minnaの「職育児近接」へのチャレンジ【HOW WE WORK REMOTELY】

minnaの「職育児近接」へのチャレンジ【HOW WE WORK REMOTELY】

さまざまな企業やデザイン事務所のリモートワークの実践例を紹介する、「デザインのお仕事」の新連載「HOW WE WORK REMOTELY」。COVID-19の感染拡大防止に向けて、多くの方がリモートワークで仕事に取り組むいま、リモートワークのメリット/デメリット、在宅仕事にまつわる悲喜こもごもなど、記事を通してさまざまな声をご紹介しています。

JDNでは、本連載の番外編として、デザイナー・クリエイターの在宅での仕事の実践例を紹介していきたいと思います。第2回目の今回は、JDNで連載「minnaとみんなの話」を執筆いただいている、デザインチーム「minna」の角田真祐子さんと長谷川哲士さんにお話をお聞きしました。

オフィスのキッズスペースの様子

オフィスのキッズスペースの様子

創業当初から職住近接

角田真祐子さん(以下、角田):10年前の創業時から職住近接を意識し、自宅から徒歩数分の距離にオフィスを設けていたこともあって、当初は基本的に家で仕事はしていませんでした。2015年に息子が生まれてからは、オフィスにキッズスペースを設け、イレギュラーな事態に対応するために、在宅ワークできる体制も整えることで、暮らしと仕事を切り分けつつ、共存させられる環境で働いています。

長谷川哲士さん(以下、長谷川):現在スタッフには住宅手当を設けており、公共交通機関を使用せずに通勤できる距離に居住しているので、今回のCOVID-19での自粛要請をうけてもいままでと変わりなく出勤することはできていました。ただ、必要な場合には、在宅勤務もできる体制は整えてあるので、適宜取り入れはじめています。

「移動時間」という概念がなくなった

長谷川:いままではクライアントとの打ち合わせをスケジュールする時に、無意識で「移動時間+ミーティング時間」の合計を計算していましたが、打ち合わせの多くがオンラインになったいま、「移動時間」という概念がなくなったのはとても大きいです。お待たせすることも減り、一番必要なタイミングでタイムリーにお打ち合わせできているのは、とても効果的だと感じています。

角田:打ち合わせは基本的に「Zoom」を使用し、チーム内の作業は「DropBox」を活用してデータ共有をしています。在宅での仕事の際には「AirPods Pro」を使用しています。ノイズキャンセリング機能があるので、オンラインで打ち合わせをする時や集中力を高めたい時にとってもありがたいです。

自粛期間中にデザインした、フリーダウンロードで遊べるオリジナルのアマビエオリガミ

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打ち合わせの「手触りや温度、空気感」の価値

角田:とはいえ、オンラインでの打ち合わせだと空間が共有できていないため、その場の空気感が感じづらく、打ち合わせに余白やゆとりが生まれにくいことが、難しいポイントだと感じています。

入室して席に着くまでのちょっとしたコミュニケーションでできる空気感や、雑談などのふとしたきっかけから生まれる発想などもあると思うので、オンラインミーティングでも代替できるようなコミュニケーションをとれるように、日々やり方を工夫しています。

長谷川:いままでのオンラインミーティングは、物理的距離に対しての対応策という側面が強かったと思うのですが、これを機に、時間の効率的な活用という面でも一般化されていくといいなと思います。そうすることで、リアルなコミュニケーションでしか伝えられない「手触りや温度、空気感」などに対する価値も再度認識され、人が人に優しくし合えるようなハッピーな関係性が増えていくように思います。

フリーでダウンロードできる、STAY HOMEを楽しくするためのメッセージカードキット

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「職育児近接」の魅力、チャレンジ

長谷川:COVID-19の影響というか副産物として、在宅勤務に対してのメリットやデメリットについて語られる機会が増えていると感じています。さまざまな意見があるとは思いますが、在宅勤務が議論の対象になっていること自体が今後の働き方改革にとって大きな一歩になりそうだなと感じています。

角田:私たちは職住近接だけでなく、「職育児近接」にも魅力を感じ、チャレンジしています。子どもと時間と空間を共にしながら働くことは、笑っちゃうくらいにパワーが必要ですが(笑)、たくさんの体験を共有することで見えることや伝えられることも多く、結果的に仕事にとってもプラスに作用していると感じています。

Zoomで打ち合わせが終わった10秒後にはフライパンを握ってランチをつくりはじめているなんてことも多いですが、なんだかゲーム感覚で楽しむことで、気がつくといままでより少しパワーアップした自分に出会える気がしています。

長谷川:ちょっとリッチなお菓子時間を決めて思いっきり子どもと遊んじゃうなど、「ごほうびタイム」でリフレッシュすることで、できるだけ自分がごきげんでいられる状態をつくってみるのもおすすめですね。

minna(デザインチーム)

minna(デザインチーム)

2009年、角田真祐子と長谷川哲士によって設立。
デザインをみんなの力にすることを目指し、ハッピーなデザインでみんなをつなぐデザインチーム。「想いを共有し、最適な手段で魅力的に可視化し、伝達する」一連の流れをデザインと考え、グラフィックやプロダクトなどの領域に捉われない活動を様々な分野で展開している。
武蔵野美術大学、昭和女子大学 非常勤講師。グッドデザイン賞、日本パッケージデザイン大賞金賞、SDA賞 優秀賞、キッズデザイン賞、TOPAWARDS ASIAなど他受賞多数。
minna-design.com