今年は2年に一度のエウロ・クチーナ(ユーロ・キッチン)の年。全体的に元気のない家具メーカーに比べ、どこのキッチンメーカーも新作を発表していました。しかし、デザイン的には無難なものが多かったように思います。キッチン部門では、エコブームの影響からか、天然木を使用したナチュラルテイストのキッチンブロックが多く、スタイルは直線的でよりフラットな印象です。
キッチンの主流となっているのは、依然としてリビングに設置することを想定したオープンタイプですが、設置が容易なアイランドタイプも増えているようです。また、今回多く登場したナチュラルテイストのキッチンに比べて、徐々に増加してきているのがハイテクノロジーをコンセプトにしたキッチン。その手始めとして、LEDを照明として取り入れることもすっかり定着した様子です。
ビルトインオーブンや調理器具を扱うFTK(テクノロジー・フォー・キッチン)では、私が昨年多くの製品を手がけたCandy-Hooverグループのスタンドもありました。ヨーロッパで大きなシェアを持つ家電メーカーが出展するこの部門でも、キッチン部門と同じく、エコロジー・ハイテクノロジーが近年の流行として定着しています。この不況の煽りを受けてか、革新的な技術が必要な新製品の開発は手控えたようです。家具メーカーと同じく、カラーバリエーションやマテリアルの変更による、表面的なモデルチェンジをメインとしていました。
この不況の中、限られた予算の中でより分かりやすい価値観を与えるデザインが求められています。しかし、デザイナー側からすると一抹の寂しさが残った今年のサローネ。メーカーとデザイナー双方にとっても、厳しい不況の冬はまだ長引きそうです。
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 【1】2008年のエウロクチーナでPEDINIが発表した、電動昇降式キッチンブロック。今年はミラノ大学でもデモンストレーションがありました。
 【2】フィエラの地下通路に、私が以前手がけたオーブンの広告が。広告のグラフィックセンスはともかく、多くの人が目にすると思うと感動的です。
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 【3】PEDINI
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 【4】Veneta Cucineが発表した、Stefano Giovannoniデザインのキッチンのプロトタイプ。 |
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 【5】Veneta Cucine |
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 【6】mkのLED照明内蔵のキッチン。 |
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 【7】mkのLED照明内蔵のキッチン。 |
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 【8】mkの天然木使用の新作。 |
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 【9】CANDYとHOOVERの複合スタンド。 |
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 【10】ヨーロッパの調理機器は、ビルトインが主流。 |
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 【11】シリーズで発表された、ミラーガラスのIHヒーター。“汚れが目立たない”と言った条件は、日本ほど重視されません。あくまでクリアーな鏡面が好まれます。 |
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 【12】ようやく実用段階に漕ぎ着けた、新しい発火システムのガス調理器具“Flat”。 |
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 【13】新作レンジフードのプロトタイプ。 |
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 【14】CANDYから既に発売されているLED照明を使ったオーブン。 |
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 【15】大手家電メーカー、Whirlpoolのスタンド。 |
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 【16】今年は豊富なカラーバリエーションを目玉に。 |
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 【17】トルトーナ地区でもプローモーションしていた、ドミノタイプの調理器。 |
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 【18】冷蔵庫のデザインで有名なsmeg。 |
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 【19】ヨーロッパでは需要があるため、どのメーカもアンティークタイプのモデルも持っています。 |
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 【20】smegも豊富なカラーバリエーションを新しく展開。 |
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 【21】デザインレンジフードメーカー、elicaの新作。 |
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 【22】elicaの新作、ランプに近いデザインのレンジフード。 |
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