9歳のちいさな女の子、ローズの物語。20世紀を代表する作家、ガートルード・スタイン唯一の児童文学を、1939年刊行のオリジナル復刻版から初邦訳しました。ローズピンクとブルーで描かれたイラストと共に、文章を声に出して五感で楽しんでほしい作品です。
ピンクとブルーの2色でスタインの文章を飾るのは、『おやすみなさい おつきさま』で知られるクレメント・ハードの美しいイラスト。2人を組み合わせた編集者、マーガレット・ワイズ・ブラウンの発想力をひしひしと感じられる文学作品です。イメージが連鎖する思考の流れを見事に文章化した独特の文体は、80年の時を経ても変わらない魅力を保っています。日本語版書き下ろしとして、訳者あとがき「世界の“あるところ”でこの本を読んだあなたへ」と、解説「『世界はまるい』ができるまで」を収録。
辻祥江(デザイナー)おすすめコメント
80年前の作品のオリジナル版での復刊翻訳ということで、版元さんから、原書の雰囲気をできるだけ活かしたいという希望をうかがっていました。その上で特に難しかったのは、原書とは違う紙とインクで色の再現をすることでした。ローズピンクと濃いブルー、特色2色での印刷は、わずかなぶれが雰囲気を大きく変えてしまいます。カバーと本文でも用紙が違うので、印刷所の方と何度も相談して試行錯誤しました。仕上がった本は、目指した色が出せていて、とても気に入っています。
本文は、やさしく読めそうだけど一風変わったテキストであることが、ほんのり伝わるように書体を選びました。くせが強すぎず無さ過ぎず、ちょっと変わっているかな?くらいのバランスを目指しました。タイトルの文字は太めの絵筆のような筆致で、丸みのある原書の欧文タイトル(大扉に残しているもの)に合わせて手書きでつくっています。欧文と日本語で書体の見た目を合わせるというよりは、文字が発する印象が通じるように検討しました。
プロフィール:辻祥江
ブックデザイナー。14年在籍したeaより2015年2月に独立。絵本やエッセイ、レシピブックなどを手がけている。
http://4ca2g.tumblr.com/
発行 | アノニマ・スタジオ |
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著者 | 文:ガートルード・スタイン 絵:クレメント・ハード |
編集 | マーガレット・ワイズ・ブラウン |
訳 | みつじまちこ |
デザイン | 辻祥江 |
日本語版編集 | 村上妃佐子(アノニマ・スタジオ) |
仕様 | A5版変型、96ページ |
価格 | 1,600円(税抜) |
ISBN | 978-4-87758-769-7 |