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2010年4月のミラノサローネ・ブレラ地区に現れた洞窟のような空間。この空間に足を踏み入れると、中には照明やキッチン、トイレなど、私たちの生活に馴染みのあるモノが配置されている。都会に突如出現した「洞窟」という“非日常”の空間に、多くの人の足を止めたこの展示が、パナソニック電工の「(standard)3(スタンダード3乗)」である。今年のテーマは「smart」。「デザイン」と「快適・エコ」技術が調和した暮らしを表現するものだ。
同社は、今年でミラノサローネへの出展が三回目となる。昨年、一昨年と参加したことで、着実に企業の知名度や、製品の品質の高さを浸透させてきた。そして三年目となる今年、パナソニック電工の展示はどのような展望を遂げたのだろうか。そんな期待を胸に、サローネ開催目前の2010年3月に同社を訪問した。出展を統括するデザイン部デザイン戦略企画グループ副参事の岡井理恵氏、同広報部・東京広報主任の岡本麻菜美氏に、今年の展示内容と同社のデザインへの取り組みについてお話を伺った。
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 【1】ミラノサローネ開幕が迫る3月、3度目の出展の狙いについてお話を伺った。
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“企業のメッセージを伝える場”としてのミラノサローネ
そもそも、ミラノサローネへの出展のきっかけは何だったのか。パナソニック電工は様々な製品を作っており、その幅広さが同社の強みでもある。しかしこれまでは、企業全体を通してのデザインメッセージを伝える場所や機会が無かった。ショールームを担当していた岡井氏は、その伝えられないもどかしさと共にデザインコミュニケーションの重要性を感じていた。
ミラノサローネは、デザインが美しいものを並べるだけの展示会ではない。しかも、パナソニック電工がターゲットとする「住空間に関わるプロ」が多く足を運ぶ。コーポレートメッセージを伝える場所としては、うってつけの舞台だ。「ミラノサローネで自分たちのメッセージを伝えたい」と考え始めたのが2006年。その後すぐに準備にかかり、翌年には出展を果たした。
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3年連続でコンセプトに掲げる(standard)3
初の出展は2008年。当時から掲げている「(standard)3」(スタンダード3乗)というコンセプトは、同社の強みを端的に表している。パナソニック電工が扱う製品はコンセントやトイレ、風呂などの建築設備からマッサージソファまで幅広い。住空間の欠かせないパーツを構成する(standard)3は、パナソニック電工の取り組みをあますことなく提案している。
今年はテーマを「smart」とした。スマートな暮らしの実現には、製品単体では実現できない全体最適を考えた効果的なコントロール、特にエネルギー使用量を把握することが重要だ。例えば今年のサローネで新たに提案した「ライフィニティECOマネシステム」参考出品は、住宅の設備機器や情報家電をネットワーク化するもの。電気・水・ガスの使用量をモニタリングし、家全体のエネルギー消費を把握することで省エネを支援する未来の暮らしを描き出そうという試みだ。各製品のデザインだけでなく、次世代のエネルギーコントロールを見据えたデザインがなされている。
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 【2】展示会場の様子 |
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 【3】ミラノサローネへの出展を統括する、パナソニック電工株式会社デザイン部デザイン戦略企画グループ副参事の岡井理恵氏。 |
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 【4】パナソニック電工は、建材など幅広い商品を作っている。 |
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 【5】今回の展示で大きな役割を果たした、構造用壁下地材のケナフボード。 |
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 【6】圧縮する前のケナフ繊維。成長が早くCO2吸収率も高いので、環境に優しいエコな材料。 |
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 【7】ケナフボードを使った展示。あらかじめブロック単位で組みたてておき、そのブロックを現地でセッティングすることで、会場の建て込みをスムーズにした。 |
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