活の中で取り組んでいるそうです。外出自粛期間中、家の中で仕事と生活を両立させるために工夫していることについてうかがいました。
4月から会社の仕事が在宅勤務へ
4月上旬から、現在勤めている会社の仕事が在宅勤務になったのですが、以前フリーランスで仕事をしていたことや、個人の制作、クライアントワークを自宅でしているので、4年ほど在宅で仕事をしています。
ネット環境はもちろんですが、大きめのデスク、背もたれが首まであるイス、ウォーターサーバー(かなり便利です!)など、作業環境はある程度整っていたので、会社の仕事も在宅勤務に移行しやすかったです。
会社の仕事は、業務上出力して確認することがが必要だったり、守秘義務が厳しいということもあり、現在は週に2、3回ほどは出社しています。
個人でのクライアントワークは、ここ数年は募集自体はしていないのですが、ありがたいことにご依頼いただけることがあり、その中でできる限り取り組ませていただいています。なので、個人の仕事の働き方自体は、コロナ以前とほぼ変わっていません。
ただ、資料集めや人間観察をしたい時、まったく集中できない時はカフェで手を動かしていたこともあったので、たまにカフェ作業が恋しくなる時があります。おいしいカフェラテを飲みながら、ラフスケッチしたいなぁ……とか。
働くことと暮らすこと、日々の工夫
自宅での仕事は、業務の開始/終了が自分のタイミングになるので、しっかりと時間の管理をしないとだらだら業務が続いてしまうのではと思います。自宅だと空間の境界がないため、仕事の時は必ず着替え、メイクをし、靴下を履くようにしています。
個人制作やクライアントワークは、会社での仕事や家事、娯楽といった日常生活のプラスアルファになるため、日常生活を蔑ろにしないように、なるべく少しずつ時間をつくるようにしています。たとえば、通勤時間は読書(または資料集め)、お昼休憩の合間は個人制作のラフスケッチ、就寝前は個人の仕事/制作でPCに向かう、など。毎日同じ時間帯に決められたことをするようにしてから、自然と頭の切り替わりが早くなってきたと思います。感じているだけかもしれませんが(笑)。
ただ、あまりにも“時間”に生きすぎると疲れてしまうこともあるので、毎日何もしない時間もつくって、メリハリをつけています。会社の仕事が在宅になってからは、往復で2時間ほどかかっていた通勤時間を、読書や個人制作などに充てることができているので、自分の時間を確保しやすくなったのを感じています。
会社の仕事に関しては、在宅勤務だと社外からの電話対応などがないので、より作業に集中できていると思います。なるべく出社時のタイムスケジュールを維持するように、12時ピッタリから昼休憩をとるためのリマインダーを設定しています。在宅勤務中も急ぎの業務が増えることがあるので、「何時までにやること」「今日やること」という時間区切りではなく、次の出社日までに終わらせること、というようなザックリとした区切り方で仕事を進めています。
外出自粛期間で変わったこと/変わらないこと
個人で受けているクライアントワークのご依頼は、SNSのメッセージでいただくことが多く、クライアントさまの文面や制作内容によって、必要な場合は対面・お電話で打ち合わせさせていただくようにしていました。なので、以前とさほど仕事の仕方は変わりありません。
会社の仕事に関しては、テキストコミュニケーションでは伝わりにくいことも多く、しっかりとこまめに情報・内容の共有・報告をすることが大切だと感じています。上司とは電話での打ち合わせしかしないため、やはり以前よりも言語化・意思疎通が難しいです。画面共有ができないので、なにかを確認してもらいたい時は、普段であれば言わなくても分かるような情報も細かく記載した確認用資料を用意して、電話またはメールで返事をもらっています。とはいえ、時間もかかり効率もあまりよくないので、在宅でデザインの打ち合わせをしなくていいように、出社のタイミングで打ち合わせをするようにしています。
それでも、案外問題なく業務が進行できるということに、今回の状況で気付きました。普段している打ち合わせで、必要ない時間も多かったのではないかと……。もちろん、逆に直接やりとりしないといけない・伝わらない業務も多いなとも感じています。デザイン表現の確認や、プレゼンシートに反映する細かい情報の確認などは、こまめに直接確認・やりとりをしたいと感じました。また、印刷物の入稿データはダブルチェックを行うことが多いのですが、チェックしてもらう際の注意点などは直接説明しながらの方が確実だと思います。
リモートワークの広がりについて、感じていること
いまは普通に仕事もできていて、何不自由ない生活を送らせていただいていますが、在宅でずっと仕事をするため光熱費もかかりますし、少しでも手当がつく社会になるとうれしいなと思います。
外出自粛という状況によって、在宅ワークが実施できる業種、できない業種が浮き彫りとなり、各業種の業務環境を知ることができました。今後、この状況が落ち着いた際、在宅ワークを推奨する企業も増えていくんだろうなと感じています。「仕事はフェイストゥーフェイスだ!」と考える方もいますが、しっかりと組織の環境、業務内容を見返すと、もっとリモートワークに移行できる方も多いかのではないでしょうか。そういった内容をリストアップし、発信していくツール・場があるとうれしいですね。
また、純粋に在宅ワークを「しない」のではなく、「できない」状況にあることを責める、腫れ物を見るような目で見る社会は悲しいなと感じています。
リモートワーク中の人へのメッセージ
在宅ワークベテランの方々の業務環境を真似し、自分のベストな環境をつくっていけるように頑張りましょう!私も頑張ります!
そして、生活リズムが崩れてストレスがたまらないように、早寝早起き、そしていっぱいごはんを食べましょう。
【HOW WE WORK REMOTELY】関連記事(デザインのお仕事)
・【vol.1】Whatever Inc.
・【vol.2】岡本健デザイン事務所
・【vol.3】株式会社ミクシィ
・【vol.4】hey
・【vol.5】イトーキ
・【vol.6】丹青社
・【vol.7】エイトブランディングデザイン
1995年生まれ、神戸市出身のデザイナー。作字、ロゴ制作をメインとした制作活動を行なっている。最近はオリジナルグッズ・冊子を制作してイベントへ出店するなど、同人活動にも力を入れている。自主制作は、好きな言葉で好きなように。人間味を感じられるような作品を作ろうと心がけています。