今年のミラノサローネは、アイスランドの火山噴火で、日本に帰国という日に飛行機が飛ばなかったり、空港閉鎖という本来なら考えられない出来事に遭遇された方も多かったのではないでしょうか。
それでも、イタリアミラノのサローネは盛大に行われ、昨年リーマンショックで落ち込んだ来場者数も今年は幾分持ちかえしたようです。全体的なカラーとして、昨年同様、世相をあらわすかのようなモノトーンが多く見られましたが、ユニークでアーティスティックな作品には個々の色があり、景気回復の兆しも感じさせました。
まずは国際見本市本会場RHO FIERA (ロー・フィエラ)からご紹介します。ホールごとに展示スタイルが分かれている、国際見本市本会場RHO FIERA (ロー・フィエラ)。やはり、一番人気のホールであるHall 8を初めに覗きます。デザイン感度の高い企業が集まると言われるこのホールの大きさは、東京ドームと同じくらいの大きさです。
エスカレーターでHall 8に行き、扉を開けるといきなり『Kartell』の文字が目に入ります。Kartell(カルテル)のブースはなんとすべてが黒でした。プラスティック素材を主体にしたカルテルの過去の作品のほとんどは、色があります。カラフルカルテルが定番です。それなのに会場は真っ暗・・・なかに入ると黒と透明の作品だけが展示してあり、差し色は説明ボードに記入してあるだけです。これにはほんとうにびっくりしました。
今回Kartell(カルテル)は5人のデザイナーによる新作の発表です。
Patricia Urquiola(パトリシア・ウルキオラ)、Philippe Starck(フィリップ・スタルク)、nendo(ネンド)、Ferruccio Laviani(フェルッチオ ・ラヴィアーニ)、そして、吉岡徳仁です。
以下の文面は、会場に掲げられていた吉岡徳仁の今回の作品へのメッセージです。
このアームチェアは、ミラノのカルテルフラッグストアでディスプレイしている、
The Invisibles(ザ・インビジブルズ)の一部のコレクションです。
ものはまるで空気にぴったり合うかのように感覚を残し、
物理的な存在は、根絶されます。
そして、 それは着席者が浮いているような、
非現実的な風景を作成します。
フォームから感情まで
それは言葉やフォームを超えた
美しさへの挑戦であります。
そして、ミラノ本店会場はアクリルスティックのインスタレーション『スノーフレーク』で真っ白。結晶の洞窟で何億年も経つと自然に透明の椅子が生まれる・・・・がテーマの時空をも超えた展示はあっぱれでした。吉岡徳仁が何年にも渡ってこだわり続けてきた光や風の表現が、空気のような椅子までたどりついた哲学が素晴らしかったです。
今回の国際見本市本会場RHO FIERA (ロー・フィエラ)とミラノ本店の黒と白のインスタレーションは、まるでこの吉岡徳仁のために用意したと言っても過言ではないでしょう。
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 ウエルカムブラックで迎え入れられたカルテル
 会場全体を薄暗くしています
 展示してあるものもすべてモノクロ
 Philippe Starck(フィリップ・スタルク)の新作 マジックホール
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