昨年は白いポールを林立させた森林のような空間で、新作を展示していたmoroso(モローゾ)。今年の空間構成も、昨年に引き続きパトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)と建築家のマルティノ・ベルギンツ(Martino Berghinz)です。モローゾの文字にカッティングした発泡スチロールで構成された白いブースは、今年も多くの来場者の目を引きました。このパーツは、終了後リサイクルに出すそうです。
ここでも、パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)の人気は高く、新作チェアを数点発表していました。【写真5】は新作チェアの、SILVER LAKE(シルバーレイク)。曲線を多く使うイメージのパトリシア・ウルキオラですが、今回は多面的なフォルムでボリューム感のあるラウンジチェアでした。Klara(カラーラ)や、Rift(リフト)は素材を替えたものや、カラーバリエーションを増やしたものが展示されていました。
そして、今やミラノサローネの顔ともいえる吉岡徳仁も、モローゾで新作を発表。しかし、新作チェアMemory(メモリー)は、初日には展示されず、後日展示されたそうです。初日にRHO FIERA (ロー・フィエラ)を回った私たちは、残念ながら見ることができませんでした。このチェアの素材を触ることを、今回のミラノサローネの中でも非常に楽しみにしていたので、目も触れられずに本当に残念でした。
今年のサローネで各ブランドが新作発表を控える中、モローゾは若手デザイナーも多く起用し、新作を発表しているのが印象的でした。いくつか気になる作品をご紹介します。
いつもエキサイティングなデザインを見せてくれる、スウェーデンの女性クリエイター集団FRONTの作品は、今回も期待を裏切らないものでした。球体をつなぎ合わせたWOOD CHAIR(ウッドチェア)は、布のようにやさしく包みこむデザインで、座るとちょっとしたマッサージチェアのようです。
【写真10】はNipa Doshi(二パ・ドーシ)と、イギリス人男性Jonathan Levien(ジョナサン・レビアン)によるデザインで、Paper Planes(紙ひこうき)。方眼紙を曲げたようなデザインで、名前のとおり紙ひこうきのような軽やかな椅子でした。
この椅子はトリアンナーレ美術館で開催された、「SWAROVSKI CRYSTAL PALACE」では、Swarovski(スワロフスキー)を織り込んだ生地で発表されました。私が今回の展示会で最も欲しいと思ったのが、この椅子です。
昨年のモローゾ(テーマ:アフリカ)でも作品を発表した、セネガルのデザイナーDominique Petot(ドミニク・ペト)。今年はハイビスカスやアイリスなど「花」をテーマにした椅子を発表しました。ダイナミックなデザインで強い生命感を感じさせました。
他にも、日本の千代紙のような生地を張ったチェア「Sushi divider(寿司デバイダー)」を発表したEdward Van(エドワード・ファン・フリート)や、「ali baba(アリババ)」というテーブルを発表したMarcello Jori(マルチェロ・ジョリ)など、まだまだ日本ではあまり名前を見かけないデザイナーも多くいました。若手ならではの斬新なデザインで、今回のミラノサローネRHO FIERA (ロー・フィエラ)会場を一番楽しませてくれたのが、モローゾの展示会場だったのではないでしょうか。
|
 |
※クリックで拡大
 【1】moroso(モローゾ)ミラノサローネRHO FIERA (ロー・フィエラ)会場
 【2】moroso(モローゾ)ミラノサローネRHO FIERA (ロー・フィエラ)会場
 【3】moroso(モローゾ)ミラノサローネRHO FIERA (ロー・フィエラ)会場
 【4】パトリシア・ウルキオラの新作「SILVER LAKE」
|