今回は、日本でも人気のあるブランドdriade(ドリアデ)から発表された、新作をご紹介します。今回発表された新作チェアは、イタリアのインテリア雑誌INTERNI(インテルニ)で4月号の表紙を飾りました。
まず、INTERNIについてご説明します。INTERNIとは、現代的なインテリアや建築、家具デザインの情報が満載の雑誌で、主にイタリア発の最新情報が、スタイリッシュな構成で紹介されています。このINTERNIは、イタリア・ミラノ市内各所で同時期に開かれる、FORI SARONE(フオーリサローネ)会場を回る人には欠かせない雑誌です。ミラノサローネが始まる前日頃から、各所にINTERNIの冊子が配られます。それをどこかのインテリアショップやショールームで手に入れて、その中にある地図を参考に各イベントを廻ります。注意しなくてはならないことは、時々地図が間違っているという点です。近くまで行き、目的のものが見つからなかったら、周りを見てINTERNIの旗を探してください。会場の目印になるように、このINTERNIの旗が入口前に掲げられています。
今年の4月号のINTERNIの表紙をかざったのが、ファビオ・ノヴェンブレの仮面のチェア(NEMO)です。国際見本市本会場RHO FIERA (ロー・フィエラ)のデザインHallをぐるぐる回り、driadeのブースでこの椅子を見つけた時は感動しました。この椅子に皆が代わる代わる座るのですが、一度座った人は、なかなか椅子から立ち上がろうとしません。この椅子は座面がゆったりしていて、背もたれの高いハイバックの一人掛けのチェアですが、目玉部分が開いているために、背側の気配をちょっと感じながら、座っている人をすっぽり包み込みます。仮面の顔は、座っている人を「今日だけはそっとしておいてください」とでも言わんばかりの微笑みを浮かべています。このチェアはボールチェア以来の、癒し系です。
このチェアをデザインしたファビオ・ノヴェンブレは、2008年のミラノサローネで発表された、パントンチェアへのオマージュ作品「Him & Her」の作者です。「Him & Her」は世界で初めて性別のあるチェアとして、家具デザインの歴史に残ると言われています。全く新しい衝撃を与える、エロチックな作品でもあります。
建築から空間、家具、アートとマルチな活躍をみせ、自国であるイタリアをはじめ、世界中でその才能を発揮している建築デザイナー、ファビオ・ノヴェンブレは、人体の部位をモチーフにデザインさせたら天下一品のデザイナーです。その他のdriadeの新作として、いくつかプラスティック素材のチェアが発表されていましたが、ファビオ・ノヴェンブレの作品が飛びぬけた存在感を放っていました。
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※クリックで拡大
 【1】イタリアのインテリア雑誌INTERNI
 【2】driade(ドリアデ)の展示会場入り口
 【3】会場脇から入ると、ファビオ・ノヴェンブレの仮面のチェア「NEMO」が出迎えてくれる。
 【4】NEMOのカラー、白と赤。
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